ポジティブな私 ポジ人

自慢の一枚

少女は動物がとても好きだった。いつかアフリカに行って、たくさんの動物を見ようと思っていた。けれど、アフリカに行くのは容易な事でないと知ったので、父親に動物園に連れて行ってもらった。

その日動物園に入ると、ライオンが檻の中ではなく、皆が歩く通路の脇に鎖で繋がれていた。
子ども達がおっかなびっくりライオンに触っていた。

少女は、他の子たちがそうしているのを、傍らから羨ましく思いながら見ていたけれど、ライオンに触る勇気が無かった。噛まれるのじゃないかと恐ろしかった。

父親は、少女に向かってこのライオンについて説明した。
「赤ちゃんの頃から人に育てられたライオンだから、怖くないよ」と。それから「さわってごらん」と少女を促した。

少女は緊張していた。でも、ライオンに触ってみたかった。
少し間があってから、少女はゆっくりライオンの側にしゃがむと、勇気を出して、そっと触れてみた。
父親はカメラを構えて少女に声をかけた。少女が顔を上げた瞬間、シャッターを切った。



これがその時の写真。

少女は緊張と恐怖と喜びとがないまぜになって、こんな表情になった。口を半開きにした変な顔だ。

でも、後々になってこの写真が「自慢の一枚」になった。ライオンに触ったことがある人なんて、そうそういないだろうから。

昭和40年初頭。服装を見ると季節は夏だ。
記憶に間違いがなければ、札幌円山動物園での出来事だ。

現在なら人に育てられたという理由だけで、猛獣をこんな無防備に公開する事は、絶対無いだろう。

父親の説明どおりであれば、このライオンは人口哺育で育ち、気性もかなり穏やかなのかも知れない。大きさを見ると、まだ子供で成獣では無いかも知れない。担当の飼育員も恐らく側に付き添っていたのだろう。
それでもこの大きさだと、万一のことがあった場合は、大怪我は免れなかったのではないか。

過去から現在まで、どんなに人に慣れている動物でも、国内外で様々な動物の事故が起きている。大怪我をしたり、最悪の場合は命を落とす人もいる。

そんな動物による事故の事例の蓄積が教訓となって、人によく慣れた動物であっても、完全に安全だとは言い切れないものだと判断せざるを得ない。万一の事を考えると、安易にに不特定多数の一般人に、大型の猛獣類を触らせることは、現代では絶対に出来ない事だ。

今から半世紀以上前の、のんびりとした昭和時代、今では考えられないこんな事がまかり通っていたのだ。その事を批判したいわけじゃない。むしろ、そんな時代に生きていたことを、幸運だと思う。そうでなければ、この一枚は残せなかった。
幸いにも、ライオンにかじられたり襲われたりしなかったからこそ言えるのだけれど…。

ライオンに触るという貴重な体験に背中を押し、写真に残してくれた父親に感謝したい。






コメント一覧

ポジ人
ミーコ様は、多分当時4歳だね。懐かしい昭和時代です。
ミーコ
自慢の一枚で、もっと言えば奇跡の一枚じゃないですか!写真は記憶を裏付けるから貴重ですね。帽子も素敵。この形、私も幼い頃かぶりました、懐かしいわ〜
duchsparadise
まあ、宿泊施設は何とかなりますね!

で、熊さんにも会えるのね、、オヨヨ・・・

色々調べて頂きありがとうございました。来年の夏が楽しみです(;^_^A
ポジ人
@duchsparadise ミオ様、幕別町の宿泊施設をちょっと調べてみましたら、マンスリーマンションは有るみたいですよ。一ヶ月10万円は超えてしまうようですけど…。そんな手を考えてはどうですかね。近隣施設は温泉も多そうですよ。

今の所、ヒグマの人的被害は出ていないようです。出没はしてますけどね。
duchsparadise
丁寧なご説明ありがとうございます。
いや~、ますます「幕別町LOVE]になりそうです。
都会生活に疲れた私のようなおばさんやおじさんが、ちょっと夏だけ借りれるような場所があればいいなと思ったのですよ。

