第23回島村楽器音楽コンクール本選会が浜離宮朝日ホールにて行われた。10日(日)は管・弦・声楽・作曲部門、11日(月・祝)はピアノ部門。以下、私が述べた講評。
ミスには表面的な分かり易いもの、内面的な分かり難いもの、また音楽的に許せるもの、許せないもの、さらに構成を構築する上での問題などがある。
古い時代の曲、新しい時代の曲など、曲によって優先順位が様々に変わる。古い時代の曲はピアノ伴奏が慎ましく、ソロパートがより重要になる。新しい時代の曲になればなるほど、個々のフレーズで何を重視すべきかが顕著になる。歌の場合、しゃべるように歌ったり、叫ぶように歌ったりするとき、ピッチの正確さは二の次となるように。
まさに曲が生まれたばかりのような、開発中の試行錯誤する感動、情熱が演奏に生命を吹き込む。
作曲も同様。今回の作品はソナタ形式だが、その形式が生まれたばかりのような、開発中のような感動、情熱があっただろうか。私はそれを演奏や作曲の「鮮度」として重視している。
ピアノ独奏とは、馬と騎手の関係に譬えられるだろう。馬が走っているのか自分が走っているのか分からないくらいに、曲を自分のものにすることが大切だから。
本日演奏された皆さんは、それが中々上手に出来ていた。宝石のようなすべての演奏を聴く事ができ、ただ感嘆するばかり。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます