公立相馬総合病院の研修医のブログ

被災地医療を支える公立相馬総合病院
http://www.bb.soma.or.jp/~psghjim1/

大学病院

2018年07月30日 | 研修内容
ご無沙汰しております。研修医2年目の鈴木です。福島の夏は本当に蒸し暑い…

今、私は当院の協力病院である福島医大附属病院で研修中です。6月が心身医療科、7月が産婦人科、8月が救急科となっています。産婦人科もいよいよ明日で終了となります。医大病院に新設されたみらい棟(私が学生のときはまだ建設中であった)が部屋から廊下から純白であり、研修に来たばかりのころは圧倒されました。本当に白すぎて迷ったりしましたが…
今、回っている産婦人科は最初の2週間を産科、残りの2週間を婦人科で回らせてもらっています。産科では癒着胎盤やRh不適合妊娠、双胎妊娠など大学病院ということもあり、多彩な症例に立ち会うことができ、貴重な経験となりました。現代の医療では胎児エコーにより、産まれる前の赤ちゃんの状態が非常に細かく分かるようになってきており、先天性心疾患の有無などが判明する時代です。産科の研修を通して特に何事もなく普通に産まれることがどれだけ幸せなことなのだと改めて感じさせられました。産婦人科で研修させて頂き、感謝しております。

さて、大学病院での研修で気づいたこととしては初回の抗生剤の点滴を入れるときや輸血のときなどは必ず医師が立ち会い、接続することとなっております。当院での研修ではそのような経験はなく、抗生剤の投与で立ち会ってくださいと初めてスタッフに言われたときは少しとまどいました(抗生剤の投与時にアナフィラキシーショックを誘発する恐れがまれにあるので医師の立ち会いのもとでの方が確かに安全です)。今はだいぶ大学病院のシステムに慣れてきたような気がします。8月1日からいよいよ救急科での研修なので気を引き締めてやっていきます。まだまだ未熟者ですが周囲の支えに感謝しつつ前に進めるよう努力していきます。

2017 マッチング結果

2017年10月26日 | 研修内容
お久しぶりです、研修医の名取です。

早速ですが2017年度のマッチング最終結果が出ました。
マッチングとは医学生の就職希望と病院の採用希望を擦り合わせ、そのお見合いの結果を出すシステムです。そして今年度の当院のマッチング内定は1人でした!当院はキャパ的に最大3人の募集でありますが、1人でも当院の研修に魅力を感じて来てくれたことはとても嬉しいことです。来年も先輩はいるので寂しくはないでしょう。国家試験を突破して当院で活躍されるのを楽しみにしています。

そして福島県全体のマッチング結果が福島民友に出ていました。
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20171020-213414.php

昨年度のマッチング数97人から13人増え、最多更新で今年度は110人となったようです。ここまで増えるのはすごいことで、福島県全体の募集の努力は成果を出しているようです。特に福島医大は昨年度の14人から13人増え27人となっており、福島県全体の増加分をすべて吸収している計算になります。市中病院の方はまったく増えてないことになるので市中の我々は増加の実感を感じられておりません(笑)。増加分が福島医大に集中したのは、来年度から開始される新専門医制度の影響でしょうか。研修後の新専門医取得は福島医大レベルの大病院に限られるため、研修時から福島医大に所属するのが吉と判断したのでしょうか。実際にはその利点はなんとも言えないため、来年のマッチングはどうなることでしょう…。

ところで今回の当院のマッチング結果を受けて、せっかく良い研修環境があるのをきちんと広めていかないといけないと思いました。自分も含めての反省ですが、病院の発信力がとても弱いと感じています。研修医がいらないならそれでも良いでしょう、しかし当院は研修医に来て欲しい病院ですので、福島県のアピール努力のようにもっと当院も様々な努力をしていかないとと思います。以前から書いているように良い研修環境はあるのです。その根拠に他病院から当院に一時的に来て研修する研修医は増えており、毎月のように新しい研修医の先生が訪れています。研修は良いので、発信力を当院の課題にしないといけないと思います。


