むさしの墨友会

現代書道の父、比田井天来先生の門流である桑原翆邦先生の門人の吉野大巨先生を師として、書を愛好する仲間の会です。

「書とかをり」

2014-02-14 | 書道

神代植物公園の大温室には睡蓮の花が咲いています。

昨日、一枚のファックスが入っていました。

吉野大巨先生からです。

何もコメントは書かれていませんが、桑原翆邦先生遺稿と題されていました。

昭和11年9月号所載と記されています。

内容をご紹介いたします。

 

 

 

「書とかをり」

夏になりました。

いろいろな花が咲いて居ます。

真っ白い花、まっかな花、きいろい花、紫の花、どれもみんなきれいです。

大きな花もあります。

小さな花もありあます。

一輪さきのものもあれば、たくさんの花が房のやうになったものもあります。

ちっとも目立たない色をしながら、気高い清らかなかおりをはなつ花があります。

 形も大きく、色も鮮やかなのに、少しもかをりのない花もあります。

中には頭のいたくなる様な いやなにほひの花もあります。

そんな花はいくらきれいでも人にいやがれます。

かをりのない花は、つくりばなと同じ様で、ゆかしくありません。

花には、色よりも、かたちよりも、かをりが何よりも大切です。

書も花も同じことです。

形のよい字よりも、筆使ひの上手な字よりも、かをりの高い字が、一番よいのです。

かをりの高い字はどうすれば書くことが出来るか。

それには昔の人の立派な手本を習はなければなりません。

人格を願いて、気高い人となる様に心がけなければなりません。

(魚目)

 

 

本来はであれば縦書きでカナをふってご紹介出来れば、桑原翆邦先生の想いが少しでもお届け出来たのかも知れません。

今日は少し、書道仲間である「むさしの墨友会」のブログ内容になったかと思います。

ご紹介した花が邪魔だったかも知れませんね。

お許しを・・・。

 

(萬 鶴)