公立相馬総合病院の研修医のブログ

被災地医療を支える公立相馬総合病院
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相馬の研修医の仕事納め

2016年12月31日 | 日記


今年最後の回診を終え仕事を納めた研修医の名取です。
大晦日の病棟ですが、雰囲気は平時とちっとも変わりはありません。
病気に休みはありませんから。
ですが当院の年末年始は応援医師の派遣があり、私は幸運にも年始の休みをいただけました。
看護師や技師などは応援がないので大変なのは看護師さんや技師さん達ではないかと感じた病院の大晦日です。

今年の大晦日は平時と変わらない病院で働いたわけですが、昨年の大晦日は何をしていたのだろうかとふと思い返しました。
昨年の手帳を見返してみると、国家試験の模擬試験を自宅で受けていました。
なんとストイック。
医者はよく国家試験の勉強をしなかった自慢をしたがりますが、私はインフルエンザにかかろうがノロにかかろうが最悪なコンディションでも圧倒的な学力をつけて国家試験を押し通るといった戦略とは言えない戦略を立てていたので、年末年始も一生懸命勉強をしていたようです。
横浜の年末年始はとても人が少なくなるので寧ろ快適に勉強ができた気がします。
色々な戦略があると思いますが、今年度の受験生の方々もくれぐれも頑張ってくださいね。

さらに6年前の医学部受験の大晦日は何をしていたかを思い返すと、当時は東京の王子にいました。
王子の大晦日は、全国から狐が集まり王子稲荷神社を詣でるという言い伝えがあります。
狐の提灯がぶら下がる幻想的な王子の街並みを狐に扮した行列が通ります。
歴史がある街には色々なしきたりがあり面白いものです。
そのときにクジを引いたら一等が当たり十二支のぬいぐるみが当たりました。
というわけでなんとなく思い出に残っています。

最後に、年末の回診で大切なことを学びました。
私一人で回診をした際に退院を希望する患者さんがいました。
現段階の病状では到底退院はできないため、その旨を説明して退院不可であることを伝えました。
そのことを指導医の先生に報告したところ、医学的には退院は勧められないけれど……外泊させてあげましょう、という方針になりました。
患者さんはお正月を自宅で過ごしに外泊に行かれました。
これが勉強の医学と実際の医療の違いなのか、としみじみ感じました。
患者さんのための医療を実践していきたいと感じました。

それでは今年も公立相馬総合病院をご支援いただきありがとうございました。
良いお年を。


臨床研修病院の選び方

2016年12月17日 | 日記


今年が終わろうとしています。
研修をしている科も変わるため病棟の送別にお花をいただいた研修医の名取です。
いつもは殺風景な部屋に彩りが出ました、ありがとうございます。

6年生の皆さんは第3回テコム模試の結果が出た頃ですね。
第3回テコム模試は通称「ヘコム模試」と言われて国試直前の受験生を凹ませることを目的としている(としか思えない)難易度の高い模試です。
発破をかける目的なんでしょうが、難しすぎるので試験結果に落ち込まないでぜひ追い込みを頑張って下さいね。

ところで、5年生や4年生向けに臨床研修病院選びについて書かれている良質のサイトを見つけたので紹介したいと思います。
「学校で教えてくれない デキる研修医のつくり方」
https://resident.mynavi.jp/conts/tsukurikata/index09.html

病院を選ぶ上での着眼点がよく書かれていて、研修している今よく実感し頷けることばかりです。
学習機会項目の"カンファレンスの盛り上がり"も同意ですし、スキルアップ項目の"基本手技を重点的に"なども本当に同意です。
早くスペシャリストになりたい人もいるとは思いますが、スペシャリストであっても全科当直ができないと仕事にならないため、やはり各科の基本手技は大切です。
ラパロ下担摘やPCIなどを研修医に任せる病院もありますが、研修時代はそれよりも一般的に使える手技を確実に習得する方が役に立ちます。
時間は平等なので、その時間をどの学習に使うかが研修医時代の鍵だと思います。
良ければぜひ参考に見てみて下さい。
ただ、"オリエンテーションが長いと研修医を大切にしている"というところは良いとは思えないかなと感じました。
大切というよりは過保護、ちょっとでも責任ある仕事は任せてくれなそうですね。

この一年、自身も研修医をやりながら他病院の研修医と話をしていると段々見えてくるものがありました。
認識を改めなくてはいけないこともあります。
私はよく研修病院比較の対比として、都会vs田舎、大病院vs小病院といった対比を使ってしまうのですがこれは少し間違っているように感じています。
研修内容に差が現れるのは、病院内の研修医の数のようにも思います。
サイトにも書かれていますが研修医個々人に対して病院側の熱心さに差が出てきます。
研修医の話を聞くと、研修医の数が少ないところは個人として丁寧に扱われやすく上の先生方の熱心さが表れるようです。
しかしながら研修医の数が少ない病院というのは、質が悪く人気がない病院という真逆の場合もあり得ますので注意が必要ですね。
募集人数が少人数でフルマッチしている病院が良い病院なのでしょうか?