整形外科 うなぎのたれプロジェクト

2017年08月20日 | 研修内容
高校野球が楽しみな研修医の名取です。
日中は見ることができないので毎夜熱闘甲子園を見て手に汗握っています。
高校野球は、ご当地や近隣の県の高校をひいきに応援して球児の想いに共感して一喜一憂できることが本当に良いですよね。
今日は3校も東北勢が出場、それもすべて劇的な試合だったので本当に感動しました。
テレビ画面からも伝わってくるような緊張感のなかで劇的なプレーを起こすのが本当に凄いと思います。

野球と言えば野球肘。
野球肘と言えば離断性骨軟骨炎。
離断性骨軟骨炎と言えば整形外科。
かなり無理のある話の繋げ方をしましたが、現在は整形外科でお世話になっています。
整形外科と言えば骨折。
骨折はレントゲンの読影が本当に難しい。
骨折なのか捻挫なのか不全骨折なのか、はたまた正常なのか。
そこで研修医のために整形外科の先生がレントゲン写真をストックするプロジェクトを考えついてくださいました。
通称「うなぎのたれプロジェクト」。
整形外科の先生が命名です。
今年から始まりましたが、毎年うなぎのたれのように継ぎ足し継ぎ足しレントゲン画像を集めていく予定です。
分類分けして難易度や部位や小児例など項目別にソートできるようになっており勉強しやすくなっております。
というわけでどんどん研修環境が充実してきておりますので、勉強頑張ります。

消化器セミナー2017 〜内視鏡ハンズオン〜に参加してきました

2017年05月21日 | 研修内容
研修医1年目の鈴木です。公立相馬病院で循環器をまわりはじめて一ヶ月半以上経ちました。

最近だんだん暑くなってきましたね。昨日は福島で消化器セミナーがあったので参加してきました。模型を使い、内視鏡を操作してクリッピングや異物除去など体験させて頂きました。県内の研修医や学生が数多く参加して会場は大盛況でした。

学生時代に何度か内視鏡は触らせてもらったことはありましたが、まだまだうまく操作できず、少し苦戦しました。7月からは消化器内科をまわることになるのでどんどん経験を積んでいきたいと考えています。

当院の研修の特徴としてエコーや内視鏡、心カテなど実際に手技をどんどんやらせてくれるところがあげられます。学生のうちから色々経験したいと思うかたはぜひ当院に見学にきてください。


薬の味を味わってみました

2017年05月14日 | 研修内容
小児科研修中の名取です。

すべての科で同じですが、その科を回って初めて気づいたり、一度経験しないと分からない問題があります。小児科では薬の味です。薬が苦くお子さんが飲まない。親御さんはなんとか子供に飲ませようと試行錯誤して混ぜるのですがそれがさらに裏目にでてしまう場合もあります。有名なものに、オレンジジュースで飲ませると苦くなるクラリスと、バニラアイスに混ぜると苦くなるタミフルがあります。

ところが私は自分が処方する薬の味を知らないため、子供がどれだけの苦行のなか薬を飲み続けているのかよく分かりませんでした。というわけで自分が処方する薬の味を自分自身で確かめてみるべく院内の薬剤部に突撃してきました!突然の訪問にも快く対応してくださった薬剤師さんに本当に感謝致します。

さて、よく処方する粉薬サワシリン(抗菌薬)を味見してみました。
味は…………甘い、うまい!これは文句なくうまい!!
おやつにしても良いくらいの美味しさ、これならお子さんも飲むことでしょう。製薬会社の努力が感じられます。

次に粉薬メイアクト(抗菌薬)。
…………?、甘いのに苦い、というか苦い!後を引く苦さ!!
かなり信頼を寄せていた第三世代セフェム系なのに……一気に信頼がなくなりました(笑)。メイアクトを飲んでいるお子さん、効果は良いのでなんとか試行錯誤して飲んでくださいね。

次はオレンジジュースに混ぜると苦くなる粉薬クラリス(抗菌薬)。
苦いのか……………と思いきやそうでもない、甘い、いやちょっと苦いかな?
サワシリンには負けますが普通にいけます。これはオレンジジュースやポカリスエットなど策を弄さず水で飲むのが吉かと思いました。

