どうもご無沙汰しております。研修医2年目の中川です。
実に4か月ぶりの投稿ですね。別にサボってたつもりはないのですが・・・
さて台風19号の来襲から約1週間が経過いたしました。
東北地方では相馬市の隣の宮城県丸森町でも甚大な被害となっており、福島県内でも主に中通りで多数の死者を出すなど大きな被害が出ています。特に阿武隈川流域の被害は全国的に報道されているため皆さんご存知の方が大多数でしょう。浜通りではいわき市の被害が全国的に大きく報道されていたと思います。
当院の所在する相馬市も宇多川の氾濫に伴い市内の広範囲で浸水の被害を受け、市内全域が約1週間にわたり断水となりました。しかし全国的な報道はあまりされていない印象を受けます(土地柄目立たないからでしょうか・・・?)。
断水という状況に私は生まれて初めておかれました。一番困ることは何でしょうか・・・そう、トイレです。ネットで「トイレ 断水 流し方」と検索すると「まずバケツで6-8Lの水を勢いよく流し、その後3-4Lの水をゆっくり流す。つまりを防ぐため2-3回に一度は12Lくらいの水で流す」と書かれています。1回で最低でも10L程度の水が必要になります。しかも「風呂の残り湯は避けるように」とも書かれていました・・・ただし実際に断水になってみるとそんなこと言っている余裕は全くありません。断水が前もって分かった場合は必ず風呂桶に水をためておく(これで200L近い生活用水を確保できる)こと、これは絶対にやらねばなりません(私は断水の知らせを受けたとき仕事中であったため水を貯められませんでしたが・・・)。
水を「貯めるための容器」もいざ追い込まれてみると家にありませんよね。皆さんはお持ちでしょうか。断水になると赤いポリタンクが市内はおろか、宮城県南部まで広範囲に店から姿を消し、水のペットボトルも姿を消しました。常磐道が相馬市と仙台をつないでくれているおかげで、足がある人たちは断水地域外に買い物に行けたので外の地域のスーパーでも一部の商品が品薄になりました。また相馬市への物流も基本的には保たれていたため数日もすればスーパーでは普段と変わらず買い物ができました。どれもこれも交通網が遮断されなかったおかげです。逆に足(相馬では車)を失う、道路が寸断されるという状況がどれほど自分たちの生活に大きな影響を与えるのかを想像すると・・・身震いします。私は2Lペットボトル15本と同居していました。中身は生活用水で、家中にあったペットボトルをかき集めてこれです。ゴミの日に捨ててしまっていたらどうすることもできなかったと思います。トイレ2回分+α程度の水を常備して、使ったら最初は隣町の湧水を汲みに、途中からは市内の給水所に水を汲みに行きました。飲料水はたくわえが少しはあった、買い物に行けたので何とかなりました。この状況に置かれ、飲料水と生活用水は別物と考えなければならないと知りました。改めて「いつ自分の身に降りかかるか分からない」まさにその通りだと思います。備えること、避難することの重要性を今回の台風19号で身をもって学ぶこととなりました。
また病院は本当にたくさんの水を使います。血液検査も手術室も血液透析も、本当にたくさんの水を使います。水を絶たれると、病院は途端に社会インフラとしての側面を果たせなくなりかねません。病院の水に関しては自衛隊の方々のご尽力により何とか病院を維持できる分の水を確保していただきました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。本当にどうもありがとうございます。
そして相馬市内でも宇多川の氾濫のため多くの家屋が浸水により甚大な被害を受けました。今まさに片付けの真っ最中です。相馬市には10/19は雨の中54名、10/20は82名のボランティアがいらっしゃったとのことでした。お越しいただいた皆様本当に、本当にありがとうございます。また丸森町のツイッターでは10/20は489名のボランティアが集まったと書かれていました。全国から被災地域へ助けに来てくださっていること非常にありがたく思います。なお、相馬は報道が全国的にはされていないことや甚大な被害を出した丸森町やいわき市に囲まれているためなのかボランティアの人数がどうも少ないようです。今回の台風では被害の範囲が広い分、各地にボランティアとしていらっしゃっている方々はたくさんいらっしゃると思います。もし可能ならばあまり全国的には報道されていない地域にもボランティアとして来ていただけると非常にありがたいです。報道のスポットライトが当たっていない地域でも大きな被害が出ていると考えられますので・・・もちろん相馬にも来ていただけると非常にありがたいです。こんなことを言う以上は私も微力ながら何らかの役に立てればと思っております。
最後になりましたが、改めまして今回の台風で被災された地域の早期の復旧を心より祈っております。