続きだ。
今日麩の店…恐怖の店だよ。
おれとおんちゃんは 特上の超特上の 上々気分で「じゃぁよぉ~ もう一件行くか?!」となった。
好奇心旺盛なおれは 路地裏に入った。
この路地裏は 以前仙台の叔父と よく通った路地だ。
超怪しげな店に入った。
一見綺麗なおねいさんが「いらっしゃぁ~~~い!」と これまた超御機嫌さんな挨拶で迎えてくれた。
蒸しおしぼりで 一応ちょい酔い醒ましの為に顔を拭った。
顔を拭わなければ良かった…なんて 後の祭りだ。
よぉ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~く
おねいさんの顔を見たら おねいさんじゃぁ無く…超年配だ。
「しまった!!!」なぁ~~~んて後悔しても 祭りの後の空しさだ。
ドン引きも良い所だ。
「何しますぅ~」と おれの側に座っちゃった。
おんちゃんは 隣に座ったねいさんに 一生懸命 今日の様々な出来事を これまた御機嫌さんに話してる。
完全なる馬鹿だ。
「じゃぁ…ビール」と言った筈だが 出て来たのは日本酒だ。
しかも 一升瓶をテーブルに置いた。
カウンターに居る 明らかに婆さんが指図したんだ。
「おれ ビールって言ったのにな」とか言うと 怪しいおねいさんは
「だ あってぇ~~~ママが持って行けって言うんですものぉ~」と 厚化粧の奥で にこやかな顔で言う。
ぼっちゃんか??? と思ったが 後の祭りだ。
ぼっちゃんだったら おんちゃんを人質に とっとと逃げれば良い。
何かツマミを注文しようとしたら 牛が立って歩いて来て テーブルに どん!
と でっけぇ~器に入った漬物を 置いて行った。
おれとおんちゃんの側に座っちゃった おねいさんは…
ムリムリ若い子の話方で しっしで話をする。
音楽とか絵の話だ。
???………何処かで…
うぅ~~~婆さんが来る。
真っ直ぐに こっちへ来る…来なくても良いのに やって来る。
婆さんは座るなり おれをじぃ~~~っと見つめ「○○○先生の甥だね。知ってたよ」と言うから
びっくりして 気持ちは宇宙の果てに飛んじまった。
尚も言う。
「あんた 先生と来てから ちょくちょく一人で来て飲んで行きんしたな」と これまたビックリするような事を言うんだ。
トドメを刺すように「銘柄は 何時も 伊達政宗だ」
思い出しちゃった。
この店は新しいけど 昔はボロだった。
カウンター席だけで 目の前には何時もおでんが煮えていた。
「はんぺん」と注文すると「まだだ!」と言われ「じゃぁ…大根」と言うと「まだ煮えてない!」と 怒る。
「飲んでろ!」と言い ドスンと「伊達政宗」の一升瓶を置かれ「けぇ!…食え…」と言い
これまた丼に山盛りの漬物を置く…そう言う店だった。
お金は どんなに飲んで どんなに食っても 2000円しか取らない。
思い出した頃「こっちへ来い」と言われ おれだけカウンターに座らせられた…ら…
カウンターの奥の棚に 日本酒に囲まれた叔父の小さい絵が 懐かしいタッチの絵が置いて有った。
カウンターの目の前には これまた懐かしい巨大なおでん鍋が有る。
婆さんは 目の前に 空の汚い丼を置いた。
「懐かしいっすぺ?」と言い 日本酒を どくどく注いでくれるんだ。
叔父と婆さんと三人で 丼酒を飲んでいたのを思い出してくれた。
おれが 懐かしいあまり「あのぉ~」と 話しようとしたら「黙って飲め。10年にいっぺん位い 思い出してけさい」
と 婆さんは言いながら 丼酒を美味そうに飲む。
さっきまで座ってたボックス席から おねいさんの声で
「あらぁ~~~懐かしいごだぁ~ママ丼で飲んでるっすぅ~」と聞こえる。
帰る時 お金を払おうとしたら 婆さんが奥で「知ってっぺした!」と 怒鳴ってる。
二人分で4000円だ。
しかも「この道行って 何処そこの角曲がって そこへ行け」と 命令された。
店を出た時に 冷たい風が体に当たった瞬間 不覚にも涙が出て来た。
「10年にいっぺん位い 思い出してけろ」って言われても 10年後に来たら
婆さん あんたは 何時ものカウンターに居てくれるのかよ?