そして最後に、全国の医師が処方するカロナールシロップ(解熱剤)。
味は…………まっず!甘いのに隠す気のない苦さ、メイアクトに匹敵します。
処方する頻度がかなり高いのに……こんなに苦い薬を処方していたとは。効果は良いけれど味は知らなかったよごめんよ、といった思いです。

というわけでまとめです(個人的な感想です)。
美味しさ: サワシリン >>>> クラリス >>> メイアクト > カロナール
自分で経験できることは経験してみることが大切なことだと感じました。自分で経験すれば説明に説得力がでますし共感もできます。ほんのちょっとの経験でしたが少し成長した気がしました。

薬は水で飲むことが原則ですが、小児科に限っては飲んでもらうことが第一なので、シロップ、アイス、ゼリー、ジュース、ごはん等に混ぜて服用してもらっても良いこととなっています。ですので最後に、薬の味とオススメの混合飲食物をまとめたweb siteを以下にご紹介します。どうぞご参考になさってご家庭なりの飲み方を探してみてください。

ミナカラ
https://minacolor.com/articles/show/45

株式会社ほくやく
http://hokuyaku.co.jp/pdf/medicine/%8B%8Cyakkou/y11_10.pdf

新研修医2号です!!

2017年05月01日 | 研修内容
ブログを見てくださっている皆様はじめまして!!!
初期研修医1年目の阿部直人と申します!!鈴木先生の投稿から大分遅れをとってしまいました・・・。
自分も相馬市出身、福島県立医大卒であります!
公立相馬総合病院の魅力、はたまた相馬市、福島県、東北のいいところを発信していけたらと思います。全然関係ないことも話すかもしれません!
未熟な青二才ではありますがこれから2年間よろしくおねがい申し上げます。m(__)m

なんやかんやで赴任してから1か月経ってしまいました。
たぶんおそらくこの1か月、度重なるご迷惑を患者さん、先生方や看護師さんたち、事務の方々など院内の皆様方にかけ続けているのですが、皆さんかわらず温かく接していただいています。おかげさまで大分のびのびと研修させていただいています。(いや、ほんと気合を入れないと・・・。)
ただ失敗は成功の元とは言いますが、糧にして成長しなければ何の意味もありませんね。
反省、学習、研鑽が大事だと、こちらにきてつくづく感じます。皆様にやさしくしていただいている分余計に・・・。

・・・いや、ほんと愛想尽かされる前に頑張ります。

せっかくですので最後に最近の反省事項を書いておきます。
・所見はプロトコル通り(=OSCE通り)きっちりとるべし
・身体所見の表現は覚えておこう
・報連相は大事、古事記にも書いてある
・朝食は食べよう
・勉強しよう


常識的なことばかりだった・・・。

こんなダメ研修医ですがいっぱしの医者目指して頑張ります。どうぞよろしく!!!

3週間

2017年04月21日 | 研修内容
研修医1年目の鈴木です。公立相馬に来てから3週間が経ちました。

今日は、朝の採血、静脈路確保で研修医2年目の名取先生に指導して頂きました。針を刺す角度など丁寧に教えて頂きました。感謝しております。

まだまだ採血も静脈路確保も思うようにはいかないですが、少しでも成長していけるよう努めていきます。

ところでこの3週間で経験したことをまとめると、採血、静脈路確保、膀胱内留置カテーテル、心エコー(描出だけ)、中心静脈挿入(うまく穿刺できず、指導医の先生と交代)、カルディオバージョン(電気ショック)といったところです。

満足にできる手技がほとんどなく、患者さんや、指導してくださる先生方、他のスタッフさんに多少ご迷惑をかけてしまうところもありますが、これからも奮闘していきます。

救急症例を再検討しよう

2016年11月18日 | 研修内容
今週はイベント盛りすぎ一週間でした。
症例発表はあるわ、当直はあるわ、朝まで臨時のオペはあるわ、今日も救急症例報告会だわ。
体力の限界、気力も無くなり……と危うく千代の富士になるところだった研修医名取です。
千代の富士…あんなに偉大だったのに……涙。

疲れすぎて千代の富士の話になるところでした。
今日は救急症例報告会の話をしたかったのです。

当院では本年度から研修医が担当した救急症例が入院後にどのような経過を辿ったか、入院後の主治医の解説を含めて検討する会が発足され、月一回催されることになりました。
この会が本当に贅沢でとても勉強になる!というのを今日もひしひしと噛み締めて参りました。
疲れたけれどやって良かった!

