公立相馬総合病院の研修医のブログ

被災地医療を支える公立相馬総合病院
http://www.bb.soma.or.jp/~psghjim1/

地域医療を考える会

2016年10月27日 | 日記
絶賛、患者さんを呼び込み中の研修医名取です。
あまりに呼んでしまいICUが満床になってしまいました。
看護師さんたちの嬉しい悲鳴が聞こえるようです…。
私も帰るのがこんなに遅くなってしまいました。

ところで先日地域医療を考える会に行ってきました。
相双地区では地域医療を考える会という会合を年一回開き、開業医や勤務医が一同に会してお酒を酌み交わしながら地域医療のことを話し合います。

その地域医療のひとつの話題が相馬の次世代の医師の定着で、そのひとつの方策が公立相馬総合病院の研修医の募集です。
相馬は医師の高齢化が進んでいるため、開業医の先生方も新たな医師定着のために腐心してくださっているのです。
この話はもちろん研修医を相馬に縛り付けるような怖い話ではなく、せっかく来てくれた研修医が2年間のうちに相馬に愛着を持ってくれて、将来の勤務地の候補として考えてくれたら嬉しいということだと思います。

これは相馬が学生や研修医に対してどれだけの魅力を打ち出せるかの勝負でもあります。
というわけで魅力を打ち出す方法として、留学や車を買い与えるなどの甘い飴案も出ましたが、お酒も入っていたのでまあさすがに冗談ですよね。
それよりも在籍中の研修医を大事にして自由で充実した研修を受けさせて、自発的にこのブログに魅力を書いたり人に話させたり仕向けたほうが良くないですか?(笑)

今のところ症例や手技をひとり占めできるといった自分が思い描いた研修をさせて頂き満足ではあります。
が、満足で終わりではなく当院の研修制度の改善点も見えてきたので、せっかくなので次の研修医のためにもいろいろ意見していきたいとも考えています。
研修医の意見を聞いてくれようとする姿勢も当院の魅力ですね。

冒頭の写真は相馬の観光名所、文字島です。



喫茶店と車のなか

2016年10月22日 | 日記
今週は関東の学生さんが遠いところ実習に来てくださいました。
当院いち押しの病院内の壁のなさ雰囲気の良さを実感してもらえたようで嬉しく思います。
そして久々に関東話をして懐かしい研修医の名取です。
そのなかであんなによく通った横浜・元町の”元町”という地名が頭に出てこず、相馬に染まってきていることをしみじみと実感しました。

元町の喫茶店では国家試験の勉強をよくしていました。
先ほどテレビを見ていたら、芥川賞を受賞した村田沙耶香さんが喫茶店をはしごして執筆活動をしていることを放送していました。
自分も喫茶店をはしごして国試勉強をしたこともありますし、村田沙耶香さんは同世代なので、気持ちわかるわ~といろんな共感を持ちながらテレビを見ていました。
喫茶店や深夜ファミレス等で国試勉強をするのは試験前の医学生あるあるです。
滞在時間制限があり勉強以外に何もできない環境が集中できる気がします。
もちろん店が混んでいるときは避けていたので許してください。

相馬に来て驚いたことのひとつが、深夜の駐車場でエンジンをかけながら車内で過ごしている人がとても多いことです。
先日は車内でわざわざテレビを見ている人を見かけました。
あまりに多いので、自分も少し試してみたらちょっと居心地良いですね。
自分の部屋のようでいて薄暗くこぢんまりとした密着した空間が安心感があって居心地がよいのでしょうか。
相馬には夜に入れる喫茶店が無いので、都会で言う喫茶店層が相馬では車内にいるのかな?
相馬で深夜カフェを開店したら儲かるのではと考えてしまいました。


ところで、10月20日に臨床研修制度マッチング最終結果が出ました。
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20161021-121041.php

当院も来春2人の研修医を迎えることになりました!
来てくれるお二方ありがとう!そして勧誘活動に携わった皆々様方お疲れ様です。
もっともっと研修制度をブラッシュアップしてお待ちしています。
URLの記事にも書いてありますが、県内の医療機関で働く医師数は10万人当たり188.8人、全国平均は同233.6人、そして最新のデータでは相双地区は94.11人です。
桁違いの医師不足です。
が、前回データの60人からはかなりの改善が見られます。
我々研修医も貢献できている気がします……数字上ですけれどね。
相双地区を助けてもよいかな?という仲間が来てくれるとよいなと切に願っています。





鈴木尚広選手と相馬市

2016年10月15日 | 日記
絶賛、緊急オペを呼び込み中の研修医名取です。
お陰様で大変充実した研修になっております。

ところで読売ジャイアンツの鈴木尚広選手が現役引退してしまいました。
釈迦に説法かと思いますが、鈴木尚広と言えば走塁のスペシャリスト、たった1点で試合が決まるような競った試合のときにこそ走塁で1点をもぎとるために起用されます。
スタメンは少なく、起用されない試合もあります。
それでも数秒間の走塁で勝利を引き寄せるプロフェッショナルな仕事をジャイアンツ一筋で続けてきた選手でファンからとても愛されている選手です。
実は鈴木選手は当院がある相馬市の出身で、病院職員にも同級生がいらっしゃるなど当時の話を伺えたりしていました。
そしてご実家が焼肉屋を営んでいるのですが、夏のソフトボール大会を終えその店で打ち上げをしているタイミングでまさに鈴木選手が起用され盗塁を決めた際には店中大喝采でした。
来年もこの大盛り上がりを体験できることを期待していたのですが…とても残念です。
仕方ないです。
引退後のキャリアもぜひ応援しています!


とまあ、これで終わるとただの野球日記で終わってしまうのでもう少し続けようと思います。
鈴木選手は全国的には無名の相馬高校からたった一人でプロ野球界に入ったことになり、甲子園常連校出身の人間関係の中で多少なりとも孤独に奮起してきた面がきっとあると想像するのです。
そのような鈴木選手の境遇が無名進学校出身の孤独に奮起する医学部生の立場と少し重なるように感じました。
医学部も有名進学校出身者がとても多く、先輩後輩のみならず同級生の友達同士が入学しており、学閥のような強固なものではないのですがちょっとした心理的な繋がりを形成しています。
大学の実習などで各科を回ると必ずと言っていいほど出身高校を聞かれます。
共通の話題で話に華が咲くことがあるのですが、そういうとき唯一の高校出身の人は少しだけ疎外感を感じます。
母校の医学部の先生は、自分がそういう経験をしたので息子にはそういう思いをさせたくなく都会の中高一貫の有名進学校に入れたいと言っていました。
医者はよく自分の子供も医者にさせたがります。
こういう心理面も医師を都会に誘導し医師偏在に影を落としているはずです。

じゃあ仕方ないのか。
本当は皆分かっているはずです。
相双地区が医師不足なのは地元出身の医師が殆どいないことにもよると思っています。
相双地区の学校が、地元医師が安心できるくらいに進学校となり医学部生を輩出してくれれば好循環が回り出します。
医師が安心して子供を地元進学校に任せ、地元に愛着のある医学部生がたくさん輩出され、医学部でも寂しい思いをすることなく過ごし、地元に戻って来る。
できないことなのでしょうか。
地元に活気を与えるのはやっぱり地元の頑張りですので、当院だけでなく地域ぐるみで頑張ってもらえたらなと思います。