宮澤賢治の里より

下根子桜時代の真実の宮澤賢治を知りたくて、賢治の周辺を彷徨う。

「すごい勇気だと思う」というコメントに頷く

2018年05月24日 | 賢治関連
〈『羅須地人協会跡地の朝』(平成28年12月8日撮影)〉

 さて、5/22(火) 15:05配信の日刊スポーツ(nikkansports.com )の
     アメフト日大選手の直接謝罪、内田前監督が止める
によれば、
 アメリカンフットボールの定期戦での悪質な反則行為で関学大の選手を負傷させた日大の選手の会見が22日、都内の日本記者クラブで行われた。
とか、
 冒頭で西畠正弁護士は、今回の会見について「顔を出さない謝罪はないと会見を決意した」と説明。また「反則行為の指示があったことを明らかにするのが会見の趣旨」と述べた。
という。

 これに対して、Colosseum氏が
   すごい勇気だと思う
というコメントを寄せていたので私は頷いた。Colosseum氏の仰るとおりだからだ。厳しい言い方になるが、日大のこの選手のやった行為を是認はできない。がしかし、顔出しで実名も明らかにした上で謝罪、真実を語ったことは立派で潔いと私は思うし、その勇気に最大限の敬意を表したい。
 先に私は〝「ウソは他人を巻き込んでいく」〟において投稿したように、まさに箴言「過ちては改むるに憚ること勿れ」を地で行っているある一人の男性の身の処し方に感銘を受けたが、時をおかずにそのような人がまた現れたと、しかもその人は若者であったということで私は再び感銘している。私たち年寄りは若者から学ばねばならない、とまた思った
 それは、指導者である人生の先輩である監督の謝罪の仕方には、私から見れば誠意も誠実さも微塵も感じられなかったが、そのような監督から指導を受けている選手の謝罪の仕方には逆に、真摯で誠実さが溢れていることが容易に感じ取れたからなおさらにである。

 やはり人間って、間違うことよりも、それ以上にその間違いの後でどう対応するかで決まるな、と認識を新たにした。

 翻って、今回の〝賢治学会代表理事名文書全学会員宛送付事件〟をこの謝罪と比べながら考察してみたい。
 そもそも、今回の当該の文書、
    学会員の皆名様へ:「宮沢賢治・花巻市民の会」会報(2017年9月1日付)における本学会に関する誤報問題等のその後につきまして
についてだが、その中身といえば増子義久氏が〝黄昏(たそがれ)の宮沢賢治”学会“〟において、
    手続きのあり方を声高に言い募(つの)る文面に腰を抜かしてしまった。
と呆れているように、代表理事名の文書は問題の本質には触れずに手続きのあり方にだけ拘っており、しかもその瑕疵がまるで「宮沢賢治・花巻市民の会」にだけあると言い募っているようなものである。つまるところ、「三陸支援募金活動の禁止命令」が出た原因は全て「宮沢賢治・花巻市民の会」にあるというような書き方をしている。しかし今回の「行き違い」に於いて、これだけこじれてしまった最大の原因は理事会の側にあったということはなかったのだろうか。そこにあったのは、今回の日大アメフト部監督からの「相手をつぶせ」の指示と同じような構図が、つまり、あったのは力学だったということはなかったのだろうか。

 実際、「宮沢賢治・花巻市民の会」は、理事会から「特定の本は売るな(実際には今までも特定の本は売られていたということがあったというのに)」、「海産物は売るな(こんなことは保健所に申し出れば可能なことのはずなのに)」と言われたのだが、賢治精神を発揮して大槌の子どもたちを支援しようということが今回の目的なのだからということで、間違っているとは思わなかったがそれらの二つは諦め、今回は理事会の指示どおり現金募金だけに取り組むことに決めたのだった。そしてその分、沢山の募金を集めようと気持ちを切り替えた。ところがなんと、その現金募金さえもその実施直前に理事会から禁止命令が出たのである。そしてその理由はといえば、謝罪文(そもそも謝罪せねばならないものなのかどうかさえも私には未だもって分からないでいるものだが)が期限(理事会が一方的に決めたもの)までに届かなかったということが理由だった。残念なことに、それまでに「市民の会」は目的達成のためにいくつかの妥協をしたというのに、理事会は何一つ妥協しなかったのである。そして、手続き上の問題があると決めつけ、賢治精神の実践を止めさせたのである。
 しかもこの「対立」は約半年前に既に沈静化したものだ。ところが一体何を思ってのことなのだろうか、一度沈静化したものをその約半年後の今になって、また対立を煽るような内容の文書で学会員全員宛に代表理事名で送付したわけで、これではまるで再び対立を起こそうとしているかのごとくである。

