小学4~5年生の頃、小田原の小澤 一(はじめ)先生にピアノを習った。
先生のソナチネの演奏を立って聴いていた僕が、いつの間にか体を揺らし始めると突然演奏を止め、「ほら揺れてる、こう弾くんだよ!」と嬉しそうに僕の両肩に手を置かれた。
ある時、ソナチネの表情の変化に沿って毛筆で波の絵を描くよう宿題を出され、僕はオシログラフのような曲線を描いた。しかし先生が「クライマックスはこうだ」と、1ページまるまる割いて鉛筆で描かれた絵は、葛飾北斎の「富嶽三十六景・神奈川沖浪裏」のようなものだった。
先生のお宅は海が近く、台風が接近した日の夕方、レッスンの後で先生がもう一人の生徒と双方の母親を海岸に誘い、「この荒れた波が好きです!」と語った。
またある時は「出来るだけ怖い音を出してごらん」、と即興するよう言われた。僕は多分、短調のアダージョの断片のようなものを弾いただろう。
ところが先生は、最低音域の不協和音(クラスター)をピアニッシモで延ばしたと思うや、高音の稲妻のような音を発したりした。これが音楽か?
とりわけ迫力があったのは、先生の演技たっぷりの表情!
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