北国の香・・・スズラン群生地を訪ねて

初夏の便りとして紹介するには、ちょっと早いかも知れないが・・・でも連日３０度を超す暑さゆえ・・・北国の香り「スズラン」を、大和の地よりお届け致します。

ここ奈良市・宇陀市・桜井市の境界地にある香酔山の麓にある「吐山スズラン群生地」を訪ねた。

県道３６９号横の立派な看板から西側に向う小道を登り、手作り看板づたいに対向すらできない細い道を進み辿り着いた先は、山裾。駐車場がないため行き止まりの道に車を停めるしかない。

ひとあし先に、一組のご夫婦が来られていて、お互いの車を入れ替えて・・・挨拶代わりの花の様子を尋ねると・・・「まだ、早すぎたようで・・・」とのこと。

昼なお薄暗い杉木立の中に人が通った山道が続いている。
入り口にも看板が・・・。

日本の南限として国の天然記念物に指定されたこの地には、６００平方メートル程度の傾斜地に優しい陽射しを浴びた緑色のスズランが密集している。
柵が設けられ、案内看板とともに立入り禁止・採取禁止の看板も・・。

表題で「北国の香り」としたものの、香りを嗅ぐには近づけず、漂うほども花は無く・・・眼を凝らして花を探します。
日当りの良い場所で、１０本ほどしか見られません。
小さな花が葉の下に・・・それも蕾状態が大半です。

わが家の路地植えスズランは既に咲き終えたが、一般的なドイツスズランは、茎と葉の高さが同じくらい。でもここのスズランは、葉っぱが幅広で大きく、葉の下で隠れるようにして咲いている。
花の付き方も、茎にぶら下がる釣鐘も、どうも小振りで可愛く見える。

顔の正面を隠すようにうつむき加減に咲く花を撮るには、かなり難しい。身を乗り出して、カメラを地面につけて・・・と、凄い格好だ。

今朝から下草が刈られたのか、周りの雑草がなくなっており、手入れの良さが伺える。撮影に下草がないのがありがたい。

案内看板には、５月初旬から中旬に開花するとあったが、昨日でこの状態。他の花と違って・・・ここだけは少し、遅くなっているようだ。

海抜５００～６００ｍに位置し、南面の山と周りの樹木に強い陽射しが遮られ夏季でも冷涼の地となり、それにも増して、地元の方の木々の枝打ちや下草刈りなど適切な管理が生育を守ってきたのだろう。

この地の近くにも、「向淵スズラン群落」があって、適度な湿度、清涼な空気、短い日照時間が、生育条件なのだろう。
この地から持ち出しても、育たないと言われている。

あと、１週間もすれば、ほぼ咲き揃って、甘い香りが漂っているだろう。
もう一度、満開の姿を見に来ることにしょう。


▲この山道の奥に群生地があります。

▲この山の斜面一帯に群生しています。

▲地元の方により下草も刈られていました。手入れが大変です。
左側の写真で見ると、どこに花が咲いているか、わかりますか？葉の下に隠れています。

▲一般的に普及しているスズランとは、葉っぱの大きさや花の付き方が違うように見えたのですが・・・私の思い込みでしょうか？