当院の当直は全科当直です。
研修医のみならず、上の先生方も専門外の疾患を診なくてはなりません。
夜間など限られた検査体制の中で専門外の疾患を暫定的に診断し入院判断となることもあります。
その患者さんが入院後に専門科に転科しどのように治療されたか、そして救急時にはどのように対応すべきだったか専門科の先生から解説がなされます。
忙しい日々の中、往々にして専門任せになってしまう中で、振り返って系統的にフィードバックされることは研修医にとってとても勉強になります。
救急対応というのは速さも求められ、その時点では悠長に説明はもらえないため、後日ゆっくり解説いただけるのも利点です。

これだけでも有意義ですが、この会はさらに意外な効果を生み出しました。
この会のギャラリーは当院の全科の先生方です。
たくさんの専門分野の先生方から救急症例が洗い直されることになります。
そうすると、今まで気づかれなかった所見が見出されたりするものなんですね。
三人寄ればなんとやら、皆んなでああだこうだやるのがいいのでしょう。
実はこの部分が原因だった、なんてことも。
研修医どころか、なんと上の先生方すら勉強になると仰っています。
本年度から研修医のために企画され発足した会ですが、研修医が居なければ発足しなかったということを考えると、我々も病院の医療レベルの向上に一役かっているような気がして、ちょっと誇らしくなりました。

ACLS講習会に行ってきました

2016年09月04日 | 研修内容
ACLS講習会を受けに郡山に行ってきました、研修医名取です。
ACLSとはAdvanced Cardiovascular Life Supportの略です。
つまり心肺停止に陥った人に対し医療者が行う心肺蘇生法のことで、今まさに死に瀕している人を救うという正に医師になった醍醐味を味わうことのできる医療技術なのです。

このACLSというのはBLS(Basic Life Support)に上乗せされる技術でして、そのBLSの方は心臓マッサージやAEDによる電気ショックのことで誰でも行うことができます。
先日病院で心肺停止した方がいたのですが、突然の出来事のためすぐに除細動器を準備することができませんでした。
そのときにBLSを行い、廊下に設置してあったAEDを用いて自動解析で電気ショックをしました。
そうしたことによってその方は見事に息を吹き返して社会復帰されたのです。
その辺に何気なく設置されているAED、実はかなりすごい物です。
AEDは自動で心臓の状態を解析するため誰でも使えるので、倒れている方を見かけたら是非使ってくださいね。

ところで今回のACLSの方はBLSでは心拍再開できない人を対象とするため、医療行為が含まれ若干高度になっています。
これが色々な心肺停止のパターンがあってけっこう細かい……。
Purseless VTのときはDC同期しないけれど、VTは同期してDCするとか。
VTには通常アデノシンは効かないけれど、ACLSアルゴリズムでは一応試してみるとか。
これらをシミュレーションして、心臓マッサージ行ったり電気ショックをかけたり何度も何度も体を動かすことで体に刷り込みます。
一日中心臓マッサージしているのでかなり疲れます。
そんなことをしているとあら不思議、あんなに難しかったアルゴリズムが体に刷り込まれてきます。
細かいように見えてパターン化されているのですね。
ACLSを習得した際に教官から感想を求められ、「パターン化された機械のように動きました」という感想を述べましたが、なんとACLSとはそれで良いのだそうです。
パターン化することで救命率を上げるためのものなので、最初は機械的でも救命できれば良いのだそうです。
頭よりも身体!さすがアメリカ生まれの技術?
まあいつまでもそれではダメなので、勉強します。

前回のBLS講習会のときも感じたのですが、今回のACLS講習会も教官が本当に楽しく盛り上げてくれて教えてくださり本当に頭が下がります。
休日2日間も指導に費やしていただき本当にありがとうございました。


というわけで大都市郡山を堪能し、念願のACLSを習得してウキウキで相馬まで帰ってきたのですが………それが一変、帰路の道中まさかあんなホラーな体験をするとは思いませんでした………ですがそれはまた後日書くことにします…。