って 思ったからだ。
命令された店に行ったら 懐かしいカウンターの奥に 懐かしいマスターが居たんだよ。
「いらっしゃい」と言いながら これまた懐かしい丼を置き おんちゃんの前には 綺麗なグラス。
マスターは丼に 濁り酒をどっぷんどっぷん注いで おんちゃんにはグラスに。
この店は おれの大好きなギンダラの焼き物が出てくる。
おんちゃんは さっきからのパターンを不思議がって「何でさっきから丼なんだ?」と聞くから
黙って飲め! と言わんばかりに無視した。
お通しは 里芋の煮付けだ。
この店は 何時行っても里芋の煮付けだ。
今も昔も変わって居なかった。
濁り酒を 里芋の煮物と懐かしがっていると ギンダラが出て来た。
しかも ギンダラの隣には タクアンが添えてある。
昔の仙台の人間は こう言う人が居た。
きちんと常連の好きな物を 何年も何年も忘れない人が沢山居た。
隣のおんちゃんは ギンダラを食いながら「美味いなぁ~!」を 連発している。
ここの店は 婆さんの店同様 どんなに飲んでも食べても1000円だ。
今時 マサカなぁ~と思ったけど 聞いて見た。
「マスター 何時もの料金か?」と言うと マスターは「忘れたのか?」と 笑いながら言うんだ。
二人で飲んで食べて2000円だった。
店のドアを開けたら 後ろで「行ってらっしゃい」と 元気なマスターの声が。
仙台には おれの帰る所が有るんだな。
「ただいまっ!」って 帰る所が有るんだよ。
今度何時か行く時があったら…婆さんの店とマスターの店 思い出だけになってなければ良いな。
今日麩の店…恐怖の店だよ。
おれとおんちゃんは 特上の超特上の 上々気分で「じゃぁよぉ~ もう一件行くか?!」となった。
好奇心旺盛なおれは 路地裏に入った。
この路地裏は 以前仙台の叔父と よく通った路地だ。
超怪しげな店に入った。
一見綺麗なおねいさんが「いらっしゃぁ~~~い!」と これまた超御機嫌さんな挨拶で迎えてくれた。
蒸しおしぼりで 一応ちょい酔い醒ましの為に顔を拭った。
顔を拭わなければ良かった…なんて 後の祭りだ。
よぉ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~く
おねいさんの顔を見たら おねいさんじゃぁ無く…超年配だ。
「しまった!!!」なぁ~~~んて後悔しても 祭りの後の空しさだ。
ドン引きも良い所だ。
「何しますぅ~」と おれの側に座っちゃった。
おんちゃんは 隣に座ったねいさんに 一生懸命 今日の様々な出来事を これまた御機嫌さんに話してる。
完全なる馬鹿だ。
「じゃぁ…ビール」と言った筈だが 出て来たのは日本酒だ。
しかも 一升瓶をテーブルに置いた。
カウンターに居る 明らかに婆さんが指図したんだ。
「おれ ビールって言ったのにな」とか言うと 怪しいおねいさんは
「だ あってぇ~~~ママが持って行けって言うんですものぉ~」と 厚化粧の奥で にこやかな顔で言う。
ぼっちゃんか??? と思ったが 後の祭りだ。
ぼっちゃんだったら おんちゃんを人質に とっとと逃げれば良い。
何かツマミを注文しようとしたら 牛が立って歩いて来て テーブルに どん!