そして最後に、いつも環境面を話題にしてしまうのですが実際の私は成長できているのでしょうか…?
この一年でCVや挿管など出来るようになったのでちょっとは成長できていると思いますが……上の先生からはまだまだと言われてしまうでしょうが……。




病院も 宴会芸を やるんだよ

2016年12月10日 | 日記
病院全体の忘年会があり、流行りの"恋ダンス"を踊ってきた研修医名取です。
日頃病魔に苦しむ患者さんに寄り添っている我々病院職員ではありますが、忘年会となれば一年の辛さをリセットする病院全体の催しを開き、そして次の年の活力とします。
良い雰囲気のなか、恋ダンスも別グループのPPAPもとても盛り上がり、やった甲斐がありました。

いま6年生は国試追い込みシーズンですね、何が宴会だと噴飯せずに読んでいただけたら。
来年は解放されますので是非国家試験を突破して下さいね。

今日はいつもよりさらに赤裸々に書いていきたいと思います。
忘年会と言えば新人芸を求められるだろうなとは想定してはいました。
やりたい人もいればやりたくない人もいるでしょう。
私は、notやぶさかではありますが進んでやりたいわけでもないといったスタンスです。
私の友人は、宴会芸や社員旅行のあるような文化の会社には絶対に入りたくないと言い、外資戦略系コンサルに就職しました。
そういう意見もあるでしょう。
しかしながら一般的に医療業界は古い日本的体質のところが多いので、新人医師は宴会芸や旅行からは逃れられないことが多いと思います。
私も、お前は新人なんだから新人芸をやるのが当前だ!と高圧的に言われたらやる気が萎えます。
思えば当院に就職する前は、そういった環境で芸をさせられたこともありました。

ですが当院はちょっと違いました。
忘年会の新人芸に何をやろうかなと思案していた頃、
「先生、私達と一緒に芸をやりませんか?」と看護師さんと先生方有志一同から誘われ、なんと企画も衣装も用意していただいてしまいました。
あまりの至れりつくせりぶりに、芸を披露する方ではありながらも、ここまで用意していただき本当に恐縮ですといった気持ちになってしまいました。
そういったわけで、心のわだかまりもなく宴会芸を披露し皆さんに喜んでもらえ、いやーやって良かったです。

というわけで何が言いたいかというとですね、引っ込み思案の方でも当院の忘年会は大丈夫です。
他の病院でも新人芸からは逃れることはできないので当院で皆で楽しくやりましょう。
もちろん宴会芸企画大好きの方も歓迎です。
ここまで書いておいてなんですが、有志企画なのでもちろん断ることもできます。
でもちょっと"恋ダンス"踊ってみたくないですか?

患者さんには大変申し訳ないですが、ちょっと病院裏事情を書きました。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。


外科の奇妙な通過儀礼?

2016年12月02日 | 日記


まさかの風習に驚きの研修医名取です。

外科の先生から「初めて〇〇ができたから寿司だな!」と何かを達成する度に言われ、心の中で「(ゴチっす)」と思っていたのですが、まさかまさかの自分が寿司をおごる方とは。
外科分野では初執刀させて頂いたお礼に寿司をごちそうする習慣があるみたいです…。
調べたらインターネットの検索でも出てくるし外科の教科書にも書いてあるくらい全国に普及した通過儀式らしいですね。
(……そんなの初めて知りました。)

下の者がごちそうする、と言っても本当に感謝の意をあらわす医局の楽しい風習なんだそうです。
こう言ってはなんですが、新人は普段から十分すぎるくらいおごってもらっていますので。
というわけで病棟の先生方と看護師さんにお寿司を御馳走してきました。
「研修医ブログに書くなよ!」と言われましたが、振りですよね??書いちゃった。
…恐怖の通過儀礼です(笑)
その代わり簡単な手術執刀など色々やらせてもらっています。

ところで、この研修医にやらせる、任せる、というのは研修病院の生命線だと私は思っています。
研修医は手技を実際にやらせてもらって成長することができます。
先日研修医勧誘のイベントに参加してきましたが、どこの病院も研修医の仕事の裁量を売りにしていました。
つまり研修医に仕事を任せる文化だけでは、別の病院との差別化は図れない時代に突入してきた印象を受けます。
逆に言えば、研修医に手技や仕事をやらせるのは当然で最低限のことになってきたとも言えます。

ですが、さらに私の印象としては、今回の外部向けのプレゼンと実情は乖離しているようにも思います。
外部向けのプレゼンとは裏腹に、任せてもらえない状況下で不満を燻らせている研修医をこれまで数々見てきました。
研修医に仕事を任せるというのは指導医が責任を負うことになります。
上の先生としては研修医に仕事をさせない方が楽な一面もあります。
その代わり研修医は成長せず、戦力にもならず、中長期的にも病院は評判を落とし研修医は集まらなくなるでしょう。

そういう訳で、当院はどの指導医にも研修医に仕事を任せるようなクオリティを目指して欲しいなと個人的には思っています。
もちろん任せることができるかどうかは研修医の努力次第、実力次第ということは承知していますが、研修医に任せることができるような実力まで、まず引っ張り上げるということも含めて研修の質が向上すれば素晴らしいなと思います。

自分のことは棚に上げて、他力本願な意見をしてしまいましたが、研修医も努力して、研修病院もクオリティを上げるのが好循環かと思います。
研修医が早く戦力になったらお互いにとって良いですよね。
色々任せていただいて感謝の気持ちはいっぱいですが、当院もさらに高みを目指して欲しいと思います。

それにしてもすごい通過儀礼でした(と言いつつ楽しいイベントでした)。