東京ガイダンスに行ってきました

2016年06月27日 | 研修内容
この土日は福島県臨床研修病院ネットワークガイダンスin東京2016に行ってきました名取です。

この催しは関東の学生さんに福島県の病院を紹介する説明会です。
集まってくれた学生さんにほんの少しでも当院のアピールはできたと思うので行って良かったと思っています。
話を聞いてくれた方々ありがとうございます。
少しでも魅力が伝わって見学に来てくれれば嬉しいのですが…。
見学に来てもらえればさらに話の中身が実感できると思いますのでぜひ来てみてくださいね。
うちの歴代研修医は関東や関西からそれらを感じてはるばる来た人ばかりですから。

毎度繰り返しになりますが、当院の魅力はいろいろなことを経験させようといった病院全体の雰囲気です。
この文化はどこの病院にも負けないと思っていたのですが、今回、他の病院の話も聞いてみるとどの病院もそのような方針にシフトしてきており、研修医に任せる幅も数も増えてきているように思いました。
医師の数が多い病院が、わざわざ未熟な研修医に手技をやらせるリスクや手間を取るというのは意外でしたので、驚き半分、見直したのが半分に思いました。
ですがこの文化は当院のアイデンティティですので、本当に負けられないですね。
研修医にやらせるというのは患者さんにとってもリスクなので、闇雲にやらせてもらえるわけではなく、上の先生が任せても大丈夫と判断して初めてできるものなので、それに値するよう我々研修医も頑張らないといけないです。

今回、病院説明をするにあたって、他の当院の魅力はなんだろうと考えました。
協力病院が充実しているとか、看護研修があるとか、プログラム的な素晴らしさもあるのですが、プログラムの充実はすべての病院が提案しているためなかなか差別化しづらいところがあります。
なので、そういった事柄ではなく、絶対的におすすめできると思ったところは、
”雰囲気が良い”です。
当院はアットホームで穏やかな働きやすい環境がある、と思います。
いろいろな科の先生が大きなテーブルを囲んで昼食を取っているというのは他の病院にはあまり見られない光景です。
医局やナースステーションでの居心地も悪くありません。
そういった雰囲気の中、新しい環境でストレスが多いはずの研修医もストレスなく毎日を過ごせています。
これは文章や説明ではなかなか伝わらないものなので、やっぱりぜひ見学に来て味わってもらいたいところです。
興味を持った方はぜひ当院の公式ホームページに飛んで連絡を!





一人立ちとアドバイス

2016年06月12日 | 研修内容
研修医の名取です。
写真は相馬の中村城跡の堀に咲く蓮です。
相馬は城下町なのでこのような堀が車道のすぐ脇に通っており、なかなかに趣のあるところです。

ところで最近の研修は若干の一人立ちの様相を見せてきました。
具体的には当直や救急外来の対応が始まりました。
当直や救外では上級医の先生が確認するまで一人で対応します。
ここまで来るのに2ヶ月かかりましたが、それでも正直早いと思います。
自分で判断しオーダーを出せるようになるまでひととおりの仕事の進め方を覚えなければならないのですが、それらを回すのに必要なスキルは、医学的判断、対処法、電子カルテのシステム、医療器具の使い方、院内のローカルルール、薬の商品名、用法用量、患者接遇まで、医学部教育では教わっていないことがものすごく多すぎます。
到底2ヶ月では習得できる量ではないです。
そこでそれらをカバーしてくれるのが、まわりの看護師さんと上の先生の最終チェックとなるわけです。
一人立ちどころか、傀儡?、カルテのボタン押し係か?と思うくらいアドバイスをもらっています。
毎日お世話になりっぱなしです。
さらに厳密にいえば責任の取り方にしても病院や上級医の先生も連帯責任となるため、到底一人立ちとは言えないのですが、
ここでとても重要なのは、まず一人で対応してみて、自分しかいないという窮地感を感じることが自身の成長のドライビングフォースとなるので、そういう一人立ちの感覚を持つことは大切だと思っています。