 なお、現時点では「学会員の皆名様へ:「宮沢賢治・花巻市民の会」会報(2017年9月1日付)における本学会に関する誤報問題等のその後につきまして」の全文を公にすることは、理事会の名誉のためにしたくないのだが、私の名誉のために一部だけ明らかにさせてもらう。
 その一点目は、同文書の4p目の「4」中に、
 鈴木氏は……総会時と同様本学会批判を……行っていますが
とありますが、私はそんなことなどはしておりません。そもそも私は今までもこれからも学会員です。なぜ天に唾を吐くようなことを私はしなければならないのでしょうか、するわけがないじゃないですか。私が今回批判しているのは同学会の理事のお偉方のやり方に対してです。学会の批判などしておりません。それも全て、ひたすら賢治学会の発展を願っているが故にのことです。くれぐれも誤解なきように。
 そして二点目は、同文書6pに、
 鈴木様はその過程で、学会から正式に春季セミナーにおける資料提供や登壇の打診・依頼があったという印象を得られたようですが
とありますが、そんな「印象」をしかも勝手に想像してそれを公の文書には書くということは如何なものでしょうか。事実としても、私はそもそもそんな「印象」など持っておりませんでした。そしてそのことは、その前頁5pの「6」の引用文<*1>からも容易に導かれることでしょう。私はあくまでも、
・『発表するのですかしないのですか、はっきりさせていただきたい』、と当該責任者に対して直接面と向かってお願いしたことなのにその後返事が全くなかったこと
・ところがその一方で、同責任者が私の一連の賢治研究を陰で痛罵していたこと
が問題だと、至極当たり前のことを私は言っているだけだと思います。これまた、曲解なされませぬように。

 さて、箴言「過ちては改むるに憚ること勿れ」は一体誰に今必要なのであろうか。そして、このような勇気を発揮せねばならないのは一体誰なのだろうか。潔く謝罪した日大の選手から早速学ばねばならないのは誰なのだろうか。

 そういえば、ある人が嘆いていた、
    今回の文書送付はまさに子どもたちがやっている虐めと同じ、いやそれ以下じゃないか。
と。

<*1:註> この引用文は精確には次の通りである
 さて、私は何故《「羅須地人協会」の会員等一覧(叩き台)》という資料を作ったのかというと、
 『羅須地人協会のメンバーを調べて一覧を作り、この3月25日に行われる「賢治学会イーハトーブセンター」主催の「2017年春期セミナー」で発表してほしい』と、当セミナーの責任者T氏から間接的に依頼された。
と私は認識していたからである。
 そこで、去る12月21日(水)にその責任者と直接お会いした際に、この《「羅須地人協会」の会員等一覧(叩き台)》をお渡しし、
 なぜ私がそのような認識をしたのかということの顚末を同責任者に話し、その一覧作成のためにわざわざ上京したということ、そしてそれは何故だったのかということも説明した。しかしこの発表については同責任者からの直接の指示はなかったことだったから、『私は一体今度の「春期セミナー」で発表するのですかしないのですか、はっきりさせていただきたい』とお願いした。
のだが、その後本日まで同責任者からは一切の回答がなかった。一方で、あったことは、同責任者が私の一連の賢治研究を痛罵しているという事実だった(もし私の研究をT氏が批判したいのであれば、陰で仰有らずに直接私に言ってほしかった。そうすれば、この痛罵の論理が脆弱、感情レベルのものであり、しかも私に比べてT氏は羅須地人協会時代のことや、賢治に関することをよく分かっておられないといういうことをT氏にお伝えできたであろうに)。

 ちなみに、実際の《「羅須地人協会」の会員等一覧(叩き台)》は以下の通りである。
*******************************************************************************************************************
 私のような者が今頃になって作るまでもなく、疾うの昔に少なからぬ賢治研究家の方々がこのような一覧表を作っていて当然のはずだ。それもかくの如き叩き台のような中途半端なものではなくて、もっと完成度の高い一覧表をである。ところがそのようなものはもちろんのこと、このような中途半端なものでさえも作った人は未だかつて誰一人としていないはずだ。全く不思議なことに。

 「典拠欄」の<〇囲み数字、頁数>は、下掲の【典拠リスト】のそれぞれに当たる。









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《『本統の賢治と本当の露』の広告 》(平成30年5月1日付『岩手日報』一面下段)

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      〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
               電話 0198-24-9813
 なお、〈目次〉は以下のとおりです。




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