緊急時、消防車や救急車だけでなく、状況によってはヘリコプターも出動します。
大阪市消防局を例に取ると、大阪市に隣接する八尾市にある八尾空港に航空隊の基地を置き、2機の消防ヘリコプターが待機しています。指令が入ると大阪市内だけでなく大阪府下全域に出動し、緊急時の対応に当たります。
そしてヘリコプターと言えば、写真等で誰もが一度は見たことがあるヘリポートのアルファベット。
通常、航空機は飛行場以外の場所では離着陸を行ってはならないと規定されていますが、国や公共施設の維持管理、警察や消防による救助活動や捜索活動など、要件を満たす飛行場を各地に設置するには莫大な費用が必要となります。そのため、一定の条件を満たした場所については、国土交通大臣の許可を得ることにより離着陸を行うことができると定められており、これに沿って設置されているのが場外離着陸場、つまり写真のようなビルの屋上等にあるヘリポートなのです。
では、ここには「H」と書かれているヘリポートのアルファベットですが、はたしてこのアルファベットにはどのような意味が隠されているのでしょうか?
これは、国際民間航空機関(International Civil Aviation Organization)、通称ICAO(イカオ)が定めている着陸施設の設置方法によって定められた表記、つまり世界共通の「ヘリポートの目印」なのです。
丸のなかに「H」と表記する方は、通常「マルエイチ」とか「サークルエイチ」と呼ばれ、「Heli port」の頭文字と言われています。
一方の「R」は、「マルアール」等と呼ばれ、「Rescue point」と頭文字であると言われています。
「H(ヘリポート)」の方がその名のとおり、緊急時に限り離着陸をして救助活動等にあたることのできるヘリポート。
「R(レスキューポイント)」は、これもその名のとおり「救助のポイント」という意味であり、強度や広さが不足していて着陸はできないが、ホバリングして人を吊り上げたりする方法で「救助等ができる場所」という意味があるそうです。
「H」だからと言って、勝手に自前のヘリコプターを着陸させることはできず、事前に所轄の空港事務所に使用申請を行う必要があります。ただし、1枚目の写真のような地方自治体の消防ヘリコプターについては、救助活動や捜索活動等の急を要する活動を行う場合のみ、国土交通大臣の許可を受けなくとも必要な場所に離着陸できるそうです。
風水害や震災が全国的に頻発している昨今、消防ヘリコプターの役割は重要性をどんどん増してくると考えられています。あまりお目にかかることのない空からの救助活動ですが、いざというときに私達の命を守るため、最善の準備がなされているのですね。
事務局 農澤