はいどうも、お久しぶりです。
研修医2年目の中川です。今年に入ってはじめて、やっとの思いで相馬に戻ってまいりました。
5月上旬に投稿させていただいたように、私は5月の間只見町国保朝日診療所で研修をしておりました。
私が只見で感じたことを今回は書かせていただこうと思います。
只見町、私のいる相馬からは片道で4-5時間は間違いなくかかります。相馬で聞いても、「行ったことがない」という方々が大半ですが、逆に只見町で相馬の話をしても「行ったことがない」という方々が大半でした。改めて福島県ってデカいんだなと思いました・・・なんなら相馬と只見を行き来するよりも東京の方が近いという現実がありますので( ´∀` )。
只見町は面積として神奈川県がすっぽり収まるレベルの面積を誇るにもかかわらず、人口は約4000人とひじょーに人口密度が低いです。めちゃくちゃ広いので車がないとまず生きていけません。食糧確保も21:00を過ぎたら原則不可能になります。スーパーは19:00に閉まります。24時間営業のコンビニまで片道最低でも1時間かかります。これを読んでいる都会の方々、想像できますか。
これだけだと只見には何にもないってことをただ言っているだけになりますね。けれども只見には見渡す限りの山々とこの時期なら新緑、澄んだ空気、信じられないほど美しい星空があります。只見で見た星空は人生で見てきた景色の数々の中でも指折りの美しさでした。なお星空を撮れるようないけてるカメラは持っていないので写真はありません(^^)/。日常に自然が当たり前のように入り込んでくる環境はこの国にどれくらい残されているのか私にはわかりませんが、本当の宝物ってこういうことをいうのかなと思います。この環境で育てる子どもたちはきっと心のどこかにふつうには得難いものを得られるんじゃないかなと感じます。
ちなみに只見町の年間出生数はせいぜい20-30名とのことでした。亡くなる方が年間100名とのことなので人口は緩やかに減少しています。生まれる数も年々減っています。小学校は町に3つ、中学校は1つ、高校も1つとのことでした。たしかに子供は少ない、とてつもない高齢化を見つめる、日本の未来といえばそうでしょう。それでもそこに人の営みがある限り、その土地はどんな形でも後世に残せるんではないかと信じています。これだけの自然を抱え、育む土地は他にそうそうありません。
自然について語るだけでは病院のブログとしては好ましくないですかね。地域医療研修という形で勉強させていただいたので、地域医療研修について。私にとって地域医療研修はその土地を学ぶということだと思います。いや、地方で研修をすること自体がその土地を学ぶという側面を多く含んでいると感じます。私は本当の意味で僻地と言われる土地、中でも本州にある僻地と呼ばれる土地を実際に目で見たいと考え只見に行かせていただきました。私は学生時代に奄美大島の瀬戸内徳洲会病院という徳洲会系の病院に見学に行かせていただき、離島の医療を少しだけ見させていただきました。今度は離島ではありません。3次医療機関まで陸続きです(一応)。片道約2時間という他にはない環境がありました。離島ではドクターヘリのみならず、自衛隊のヘリがバンバン使われているとのことでしたが、こちらは制度やらの都合でヘリは日中のみしか使えません。天気が悪くても使えません。町の中に1台しかない救急車で必要時は片道2時間かけて、往復では5時間かけて会津若松に運びます。医療体制がどうなっているのか、どういう人を若松に運ぶのか、この土地にはどんな人が住んでいるのか、何が無くて何があるのか現地にいて初めて学び得たことはいくらでも出てきます。逆にそこで暮らしてみなければ、知ることはなかったといえることが山のようにあるんです。1か月間山に囲まれて暮らしただけに。
あんまりお堅いお話をしてもあれですよね。とりあえずそろそろ今回の締めに入ります。本当に現地では診療所の方々をはじめ、現地の方々、東京からたまたまいらっしゃっていた方々と本当にいろいろな方にお世話になりました。帰るときにここまで名残惜しいと感じるとは正直思っていませんでした。なんとお礼を言っていいか分かりません。では最後に只見町で撮った写真の内の二枚を。ダムを見おろす景色、そしてダムの上の雲海、車道から見える絶景で終わろうと思います。また只見に行きます!ではまたそのうち。