2018年6月1日
ミセス・エヴァンスの昼食にはわたしともう一人、招待客がおりました。エヴァンス氏の同僚で、同じくアリゾナ大学天文学研究所に籍を置くドゥエンさん。年恰好はエヴァンス氏と同じくらいの中年男性。どこか、リチャード・ウイドマークに似た感じで独身だそうである。
食後の緩慢な午後のおしゃべりも途絶えがちになり、わたしもそろそろと腰を上げて失礼しようという段で、ドゥエンさんが車で下宿先まで送ってくれる運びとなった。すると、ミセス・エヴァンス、わたしにこっそりと耳打ちしてきた。
「あのね、車が下宿先に着いたら、彼が車のドアを開けてくれるまでちゃんと座席に座って待ってるのよ。それが女性のエチケットなの。近頃の若い女性と来たら、自分でドアを開けてサッサと車を降りてしまう。これだと男性は興ざめします。」
おお、なるほど。分かり申した。アメリカ映画では良く見かけるシーンではないの^^ふむふむ。
と、すっかり気取ったわたし、乗車するときもドアを開けてもらい、降りるときは「自分で降りたほうが早いがな」と思いながらも、じっと座ってドゥエンさんがドアを開けてくれるのを待ったのである。別れ際に、ドゥエンさんから、明日の日曜日、フェニクスまで一緒に食事に行かないかとのお誘い。
特別予定は入っていなかったことだし、たまには息抜きも要る。せんだってのグレイハウンドバスの一件から、女一人がアメリカの見知らぬ町を歩き回ることには、すっかり警戒心を持ってしまっていたわたしだ、願ってもない申し出で、連れていってもらうことにした。
翌朝、ドゥエンさんが我が下宿先ケンタッキーインに横付けしたその車をみて、わたしはひっくり返りそうになった!「ポ、ポ、ポルシェ・・・・」
ポルシェを駆って、ハイウエイをツーソンから一時間半ほどにある、保安官ワイアットアープ、ドク・ホリディ達とマコーり兄弟とのガンファイトを描いた「OK牧場の決闘」で有名な町「Tombstone」(墓場の町の意味)へと向かった。ま、まさか今度は、トム・カツコーとの時のように、後方から「その車、停車せよ!」なんてことはあるまいと一瞬不安が横切ったことを付け加えておく。
その名の如く、西部劇に出てくる古い町がそのまま観光地化され、実話とされるガンファイターたちの墓場も観光のスポットになっており・・・^^:しかし、いかななんでも、縁もゆかりもない墓場の写真をとるは、少し不謹慎であろうと思い、その頃はカメラのシャッターは切らなかった。
後年、ポルトの芸術的な墓石が多いアグラモンテ墓地を訪ねたときも、最初は撮影できなかったのだが、あまりの素晴らしさに、撮影したい誘惑に勝てず、「すんません、一枚撮らせてください」とカメラを向けたのではあった。
昼食をしながらの話題は、意外や、星の話、宇宙人の話と及んだ。渡米する前までのわたしは、考古学遺跡やオーパーツを研究し、古代宇宙飛行士説という独自の持論を唱えるエリック・フォン・デニケンの本を何冊か読んでおり、一般的に世には知られていないものの、この世には、科学的な説明が及ばない古代人の高度な知識があったという、広大な論に思いを馳せては夢見ていたこともあり、ドゥエンさんのなかなかに面白い見解に大いに興味をそそられたのであった。
ドゥエンさん曰く、「ほら、 わたしたちが蟻を目にしても、たかが蟻と、格別、意も払わずにいるだろ?しかし、蟻は蟻で社会があり法則があるのだ。人間社会と似てるのだよ。それと同じようなもので、もしかすると、我々人間は宇宙単位では、科学も技術も非常に遅れた、言わば我々から見る蟻社会と同じに見えるのかも知れないね。」
今もわたしの手元にあるデニケン著書「未来の記憶」。1970年代発行。ページはもうすすけている。
翌日大学へ行くと早速ミセス・エヴァンスが、
「ドゥエンがあなたと正式にお付き合いしたいと言ってるんだけど、どう?彼は人柄はわたし達が保証する。ご両親はもう他界してるから、舅姑の問題はないし、ポルシェを2台、そのほかに2台車をもってるくらいで、経済的にはとても安定した生活ができる人よ。」
や、やっぱりそうか^^; エヴァンスさん、最初からそう言ってくださいよ。
正式なお付き合いはまだダメなんです。わたしはこれから先、本当にアメリカに根を下ろすのか、日本にいるポルトガル人のかの人(夫となった人)とは、果たしてどういう結果になるのか、全て未解決のままなのであって・・・
暇だからとてノコノコ誘いに付いて行った己を反省。しかしなぁ、それでいくと、アメリカ人との付き合いは女性に限られ、男性であれば、最初から「友達として」なんて野暮な断りを入れなければいけなくなるのである。
ポルシェの人、ドゥエンとはそれきりになったものの、ミセス・エヴァンスとは以後も友人関係を保ち、彼女の経験を通して、国際結婚について多くを聞かされたのであった。その時のわたしはまだ、国際結婚の当事者になるかどうか不明だったのである。
