池田 悟≪作曲家≫のArabesque

・・・深くしなやかに・・・(音源リンクしてます)

"Water Bubbling"誕生

2007-02-20 | 作曲/鍵盤(打)楽器

ヘンデルに因んだオルガンの小品を書くことにしたが、ヘンデルの楽譜で唯一持っていたのが、25年前、学生時代に買った「水上の音楽・組曲」の薄っぺらいポケットスコア。
初めはブラームスのピアノ曲「ヘンデルの主題による変奏曲」の主題を使おうと、ピアノの練習の合間に時折スケッチを書いていたが、どうもブラームス風の和声になってしまう。
考えあぐねてポロポロと、ピアノの上で無作為に指を遊ばせ、左手で完全5度の和音をポーンと入れたら、それがピタリと気に入った。その動きをなるべく変えず、「水上の音楽」のモチーフにすげ替えることは出来ないか、探してみた…良いのがあった。
イージー・リスニング風に聴こえてしまうかも知れないが、素直に好きなことを書いてみようと思った。コンクールなんて、どうせ入選しないのが当たり前。

最初の数小節(2分の5拍子)をFinaleで譜面にし、オルガンの音で再生させた。その瞬間、心が沸騰した。
こんな曲を作っても良いのか…全然現代音楽では無い…先はどうやって続けよう…何としてもこの出だしで完成させたい…
オルガンのエフェクト機能によるトレモロ・サウンドではなく、指で弾くトレモロを使いたい場面があり、効果の程を、代官山音楽院の練習室のエレクトーンで試した。
タイトルは最初、引用した「水上の音楽」の"Water Music"をそのまま転用する積もりでいたが、それでは都合が悪いかも知れない。コンクール主催者のH.P.のRECORDING欄に"Water Music"と出ている。代案を3つ考え、英語の専門家にメールで質問し、最終的に"Water Bubbling"とした。

僕はオルガンの音が大好きだ。学生時代シンセサイザーの多重録音で曲を作っていた時も、和音が出せないシンセを補い、音を分厚くしたり、柔らかく広がりを持たせたりするために、オルガンの音が出せるキーボードを多用した。
この小品がオルガンの本場、イギリスのコンクールに入賞できて、本当に嬉しい。
(写真:静大生のころ)
楽譜+全曲試聴



最新の画像もっと見る

コメントを投稿