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前々から見たかった談山神社の「蹴鞠(けまり)祭り」を見に行ってきた。写真などでは知ってはいたが、初めてである。
ここは、奈良県桜井市の南に位置する、多武峰(とうのみね)と呼ばれる山の手地域。
この多武峰に談山神社(たんざんじんじゃ)があるのです。ダンザンと濁るのではなく、タンザンなのです。
我々地元では、談山神社というよりも「トウノミネさん」と呼ぶことが多いのです。
藤原鎌足を祀る神社なのです。大化改新発祥の地として有名なのです。
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多武峰・談山神社(たんざんじんじゃ)、本殿。藤原鎌足を祀る神社です。
さて、この「蹴鞠(けまり)祭り」は、春(4/29)と秋(11/3)の年2回行われるもので、毎年、かなりの人出が予想されます。
そのため、車の混雑を避けて、またより近くの駐車場に停めたくて午前11時から始まる1時間半前に、催しの会場となる「けまりの庭」に到着したのです。
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「けまり祭り」の神事の準備で、楓の枝に挟まれた鞠(まり)が、供えられている。
それでも既に、「けまりの庭」の中央を囲むように人垣が出来ている。
指定された報道カメラ陣のスペース、来賓席などが設けられている。
権殿の南側石段、神廟拝所の石段、総社拝殿の石段には、一般者が座り込んでいる。
十三重の塔と神廟拝所を背景に入れたいカメラマンが、何重にも陣取っている。
同行したカミさんたちも、全体を見渡せる権殿の石段を確保してしばし待機。
神社の方に確認すると、この「蹴鞠の奉納」は大正15年に現在の駐車場(昔の小学校跡)で行われていた写真が残っているという。
従って、それ以前から奉納されていたのだろうと推測される。その後、昭和33年頃から現在の庭になったとか。
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待ち時間を利用して、本殿内の宝物展示されている江戸時代中期の「蹴鞠(けまり)」と「楓の枝に挟まれた蹴鞠の絵」を、また、皇極天皇の前で曽我入鹿(そがのいるか)の首をはねている「多武峰縁起絵巻」などの展示物を見てきた。(詳細は後日紹介致します。)
11時前になると、見物客も増えて石段の上からでなければ、見られない程に・・・。
四隅に立てられた笹竹、一辺15m程の四角いスペースを幕で囲われた中に、神主さん、蹴鞠を蹴る保存会の方たちが揃われる。綺麗な衣装が紅葉し始めた木々に囲まれた広場に揃う。
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十三重塔の真下、「けまりの庭」で催されたのです。
マイク放送により、本日の儀式・奉納の催し案内があった。
「蹴鞠祭り」の神事から始まる。今年から、この「けまりの庭」で神事が行われるとか。去年までは本殿で行われていたという。
十三重塔がある北側に向かって設けられた祭壇の中央には、楓の枝に挟まれた「蹴鞠」が・・・。
案内によると、今日は楓の枝であるが、他に松、桜、柳の枝が使われるという。松の枝が最も位(くらい)が上だとか。
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古式に従い、楓の枝に挟まれた蹴鞠をおごそかに祭壇からさげられ、この鞠(まり)が使われるのです。
神主の祝詞、玉串奉奠、御祓いが終わり、いよいよ「蹴鞠の奉納」がスタート。
楓の枝に挟まれた蹴鞠を厳かにさげられ、古式に従い枝から蹴鞠を外し(袖で隠しながらの作法など)中央に置く。
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保存会の方達が・・・烏帽子、装束姿で・・・。
保存会の蹴る人が、まず4名のメインが4つのコーナーに分かれ、そしてその横にそれぞれ1名ずつが配置し、計8名が揃ったところで、スタート。
まず、鞠の硬さを手や足で確認し、蹴る強さを覚えるのだ。
そして、蹴りのラリーが始まった。
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沓(くつ)も、靴ではなくて・・・鴨沓(かもくつ)という沓で・・・。
烏帽子、装束の説明があった。
烏帽子の形と紐(ひも)の色で、位(くらい)を表し、紫色の紐が一番上の位とか。
装束も柄によっても位を表すことがあるとか。
沓(くつ)も、靴ではなくて・・・、鴨沓(かもくつ)というそうだ。特殊な靴で、黒の靴の部分に白色や紫色などの足袋のような布地を継ぎ足したもので・・・。
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この鞠(まり)は、卵2個分の重さだ。
