調べてみるとFIREは、Financial Independence, Retire Earlyの頭文字を取ったもので、意味は「経済的な自立と早期退職」。
私のちっぽけな夢
アメリカから始まったライフスタイルだそうで、経済的自立とは投資などの利益で生活費等を得て、働かない生活をすることらしい。
いつだったか娘が「若いうちにお金を稼いで、後半は遊んで暮らす」みたいなことを言っていたのだが、もしかしたら彼女もFIREを目指しているのだろうか。
チラッとネットで読んだ知識なので、その受け売りなのだが、FIREを達成するには貯蓄目標があるらしい。その額は、推定年間生活費✕25倍。その4%を生活費に当て生活するのが基本ルールらしい。
例えば月の生活費を30万円で先の計算方法で貯蓄目標を計算すると、30万円✕12ヶ月✕25倍=9,000万円!25万円で計算しても、7,500万円。相当な高給取りでなければ貯蓄目標を達成するのは難しそうだ。
いわゆる“勝ち組”が更に上を目指すのがFIREなのじゃないか。
あるサイトにFIREを達成した人達を紹介していたのだが、経済的自立の手段が不動産投資を選択している人が多かった。
ある人は、生活を極限まで切り詰め、借金をして不動産を購入し、家賃収入のみで生活できる状態になったところで退職したという。
年金暮らしの私がFIREを語ること自体馬鹿げた事なのだが、こんなライフスタイルが一部で流行っているというのが興味深い。
FIREをめざす理由は人によって、様々なようだが、会社勤めが辛いという人が多い。
人間関係が苦痛だったり、仕事量が多過ぎてこなせない、残業が多く家族とゆっくり過ごせ無い等色々ある様で、そこから逃れるためFIREというライフスタイルを目指すのだという。
働か無い生活を目指す人達がいる一方で、現在様々な分野で労働力の不足が問題になっている。
人手不足により働いている人の仕事の負荷が大きくなり、働く事が辛くなる。悪循環だ。
FIREを達成する人はどのくらいいるのか検討もつかないけれど、早くに退職し働かないわけだから、ただでさえ少子化で働く若い世代が減っているのに、その少し上の世代もFIREを目指して働くことから離れてしまうと、労働力不足のこの日本はこの先一体どうなってしまうんだろう。
働き手となる若い世代が少ないのだから、やはり外国からの労働力を受け入れて行かなければ、人手不足が解消されることはないだろう。政府も外国人労働者の特定技能2号の枠を拡大し、将来に向けて準備しているようだ。
外国人労働者が特定技能2号を取得すると、特定技能1号では出来なかった家族と日本で暮らせたり、永住も可能になるという。
今後日本の出生率が増えない限り、日本の人口における外国人の割合が増え続けて行くに違いない。
そうだとしたら、先細りの年金制度も、もしかしたら外国人の方によって支えられることも有り得るかも知れない。そうすれば、この先の年金制度も何とかなるのじゃないだろうか。
年金制度は人生100年時代には無くてはならない制度だと思う。
人手不足であることや、長寿社会になってきたことから、70歳まで働くよう促されるような気運があるけれど、65歳でパートで働く私はとても無理だと感じている。
仕事が軽作業で、高齢者に理解があり、楽しい職場だったら可能だけれど、そんな素敵な職場がそうそう有るわけもない。
現場はシビアだ。高齢者であろうが若者であろうが、等しく職を全うすることが要求される。頭も体も若い頃のように働かなくなって来た老人には、現場は厳しいものだ。
そう感じている自分にはいつ仕事を辞めても年金が有ることが救いだ。生活にカツカツの額であれ、2ヶ月ごとに支給される年金は、労力が減退している老人には安心をもたらす。いつ仕事を辞めてもいい。嫌になったら辞めれば良いのだから。
FIREを達成するのが40代半ばなら、今の私はさながら20年遅れのFIRE達成者モドキ。ゆとりはさほど無いけど、働かずに生きていける。
FIREを目指すのも良い挑戦かも知れないけれど、リスクを負ってまでするものじゃないし、仕事が辛すぎるなら転職も有る。収入が減ったとしても、楽しく働けるほうがいい。
FIREを目指すより、とりあえず1,000万円の貯蓄を目指す方がより現実的だ。投資信託で資産運用すれば、長ーい目で見れば達成も夢じゃない。
ところで、FIRE達成者には自由時間が限りなくある。目的のある人には良いことだ。
ある人は、趣味や研究、ボランティア活動に没頭し、ある人は、学び直したいと大学や大学院へ行く人もいるだろう。ただ、何のプランも無く退職してしまうと時間をもて余してしまう。
退職後の私がそうだった。やがて「何のために生きているのか」とか「自分は社会から必要とされてていないのでは無いか」といった考えが頭を支配し、気分が落ち込んでしまう。
FIREを達成した人の中にも同じ様に感じ、結局また再就職したという方もいた。
会社を辞めたら「何をするのか」ということを明確にしておくことが大事だなと思う。
会社を辞めて、「何をするのか」明確にしておかなかった私はパートとして再就職した。人生最後の労働だと思っているが、1年以内に離職しようかなと思っている。その後重要なのは「何をするのか」。
最近見た車のCMの中に、人生に一段落の付いた夫婦がテニスをしに車で出かけ、肝心のテニスラケットを忘れるというのがあった。そのCMで流れる女性のナレーションは、
「やりたかった事を全部やってみる事にしました」
私もそうしてみようかなと思う。とりあえずやりたい事を、リストアップすることから始めよう。たとえ実現出来なくても、夢を見ることこそが大切なのだから。
私のちっぽけな夢