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ワーキングプア/門倉貴史著を読んだ

2023-09-11 | 
ワーキングプア
いくら働いても報われない時代が来る

を読んだ。

今でこそワーキングプアで検索すると沢山の著書が出てくる時代になったが、この本がでたのは2006年11月、まだリーマンショック前の「ワーキングプア」という言葉が生まれた初期の方の著書だった。

今はもう、年収200万未満というのは珍しくはないし、非正規や兼業、個人事業も珍しくなくなった。

なぜこの本を急に思い出したかといえば、この本の取材対象者のひとりでいらっしゃる奥谷せりさんがミニマリストブロガーさんで、良く拝見しているからだった。

私がまだ正社員でやめたいやめたい思っていた頃、シンプルライフと貯金に憧れて彼女の前のブログのときからずっと拝見していたけれど、ふと思い出して図書館で借りてみた。

せりさんは今はもう専門的な職種で安定した職業についていらっしゃるし資産もたんまりあるお方だけれど、当時はトリプルワーカーというミラクルなハードワークをされていたのだった。

取材の該当ページは126ページから。

引きこもり、という言葉も今ではそうめずらしくはないし、精神的に不調になることはその人が社会的不遇者だからなのではなくてまぁ割と良くあること、という感じだけれど、まだ約20年前はそんなに(?)大々的には耳にはしなかった気がする。

ブログには今は配偶者でいらっしゃるその彼のことも書かれていることもあった気はするけれど、ブログ自体は淡々とした文調の方なので、あまり御自身の感情というのが目に見えて分かると思ったことはなかった。

本では取材者である第三者が客観的に書くことによって、より彼女の愛情深さが掘り下げられている気がする。
そんな風に思っていたんだね、と、新たな一面を見る心持ちがした。もちろん良い意味です。

本のまとめは以下の通り。
・年収が200万円に満たない「ワーキングプア」は2005年で546万人に登り男性労働者を中心に年々増加する傾向にある。
・増加している背景には、厳しい競争に直面する企業が正社員を非正規社員に置き換えていることがある。
・ホームレスになる者もいる。
・会社の倒産やリストラで転職を余儀なくされた中高年層の一部はワーキングプアに陥っている。
・家庭を持った中高年層が突然ワーキングプアになると、子供の養育費や住宅ローンなどの抑制することのできない消費支出が他の世代より大きいためにその状態から抜け出すことは非常に難しくなる。
・成長鈍化、少子高齢化で日本型雇用が崩れつつあり、非正規は弱い立場に置かれて雇用不安低賃金に苦しんでいる。
・一方の正社員も長時間労働により心のワーキングプア状態に陥っている。
・若年層でも就職したときに正社員になるか非正規社員になるかで、同じ若年世代でも所得格差は大きく開いてしまう。

本では、
・非正規から正社員への門戸を広く
・消費増税は避ける
・最低賃金の引き上げが必要
・外国人受け入れにより国内のワープア問題は深刻化する
と書かれている。

概ねここ15年くらいの国の方針と一致しているが、ビザ要件緩和に見られるように外国人受け入れは広がっている。
しかし、逆に日本が貧しいしコスパが割に合わないので外国人労働者から忌避されつつあるという当時は予想されていなかった状況になっている。
なかなかに深刻だ。

自分は大丈夫なんて思ったことは1度もないけど(むしろ社不なのでしがみつくのに必死)、沢山の事例を読むにつけ、本当にいつ何時何か合って露頭に迷うことは十分にあり得ることだな、と再確認した。



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