ところで、以前、偉い先生に若かりし頃の研修時代の話を伺ったことがあります。
昔は研修医が一人で当直をするという恐ろしい時代がありました。
そして当時は、偉い先生も若く何もできません。
そのときに、意地悪なスタッフは「先生、次はどうします?」と聞いてきたそうです。
優しいスタッフは「いつもはこうしていますが、どうしますか?」と聞いてきたそうです。
その言葉に助けられたと言います。

そしていま自分も、「いつもはこうしていますが、どうしますか?」という本当にありがたい提案をスタッフさん達から受け、偉い先生の話を噛みしめながら仕事をさせてもらっています。

こういう場合に、自分で責任を取れないことはやるなとか、上の人に任せろとか、理想論を言うのは簡単ですが、実際の現場では瞬間瞬間で人に頼れないときや逃げられないときが出てきます。
そんなときに有益なアドバイスを貰って、それを自分で考えて責任をとるということは、学生から一皮むけ社会人になった第一歩だと思います。
漫画コウノドリでも、研修医時代のサクラ先生が修羅場に一歩も動けず、ベテラン助産師の小松さんの助言を受ける場面がありますね。
そんな場面が現実にもけっこうあるわけです。

そんな感じでいろんな人に支えられながら月曜からも頑張ろうと思います。

めぐりめぐるめ

2016年05月22日 | 研修内容
最近なんとなく巡り合わせを感じた研修医名取です。
その出来事を書いてみます。

ここ最近、放射線技師さんからX線撮影のレクチャーを受けたり、実習で訪れた学生さんの案内をしたり、わりと研修医的なイベントの多い毎日を過ごしていました。そんななか入院している患者さんも受け持ち、検査や治療をおこなっているわけです。

ある朝、病棟の患者さんの様子が少しおかしいのですが原因はよくわかりません。
精査のためCTを撮影して、学生さんへの説明を兼ねていつもよりじっくりとCTの画像を読むことにしました。その際に、つい先日放射線技師さんが熱心に教えてくれた画像の変換方法を試してみようと思いつきました。新しいものを知ったら使いたくなるのが人情。画像ソフトを駆使していつもよりも詳しくCTを読み込んでみたわけです。学生さんが優秀なので、一緒にああだこうだディスカッションしながら画像の角度を変えたりしながら見ていると、以前はなかった小さな異変があるような気がします。しかし、そこはつい先日まで学生だった者と学生のコンビ、「うちの科の疾患ではない気がするけれどなんかおかしい気がする」止まり。上級医の先生はまだ外来中です。そのとき偶然にも、そこの病変が専門の他科の先生が隣に座って仕事をしている。その先生がすぐに画像を読んでくださって、これは大変だ!ということになり上級医に報告。当院では手におえない緊急事態となり、そこからは怒涛のごとく大きい病院へ転院手続、転院搬送となりました。

いま一段落して思うのですが、
つい先日画像の変換方法を習ったこと。
そもそも放射線技師のレクチャーという珍しい研修が当院にはあったこと。
学生さんがいたため、いつもよりじっくりと画像を読むようなチャンスがあったこと。
他科の先生が隣にいて、気軽に相談できるような病院だったこと。
このような巡り合せがあって今回の診断に漕ぎ着けた気がします。

このようにならなくとも、最終的には上の先生が異変に気が付いて診断をつけたことだとは思うのですが、一刻を争うような状態であったため、研修医が早めに気付いて報告できたということは患者さんにとっては良かったと思っています。人の命はこういったタイミングにも左右されることがあると感じた出来事でした。

そして、転院搬送に私もついて行ったのですが、着いたところは唯一私の大学の同級生がいる東北の病院でした。
ここで同じように研修をやっているんだろうなと思いを馳せながら、そういう意味でもなんとなく巡り合せを感じた一日でした。




研修医最初の試練、それは採血

2016年04月21日 | 研修内容
こんばんは、最近眠たい名取です。

最近は研修医最初の仕事としては有名すぎる朝の採血をさせてもらっています。よく採血は簡単と思われがちなのですが、その採血ていどに研修医がもたもたと時間をかけて一体何をやっているのか?ということを全国の研修医を代弁して少しでも分かってもらえたらと思い、有名な朝の採血現場を再現してみようと思います。