と でっけぇ~器に入った漬物を 置いて行った。
おれとおんちゃんの側に座っちゃった おねいさんは…
ムリムリ若い子の話方で しっしで話をする。
音楽とか絵の話だ。
???………何処かで…
うぅ~~~婆さんが来る。
真っ直ぐに こっちへ来る…来なくても良いのに やって来る。
婆さんは座るなり おれをじぃ~~~っと見つめ「○○○先生の甥だね。知ってたよ」と言うから
びっくりして 気持ちは宇宙の果てに飛んじまった。
尚も言う。
「あんた 先生と来てから ちょくちょく一人で来て飲んで行きんしたな」と これまたビックリするような事を言うんだ。
トドメを刺すように「銘柄は 何時も 伊達政宗だ」
思い出しちゃった。
この店は新しいけど 昔はボロだった。
カウンター席だけで 目の前には何時もおでんが煮えていた。
「はんぺん」と注文すると「まだだ!」と言われ「じゃぁ…大根」と言うと「まだ煮えてない!」と 怒る。
「飲んでろ!」と言い ドスンと「伊達政宗」の一升瓶を置かれ「けぇ!…食え…」と言い
これまた丼に山盛りの漬物を置く…そう言う店だった。
お金は どんなに飲んで どんなに食っても 2000円しか取らない。
思い出した頃「こっちへ来い」と言われ おれだけカウンターに座らせられた…ら…
カウンターの奥の棚に 日本酒に囲まれた叔父の小さい絵が 懐かしいタッチの絵が置いて有った。
カウンターの目の前には これまた懐かしい巨大なおでん鍋が有る。
婆さんは 目の前に 空の汚い丼を置いた。
「懐かしいっすぺ?」と言い 日本酒を どくどく注いでくれるんだ。
叔父と婆さんと三人で 丼酒を飲んでいたのを思い出してくれた。
おれが 懐かしいあまり「あのぉ~」と 話しようとしたら「黙って飲め。10年にいっぺん位い 思い出してけさい」
と 婆さんは言いながら 丼酒を美味そうに飲む。
さっきまで座ってたボックス席から おねいさんの声で
「あらぁ~~~懐かしいごだぁ~ママ丼で飲んでるっすぅ~」と聞こえる。
帰る時 お金を払おうとしたら 婆さんが奥で「知ってっぺした!」と 怒鳴ってる。
二人分で4000円だ。
しかも「この道行って 何処そこの角曲がって そこへ行け」と 命令された。
店を出た時に 冷たい風が体に当たった瞬間 不覚にも涙が出て来た。
「10年にいっぺん位い 思い出してけろ」って言われても 10年後に来たら
婆さん あんたは 何時ものカウンターに居てくれるのかよ?
って 思ったからだ。
命令された店に行ったら 懐かしいカウンターの奥に 懐かしいマスターが居たんだよ。
「いらっしゃい」と言いながら これまた懐かしい丼を置き おんちゃんの前には 綺麗なグラス。
マスターは丼に 濁り酒をどっぷんどっぷん注いで おんちゃんにはグラスに。
この店は おれの大好きなギンダラの焼き物が出てくる。
おんちゃんは さっきからのパターンを不思議がって「何でさっきから丼なんだ?」と聞くから
黙って飲め! と言わんばかりに無視した。
お通しは 里芋の煮付けだ。
この店は 何時行っても里芋の煮付けだ。
今も昔も変わって居なかった。
濁り酒を 里芋の煮物と懐かしがっていると ギンダラが出て来た。
しかも ギンダラの隣には タクアンが添えてある。
昔の仙台の人間は こう言う人が居た。
きちんと常連の好きな物を 何年も何年も忘れない人が沢山居た。
隣のおんちゃんは ギンダラを食いながら「美味いなぁ~!」を 連発している。
ここの店は 婆さんの店同様 どんなに飲んでも食べても1000円だ。
今時 マサカなぁ~と思ったけど 聞いて見た。
「マスター 何時もの料金か?」と言うと マスターは「忘れたのか?」と 笑いながら言うんだ。
二人で飲んで食べて2000円だった。
店のドアを開けたら 後ろで「行ってらっしゃい」と 元気なマスターの声が。
仙台には おれの帰る所が有るんだな。
「ただいまっ!」って 帰る所が有るんだよ。
今度何時か行く時があったら…婆さんの店とマスターの店 思い出だけになってなければ良いな。