この蹴鞠は、鹿の皮2枚で縫い合わされ、毛のある方を内側にして馬の皮で縫い合わせてあるそうだ。
重さは、120~130gだとか。卵2個分ほどの軽さだ。
時々、見物席に飛んだ蹴鞠を拾った人は、その軽さに驚き、納得している様子だ。
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足の甲で蹴り、足の裏は見せてはならない。一人で、3回以上蹴ってはならない、あまり高く蹴ってはならない、などの蹴り方に作法があると言われていた。
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ラリーが10回も続くことはない。それでも、それに近づくと見物席から拍手が起こる。保存会の方達でも難しいのだから、我々だと・・・。こうもいかないのだろう。
蹴るときの掛け声も「あり」「やう」「おう」の3つに決められている。決して、「ありゃ~」ではない。
この3つの言葉は、3人の神さまの名前であるとか。
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決して、競うものでなく、8名で遊ぶもので、疲れた者は途中で代わっても良い。
蹴って、鞠(まり)の形が歪になっておれば、優しく、いとおしく、形を丸くし直して、正面の人に転がして渡しておられた。
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この「蹴鞠祭り」は、中大兄皇子(のちの天智天皇)と、中臣鎌子(のちの藤原鎌足)が、蘇我氏を滅ぼすための、また「大化の改新」計画を蹴鞠に託して練っていたと伝えられているとか。
中大兄が蹴鞠を蹴ったとき一緒に沓(くつ)が、脱げ落ちたため、この沓を拾って差し出したのが中臣鎌子で、これがキッカケで緊密な間柄となったのです。君臣長幼の序をわきまえず、国家を掠め取ろうとする蘇我入鹿を滅ぼすことに繋がると・・・解説されていました。
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最初の8名が20分ほどで、一座が終わった。一座とは一回。少しの休憩の後、二座目が始まった。
同じように、一人ずつ配置に付き、蹴鞠が始まる。そして、20分ほどで終わった。その後、サッカークラブのメンバーが同様の蹴鞠を蹴って、奉納されていた。
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京都では、けまり道の宗家があるとか。何箇所かで、蹴鞠が見られるという。
奈良県ではここ多武峰・談山神社だけなのです。
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貴族的で、雅な、往時の遊びの一つだったのだろう。
いかに落とさずに蹴るか、どれだけ相手が蹴り易いように渡すか、長いラリーを続けられるか・・・協調性が問われる遊びなのかなぁ。
雅やかな装束が秋の陽射しに映えて綺麗だった。
優雅なひとときを過ごさせて貰った。
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古式豊かな神事・・・以前、TVで見たと思ってますが、大勢の人出で撮影も大変でしたでしょう。 まったく知識がなく、旧い時代のスポ-ツだとばかり思ってましたが、おっしゃるとおり貴族の優雅な遊びなのかも知れませんネ。 技術も、相当になければ・・・サッカ-選手の奉納に、触れておりますが、同競技の選手だったら上手いのかなと思ってます。
優雅な世界に浸れましたね、ここの蹴鞠かどうか分かりませんが、ずーと以前にTVで見たことあります。確かにラリーは長くは続きませんでした。写真を見ただけでも装束もりっぱなようですね。今月末にここを訪ねることになっておりますので、現地で蹴鞠の様子を想像してみます
考えてみれば発祥の地とも言うべき所ですものね。
一度蹴鞠を見たいと思っているのですが…。
古式ゆかしい伝統の蹴鞠はやはり優雅で、遊びと
いえど厳かな感じがします。
装束がとてもきれいです。青空に映えますね。
烏帽子の紐の色まで位によって違いがあったとは、
きびしいのですね。
楓の枝に鞠を挟んでおくのも、挟む木に格があるのも
初めて知りました。面白いですね。
カメラマンの方が譲ってくださった場所だけあって
全体の様子がきれいに撮れていて、よくわかりましたよ。
談山神社は「歴史のお重箱や~」と彦丸なら言うでしょうね。そのくらい歴史が詰まっています。「大化の改新」から後醍醐天皇まで、地元の人でも理解するのにたいへんですね。
私も、いきたかったのですが、ちょっと用事があったので、長時間家をあけられず・・・涙。
しかし、さすがに人が多い!
この日は、快晴で、まさに秋の散策日和でしたよねぇ~w
素敵な写真ありがとうございます!!