朝6時、病棟に着くと10人くらいの採血を看護師さんに頼まれます。こんなにたくさんの仕事を任せてもらえたという嬉しい気持ちでやる気が溢れてきます。

1人目2人目あたりはサクッと採血をこなします。

3人目もサクッとこなしたあたりで、今日はいけるんじゃないか!という気持ちになってきます。といいつつ段取りが悪く、手順を確認しながら丁寧にやっているので実はかなり時間が経っています。

4人目、ついに高齢寝たきり患者さんの細くて脆くてぺたんこ高難度な血管に当たります。何度も腕に針を刺しては痛いだろうという思いで入念に良い血管を捜します。右も左も何度も駆血帯を巻きなおして一生懸命探します。刻々と時間が過ぎていきます。その焦りの中で腹を決め針を刺すのですが、案の定血管を外します。すみません、と思いながら今度は反対側の腕に針を刺すと、なんとまあ少し血がひけてくるではないですか。ゆっくりとだが血液が引けてくる。この血管を逃してはならない!と粘ります。ゆっくりゆっくりと血液を採取した、と思ったのも束の間、シリンジ内で血液が固まっているではありませんか。遅すぎたんだ。せっかく採取したのに……とがっくりと肩を落とし、すみませんまた後で来ますと諦めます。

5人目、なんと!ベテラン看護師さんでも血管確保が難しい患者さんではありませんか。もう時刻は7時です。時間がないので最初から諦めます。

6人目、段々と時間が無くなっていくなかで焦りながらも採血をなんとか終えることができた。と思ったら、今度はなんと採血管を混和し忘れ、管の中で血が固まっています。これは本当に私のミス!申し訳ないと思いながら次の患者さんに移ります。

7人目は浮腫の患者さん。血管がまったく見えない、と泣きそうになりながら失敗しつつ心眼でなんとか血管を探りあて採血します。そろそろ8時になりそうです。それなのにこの忙しい時に、多めに用意していた針がなくなってしまいました。急いでナースステーションに針を補充しに戻ります。

8人目は認知症の患者さんです。今から採血することを丁寧に伝えます。にもかかわらず、針を刺した瞬間腕を振り払い、ベッドと白衣が血まみれになります。ついにタイムアップです。見かねた看護師さんたちが現れ、残った採血管を手に各病室に散っていきます。何か背中が怖い気もしますが気のせいだと信じたいものです。



とまあこんな感じなのですが、さすがにこれは脚色です。こんなに失敗はしません。ですが、これらの各々のことはいま全国の研修医が経験しているわけで、当院だけの話ではありません。患者さんには本当に大変申し訳ないのですが、毎年連綿と行われている新人の教育の一環だと思ってご容赦いただければ幸いです。それからベテランの看護師さんの採血裁きは見ていて本当に惚れ惚れするのですが、そんなベテランの看護師さんも新人のころを思い出して、研修医が時間がかかっても生暖かく見守ってもらえたらこのブログを書いたかいがあるというものです。










ほんとに名物 看護業務研修

2016年04月20日 | 研修内容
ガリガリやん!
もっと食べないと!
なんか心配!


とか、一度言われてみたい研修医の濱近です。


写真はうちの紅一点、5歳のとろちゃんです。
捨て猫で、拾った人が「とろ」と既に名前をつけていたので、そのままとろちゃんです。
小さくて見た目は可愛らしいのですが、僕と兄猫2匹が5年間散々甘やかしたせいで、
わがままやりたい放題で手がつけられない子になってしまいました。


ダメな子にしてしまってごめんよ。
でもこれからも、全力で甘やかすことを誓います。


さて、僕も名取さんと同じく、3週間の看護研修をしています。
主に午前中、採血、バイタル測定、患者さんの着替え、清拭、検査への送り迎えなど、
病棟の日常業務の流れ、手技を教えてもらっています。


僕が当院で研修したいと思った理由はいろいろあるのですが、
看護業務研修、薬局研修、検査業務研修などがあるのもその一つでした。
理由は単純で、「指示を出す」立場になる以上、その指示がどのように実行されていくのか、
医師ができる限り把握するのは至って当然のことだと思うからです。
その機会がきちんと研修の日程として組まれていることをとても魅力に感じました。


