STUDIO T・S・A /Nandin
ゴールド珊瑚にアメジストを組み合わせ、エキゾチックな色味に仕上げました。珊瑚は珊瑚でも、後処理を施した変わり種。
元は黒珊瑚で、色を抜くと、光により複雑に変化する、こんな素敵なゴールドが現れるそうです。右端はラリエット。
朱は染めなのですが、その色はまるでアンティークの褪色した珊瑚のよう・・・。なかなか味のある色味です。
子供の頃嫌いだったのに大人になって好きになった宝石の中に、珊瑚があります。
”不透明でつまらない・・これが誕生石の人はかわいそうだなぁ。自分たちは違くて良かった!”と。
まぁ小さい子は大抵、アメジストやルビーなど透明感のある石を、”きれいだなぁ。宝石だな。”とか思うんではなかろうか。
(・・・といってもダイヤは対象外。子供にとっては色が付いてなきゃ”宝石”でないのです!)
それこそ、この仕事を始めてしばらく経つまで珊瑚に興味がなく、
取引先からの依頼があって初めて手を出した、というものでした。
1度使ってからは好きになり、今では年中登場する素材となりました。単に食わず嫌いだったのか?
思うにこれは、食で言えばコーヒーか何か・・そう、大きくなると好きになる、
ちょっと”大人の素材”だったのではないかなぁ~・・? 少なくとも私達にとっては。
珊瑚は日本人にとって、宝飾品としてとても馴染みのある素材です。
古くから簪(かんさし)や帯留めなどにも好んで利用されてきました。
それは日本が世界有数の珊瑚採取地でもあるからで、
珊瑚の国際的な取引には日本語の「匁」(もんめ/momme)が単位として使われるそうです。
珊瑚と日本人の繋がりの深さがうかがえます。
そう思うと自分たちが珊瑚を使うことの自然さと意義みたいなものを感じて、益々愛着が湧いてきちゃうのです。
(最初はその”日本的・和風”なイメージのせいで敬遠してた気もするが・・・。)
さて私達の思う珊瑚の魅力ですが、何といってもイメージの幅の広さです。
一つの素材でこれだけ様々な印象を持つものも少ないかと思います。
赤ちゃんのほっぺたのように淡くかわいらしいピンクから、血のように情熱的で妖艶な赤、
そして白があれば黒もある、本当に様々な表情を持つ素材です。
また、彫刻のような細かい加工に向く素材でもあり、その反面、枝珊瑚などのようになるべく手をかけず、
天然の形をそのまま生かすことでも、とても魅力を発揮する素材です。
この秋は変わり種を使用してみましたが、来年にはグレードアップした、”正統派珊瑚”を是非登場させたいと思っています。
妖艶で大人な深紅の珊瑚を! あー欲しいなぁ。
<cente/r>