ミセス・エヴァンスの昼食にはわたしともう一人、招待客がおりました。エヴァンス氏の同僚で、同じくアリゾナ大学天文学研究所に籍を置くドゥエンさん。年恰好はエヴァンス氏と同じくらいの中年男性。どこか、リチャード・ウイドマークに似た感じで独身だそうである。
食後の緩慢な午後のおしゃべりも途絶えがちになり、わたしもそろそろと腰を上げて失礼しようという段で、ドゥエンさんが車で下宿先まで送ってくれる運びとなった。すると、ミセス・エヴァンス、わたしにこっそりと耳打ちしてきた。
「あのね、車が下宿先に着いたら、彼が車のドアを開けてくれるまでちゃんと座席に座って待ってるのよ。それが女性のエチケットなの。近頃の若い女性と来たら、自分でドアを開けてサッサと車を降りてしまう。これだと男性は興ざめします。」
おお、なるほど。分かり申した。アメリカ映画では良く見かけるシーンではないの^^ふむふむ。
と、すっかり気取ったわたし、乗車するときもドアを開けてもらい、降りるときは「自分で降りたほうが早いがな」と思いながらも、じっと座ってドゥエンさんがドアを開けてくれるのを待ったのである。別れ際に、ドゥエンさんから、明日の日曜日、フェニクスまで一緒に食事に行かないかとのお誘い。
特別予定は入っていなかったことだし、たまには息抜きも要る。せんだってのグレイハウンドバスの一件から、女一人がアメリカの見知らぬ町を歩き回ることには、すっかり警戒心を持ってしまっていたわたしだ、願ってもない申し出で、連れていってもらうことにした。
翌朝、ドゥエンさんが我が下宿先ケンタッキーインに横付けしたその車をみて、わたしはひっくり返りそうになった!「ポ、ポ、ポルシェ・・・・」
ポルシェを駆って、ハイウエイをツーソンから一時間半ほどにある、保安官ワイアットアープ、ドク・ホリディ達とマコーり兄弟とのガンファイトを描いた「OK牧場の決闘」で有名な町「Tombstone」(墓場の町の意味)へと向かった。ま、まさか今度は、トム・カツコーとの時のように、後方から「その車、停車せよ!」なんてことはあるまいと一瞬不安が横切ったことを付け加えておく。
その名の如く、西部劇に出てくる古い町がそのまま観光地化され、実話とされるガンファイターたちの墓場も観光のスポットになっており・・・^^:しかし、いかななんでも、縁もゆかりもない墓場の写真をとるは、少し不謹慎であろうと思い、その頃はカメラのシャッターは切らなかった。
後年、ポルトの芸術的な墓石が多いアグラモンテ墓地を訪ねたときも、最初は撮影できなかったのだが、あまりの素晴らしさに、撮影したい誘惑に勝てず、「すんません、一枚撮らせてください」とカメラを向けたのではあった。
昼食をしながらの話題は、意外や、星の話、宇宙人の話と及んだ。渡米する前までのわたしは、考古学遺跡やオーパーツを研究し、古代宇宙飛行士説という独自の持論を唱えるエリック・フォン・デニケンの本を何冊か読んでおり、一般的に世には知られていないものの、この世には、科学的な説明が及ばない古代人の高度な知識があったという、広大な論に思いを馳せては夢見ていたこともあり、ドゥエンさんのなかなかに面白い見解に大いに興味をそそられたのであった。
ドゥエンさん曰く、「ほら、 わたしたちが蟻を目にしても、たかが蟻と、格別、意も払わずにいるだろ?しかし、蟻は蟻で社会があり法則があるのだ。人間社会と似てるのだよ。それと同じようなもので、もしかすると、我々人間は宇宙単位では、科学も技術も非常に遅れた、言わば我々から見る蟻社会と同じに見えるのかも知れないね。」
今もわたしの手元にあるデニケン著書「未来の記憶」。1970年代発行。ページはもうすすけている。
翌日大学へ行くと早速ミセス・エヴァンスが、
「ドゥエンがあなたと正式にお付き合いしたいと言ってるんだけど、どう?彼は人柄はわたし達が保証する。ご両親はもう他界してるから、舅姑の問題はないし、ポルシェを2台、そのほかに2台車をもってるくらいで、経済的にはとても安定した生活ができる人よ。」
や、やっぱりそうか^^; エヴァンスさん、最初からそう言ってくださいよ。
正式なお付き合いはまだダメなんです。わたしはこれから先、本当にアメリカに根を下ろすのか、日本にいるポルトガル人のかの人(夫となった人)とは、果たしてどういう結果になるのか、全て未解決のままなのであって・・・
暇だからとてノコノコ誘いに付いて行った己を反省。しかしなぁ、それでいくと、アメリカ人との付き合いは女性に限られ、男性であれば、最初から「友達として」なんて野暮な断りを入れなければいけなくなるのである。
ポルシェの人、ドゥエンとはそれきりになったものの、ミセス・エヴァンスとは以後も友人関係を保ち、彼女の経験を通して、国際結婚について多くを聞かされたのであった。その時のわたしはまだ、国際結婚の当事者になるかどうか不明だったのである。
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