業務が効率的に進めばそれが患者さんの利益につながるので、
基本的にはそれぞれの職種がそれぞれ得意なことをやればいいと思います、が、
そうは言っても病院内にいる一人の医療スタッフ、もっと言えば一人の人間ですから、
医者だから指示出しとけばええんや!そやねん!せやねん!やねん!ねん!
というのは違うと思います。
関西弁である必要はないですが。
そして僕はまだオーダーを出す能力がなくて、出したことすらないんですが(ー ー;)


賢そうなカンファや勉強会が充実している病院もそれはそれで魅力的だとは思います。
でも当院のように、まず患者さんのそばに出向いて、話して、触れて、という研修が僕は王道だと思います。
病態を深く考えたり、鑑別診断を的確にあげて方針を立てることが医師の重要な役割ですが、
医学部でテスト漬けの生活をしていると、あたかもそれだけが医者の仕事だと勘違いしそうになります。
(ってそれもものすごく難しいのですが。できない立場で語るのって実に難しい...)


とにかく、基本はやはりまず患者さんの近くに行くことではないでしょうか。
特にわれわれ研修医は病院の仕事の流れがまったくわかっていないわけで、
それを看護師さんたちに熱心に教えてもらえて、本当にいいスタートが切れたと思います。


あともう一つ重要なこととして、研修の最初に手技がある程度まとまって経験できるのは本当にありがたいです。
研修医は例外なく手技に不安を持って1年目を迎えるので、正面切ってそれが日程に組まれているのは、
当院の研修の素晴らしいところです。


これをしっかり本物の「名物」にしていくために、3週間が終わったらきちんと振り返りをして、
来年以降につなげていきたいと今は考えています。
読んでくれている医学生の方がどのくらいいるのかわかりませんが、
当院の研修は非常に実践的で、スタッフの方は皆さん本当にわかりやすく教えてくれます。
そこんとこよろしくですm(__)m


と、立派なことを書いてみたのはいいのですが、
明日も早朝の採血のため起きられるかどうか心配なので、寝ようと思います。
今日は体が疲れていて、ふざける余裕がありませんでした。申し訳ありません。
反省して、次はきっちりネタを挟みつつ。おやすみなさい。

相馬総合病院 名物 看護業務研修

2016年04月19日 | 研修内容
こんばんは、研修医一年目の名取です。

他の病院の研修医は4月の今ごろ何をしているのでしょうか?
当院は何事も先取りで実践させてくれる環境がある病院なので、4月1日にはオリエンテーションと同時並行で病棟に出ていました。そのように並行してどんどん学ばせることで、現場で役に立つ医師を早々に育てる狙いがあるのだろうと思います。
そして今は診療科の研修を行うと同時に看護実習というものを並行して行っています。その名のとおり、看護師さんについて看護師業務を学ばせてもらうのですが、これが研修医にとっては医療の基本的な手技(採血、導尿、包帯交換など)を集中した期間内に習得できるとても良い実習だと感じます。手技的な面だけでなく、お世話になる看護師さんとお互いに名前と顔を覚えてもらうことで今後の連携をスムーズにしようという仕事の本質に迫るところがありますし、看護師の仕事内容や苦労を知った医師が育つということは長期的にも良いのではないのでしょうか。ということで相馬名物看護実習は実は奥が深く、医師看護師双方にとって良い実習なのではないかと思います。
と言いつつ、現時点では何もできない研修医が看護師さんの教育負担を増やしている状態なので、一日一日やれることを増やさないと、と思います。そのあたりの超新米研修医の試練は次のブログにでも書こうと思います。

ちなみに前回のブログでは、当院の良い面もそうでない面もブログに綴ることで、学生さんに当院を吟味してもらって研修先として考えてもらおうと、そう書いたのですが、そもそも私は当院を研修先として最適な病院だと思って来ているので、良い面を書きたくて困っています。そんなことばかり書いていると、相当胡散臭いブログになってしまうので、バランスを取りながら書いていきたいものです。


そして最後に、熊本や大分で被災されている皆様に心よりお見舞い申し上げます。東北の人達は皆東日本大震災のときに被災した自分たちのあの大変な状況を思い出してつらい思いに共感しているはずです。一刻も早く平穏な日々が戻ることをお祈りします。