拈華微笑 ネンゲ・ミショウ

我が琴線に触れる 森羅万象を
写・文で日記す。

  還暦ギャラリー『森』 〜 密着焼きの中の孤高の"青春”

2023年04月07日 | 必撮無眼流

  私の写真家として五大作品・・・というのがもしあれば、まず第一に取り上げるのが、セルフポートレートの『貰った背広』という作品だ。

  写真学校の学生だった時期に、自分自身を撮る『自写像』を思いつき、日常の自分がどんな風に観えるか?という興味と、

  兎にも角にも、なんの遠慮もなくカメラを向ける事ができる唯一の被写体・・・という理由であったが、

  それは、自己観察の『観』が『自在(自分在り)』の確認欲求であって・・・後に『禅』へと向かう伏線であったのだろう。

 

  この自写像作品『貰った背広』で、写真雑誌『写楽』企画により先日話した『坂本龍一賞』を受賞した。

  またこの作品で新宿のオリンパスギャラリーで個展をした時に、アサヒカメラという雑誌に柳本尚規氏が批評を書いて下さったが

  それまでの私の写真活動の中で、彼の批評こそは私のかけがえのない『勲章』のようで、誇らしくまた嬉しかった。

 

  この批評文の後半に 『自分を理解できるのは自分だけだという、その光り輝く精神の時期、その真っ直ぐな気持ちをそのままフイルムに

  密着焼きしたような作品である』・・・と書いて頂いたが、それを読んだ時、私は初めて自分の作品を『あぁ、そうだったのか・・・』と納得したのを思い出す。

 

  昨日、ブログに『朝倉未来』氏の事を書いたので、彼の第一回目のYoutubeをあらためて観ると、『欲しいものはなんですか?』というファンの質問に対して

  彼の答えは『(自由に生きる為の)金が欲しい』・・・と言ったのが印象に残った。そして今、彼は若くして、その『金も地位』も手に入れたわけだ。

  それに対して、私が20種以上の職を転々としながら人生を歩んできたのは自己の『内なる自由』を絶対に誰にも邪魔させない・・・という自覚と、

  彼とは逆に、『金に煩わされない生き方』を幼い頃から標榜していた事を、この批評文は私に思い出させてくれた。

 



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