何せ大阪の夏は、酷暑以外の何物でもないですので。

夫が生存中は、早期リタイアして「ハワイ半分日本半分で過ごそう」なんて言われて、その気になってたんですが。

一人になっちゃったら、ハワイは遠いです。英語も達者じゃないし。

北海道も、そういうプロジェクト作ればいいのにね。

「避暑地として、お貸しします」とかね。でも熊さんが出たら怖いですなあ・・・
ポジ人
@duchsparadise ミオ様、幕別町は良く知らない町ですが、地図上で見ると南側に大樹町(たいきちょう)があり、ここはロケットの打ち上げで有名です。
北側には池田町があり、ここはワインで有名な町ですよ。
私が今年旅行で訪れた、あの森進一の歌で有名な襟裳岬も、比較的近いですよ。ドライブで行けそう。
北海道は特に小さな町は緑も多く、夏場は最高でしょうね。大阪より凄く涼しいし。
ただし、冬は田舎町だと吹きさらしで降雪量も多いから、大変です。
別荘だと、屋根に細工でもしないと、積もった雪で大変な事になりそうです。冬場は相当厳しいですよ。雪かきも大変。
こんな程度しか、申し上げられないのですが、どうでしょう?
duchsparadise
ブログ内容と関係無いのですが、お尋ねしたいのですが、
北海道の幕別町ってどんな町ですか?よそ者には住みにくい?

数年前コンサートで行きまして、お隣同士になった方が、とても気さくな奥様だった事、コンサート終わりに外へ出た時の黒い空と澄んだ空気にすっかり魅了されました。いつかは、別荘が欲しい、なら幕別町と思っているのですけどね。。。
ポジ人
@duchsparadise ミオ様、野山や小川、お庭に狸やキツネ、私はそんな環境に囲まれているのが理想でしたよ。

私は小学校にあがるまで、北海道の港町、釧路に住んでいたんですが、冬は水を貯めた大きな樽に氷が貼っていて(家の中なのに!)、雪は少ないのに寒いところでしたよー。
アパートに住んでいたんですが、大家さんのおじさんが漁師さんだったみたいで、干したイカを踵で踏んづけて、手で引っ張って伸ばして形を整えていた姿が忘れられません。
duchsparadise
いや~、誰でも撮れる写真じゃないですよ。
怖いですもの。ライオンとツーショットなんて。

もし、襲ってきたら?そう思うと怖くて近づけませんよね?

自分の幼い頃の思い出って、娯楽はなかったです。下駄履いて野山を駆け回って、小川でメダカすくってましたわ(;^_^A

夜になると、庭に狸やキツネが来て(朝足跡で分かる)電気代が勿体ないと、就寝早かったです。電気を消すと、自分の手が見えなかったです。それは北海道でも同じですか?

ヨシイクゾーさんじゃないけど
「テレビも無、ラジオも無、あるのは綺麗な空気と広大な田んぼだけ」で、ベコがいましたよ(どんな大昔だろうと思うでしょ。ついこの前ですわよ)(;^_^A
ポジ人
@donmac-life ドンマックそんなこんばんは。
良いとこのお嬢さんだったら良かったんですけどねー。がさつに育った道産子(どさんこ)ですよ。

先日のドンマックさんのブログの”フンフン小僧“にツボりました。かわいいなぁ~。車での寝泊まりに早くなれると良いですね。
donmac-life
こんばんは。ポジ人さんの原点ここにありですね。かわいい良いとこのお嬢さんは今も自然を愛でながら毎日を送ってらっしゃいますね。nogblackさんといい、北海道で産まれ育った人からは小さい事など気にしないみたいな逞しさが感じられます。☺️
ポジ人
@nognogblack 大雑把に行ってしまうと、細かいことにうるさい時代になりましたよね。こんな事X(旧ツイッター)でつぶやいたりすると、炎上しちゃいますね。

ところで、沢での釣り、十分気を付けてくださいね。今年はもう終わりでしょうか?
先日阿寒町で被害にあった方の傷が痛々しかったです。
nognogblack
お金には代えられない貴重な思い出と写真は一生の財産ですね。

外国では現在でも、飼い主がライオンやトラ、熊の成獣とじゃれあっている映像があったりしますね。

住宅事情や生活環境、意識の問題もあり日本では難しいと思います。

施設側も責任追及を恐れ、安全第一と云うより『責任回避、保身第一』になると思います。

海に行っても山に行っても何かあれば『そんな所に行くからだ!』と叩かれます。
誰も『責任とってくれ』なんて言ってないのに…

ボクも山で何かあれば、部屋に閉じ籠ってスマホをいじっている人々に『熊が可哀想、熊は悪くない!』そう言われる事でしょう😅

西洋では他人と違う事をすれば英雄ですが、日本人は紛争地域に命懸けで人道支援をしに行っているのに犯罪者のように言われます。

列からはみ出してはいけない民族ですね。

息苦しい世の中になったな…と思います。
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