「なかなか暑い日が続くねえ」
「そうだね、もう九月も終わろうというのに」
「全くだ。しかし君、この残暑の厳しさにも理由があるというのを知っているかい?」
「さぁ…。ん?まさか温暖化が進んでいるせいとか言うんじゃあないだろうな」
「何を仰る、そんな本当かどうかも分からない学説を持ち出すわけがないだろう」
「そうかい?では一体なぜこんなに残暑が厳しいんだ?」
「…ケツイノホノオさ」
「ケツイノホノオ…?」
「そう。夏と言えば何を思い浮かべる?」
「海とか…?セミとか花火とか…?」
「そうそう。ところでその花火などについてなんだが、身に覚えはないか?」
「…どんな?」
「だいたいの人間にはあるはずだ。恋人、もしくは恋人にしたい異性と花火を見に行きたいと願ったことは。」
「なるほど。恥ずかしながら身に覚えはある。」
「ちなみに、実行できたことはあるかい?」
「まあまちまちだね。とんとん拍子に行くこともあるし、無様に打ち倒されたこともあった。」
「そう、必ずしも上手くは行かないだろう。しかもだいたいの結果は後者だ。それで大抵の人間は夏に寂しい気持ちを抱く。そして、来年こそは…とね。」
「ちょっと待ちなよ。まさかケツイノホノオというのは…」
「察しの通り。夏の挫折者達の心の中で燃えたぎっている炎のことさ。」
「どんな立派な話をしてくれるかと思えば、なんか拍子抜けだな。」
「甘いね、このことは明らかに気候と密接な関係があるのさ。考えてみなよ、10月になれば気温は落ち着いてくるだろう?」
「確かにそうだが、それは地球の動きの賜物だろう。」
「人間は熱しやすく冷めやすいからな。10月くらいになったらその決意など忘れてしまうのさ」
「しかし、12月になったらまたケツイノホノオは燃え始めるのでは?」
「普通に考えたらそうだろうな。しかしそこはね、ケツイノホノオを上回るものが気温を下げるのさ」
「何だい?そりゃあ」
「ひとりぼっちの人間の寂しい心さ。ケツイノホノオなど見事に打ち消され、冷たい風が心に吹き荒れているわけだね…」
2月がもっと寒くなる理由は、二人の会話を聞いて下さったあなたであれば容易に察していただけるだろう。
「そうだね、もう九月も終わろうというのに」
「全くだ。しかし君、この残暑の厳しさにも理由があるというのを知っているかい?」
「さぁ…。ん?まさか温暖化が進んでいるせいとか言うんじゃあないだろうな」
「何を仰る、そんな本当かどうかも分からない学説を持ち出すわけがないだろう」
「そうかい?では一体なぜこんなに残暑が厳しいんだ?」
「…ケツイノホノオさ」
「ケツイノホノオ…?」
「そう。夏と言えば何を思い浮かべる?」
「海とか…?セミとか花火とか…?」
「そうそう。ところでその花火などについてなんだが、身に覚えはないか?」
「…どんな?」
「だいたいの人間にはあるはずだ。恋人、もしくは恋人にしたい異性と花火を見に行きたいと願ったことは。」
「なるほど。恥ずかしながら身に覚えはある。」
「ちなみに、実行できたことはあるかい?」
「まあまちまちだね。とんとん拍子に行くこともあるし、無様に打ち倒されたこともあった。」
「そう、必ずしも上手くは行かないだろう。しかもだいたいの結果は後者だ。それで大抵の人間は夏に寂しい気持ちを抱く。そして、来年こそは…とね。」
「ちょっと待ちなよ。まさかケツイノホノオというのは…」
「察しの通り。夏の挫折者達の心の中で燃えたぎっている炎のことさ。」
「どんな立派な話をしてくれるかと思えば、なんか拍子抜けだな。」
「甘いね、このことは明らかに気候と密接な関係があるのさ。考えてみなよ、10月になれば気温は落ち着いてくるだろう?」
「確かにそうだが、それは地球の動きの賜物だろう。」
「人間は熱しやすく冷めやすいからな。10月くらいになったらその決意など忘れてしまうのさ」
「しかし、12月になったらまたケツイノホノオは燃え始めるのでは?」
「普通に考えたらそうだろうな。しかしそこはね、ケツイノホノオを上回るものが気温を下げるのさ」
「何だい?そりゃあ」
「ひとりぼっちの人間の寂しい心さ。ケツイノホノオなど見事に打ち消され、冷たい風が心に吹き荒れているわけだね…」
2月がもっと寒くなる理由は、二人の会話を聞いて下さったあなたであれば容易に察していただけるだろう。