私の写真家として五大作品・・・というのがもしあれば、まず第一に取り上げるのが、セルフポートレートの『貰った背広』という作品だ。
写真学校の学生だった時期に、自分自身を撮る『自写像』を思いつき、日常の自分がどんな風に観えるか?という興味と、
兎にも角にも、なんの遠慮もなくカメラを向ける事ができる唯一の被写体・・・という理由であったが、
それは、自己観察の『観』が『自在(自分在り)』の確認欲求であって・・・後に『禅』へと向かう伏線であったのだろう。
この自写像作品『貰った背広』で、写真雑誌『写楽』企画により先日話した『坂本龍一賞』を受賞した。
またこの作品で新宿のオリンパスギャラリーで個展をした時に、アサヒカメラという雑誌に柳本尚規氏が批評を書いて下さったが
それまでの私の写真活動の中で、彼の批評こそは私のかけがえのない『勲章』のようで、誇らしくまた嬉しかった。
この批評文の後半に 『自分を理解できるのは自分だけだという、その光り輝く精神の時期、その真っ直ぐな気持ちをそのままフイルムに
密着焼きしたような作品である』・・・と書いて頂いたが、それを読んだ時、私は初めて自分の作品を『あぁ、そうだったのか・・・』と納得したのを思い出す。
昨日、ブログに『朝倉未来』氏の事を書いたので、彼の第一回目のYoutubeをあらためて観ると、『欲しいものはなんですか?』というファンの質問に対して
彼の答えは『(自由に生きる為の)金が欲しい』・・・と言ったのが印象に残った。そして今、彼は若くして、その『金も地位』も手に入れたわけだ。
それに対して、私が20種以上の職を転々としながら人生を歩んできたのは自己の『内なる自由』を絶対に誰にも邪魔させない・・・という自覚と、
彼とは逆に、『金に煩わされない生き方』を幼い頃から標榜していた事を、この批評文は私に思い出させてくれた。
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