観ようと思ったきっかけは、テレビのスポットCMで見かけて、思わずドリームワークスの「クルードさんちのはじめての冒険」を連想したからだ。私の大好きな傑作「クルードさんちのはじめての冒険」みたいに楽しめたらなと思って、期待大で金曜日に映画館へ出かけた。
午後12時半の開場。
入場してみると、館内は私一人の貸し切り状態。しばらく一人きり。このまま私一人で独占かと思っていたが、映画予告が始まって間もなくポップコーンとコークを抱えた若い女性が一人入った。さらに、本編の上映が始まってから、暗闇の中一人増えた。広々とした劇場内にたったの三人。ま、平日だから致し方ないとはいえ、興行的に失敗の予感。
始まりは、冒険家の父親と息子の危険な旅がスリリングに展開していく。父は息子にも冒険家になって欲しいのだが、息子は違う道を選び冒険を続ける父と決裂してしまう。いつの時代にもある、親子の行き違いだ。
そこまでのかいつまんだストーリーが、私にはちょっと雑な感じの作りに感じて少々失望した。
歴代のディズニーのアニメ作品の中で、オープニングで最高だと私が思うのは、ターザンだ。
ビートの効いた音楽の始まりと共に、ターザンの両親が大荒れの海の燃えさかる船からの緊迫感漂う脱出、命からがら島へ上陸し、生活の基盤を築きそして…。
本編の導入部までその経緯をダイナミックに一気に見せてくれるのが、本当に素晴らしい。フィル・コリンズの名曲の効果も絶大だった。
それと比べると、いまいちだったけど、ストレンジ・ワールドのストーリーで扱っているテーマは、現代の私達の生活に欠かせない電気エネルギーの危機とタイムリーだ。
冒険家の父と決裂した後、息子は山で見つけた植物を持ち帰り、栽培し農家となり、家庭を築き、父となった。妻とティーンの息子とペットの犬とで、新たな物語が始まる。
広大な農地に栽培された植物の実は、収穫後、電気エネルギーとして利用されるいうファンタジーが興味深い。
物語はその電気エネルギーを生み出す植物の危機に絡めて、祖父、父、息子と三世代に渡る家族が不思議な世界の冒険を通して相互理解を深めて行く。
登場する女性キャラクターは何れも非常に魅力的に描かれている。その一方で、中心になる三世代の男性陣のキャラクターが、私にはあまり魅力的に感じられなかった。もう少し、普通に寄せた顔で良かったのではないか。個性的にするにしても、もう少し魅力のある顔にして欲しかった。イケメン好きの私の個人的感想です。
また、人種問題やLGBTQ、ジェンダーに配慮してのことだと思うが、白人男性と黒人女性の両親とハーフ(ダブル)の息子の人物設定や、息子が同性のクラスメートに好意を寄せ、両親もすんなりその事実を受け入れるという、あえてのシーン設定に少し押し付けがましさを感じるのは私だけだろうか。
愛犬の足が一本欠損しているのも、理由も明かされず気になったが、それは障害への配慮なのだろうか。また逞しい女性大統領というのも性差別への配慮か。深読みしすぎかも知れないが、一作品に何もかも配慮を詰め込むと、何か鼻についてしまう。
子供だったら、どのように感じたであろうか。
同性愛に関しては、子供には説明も必要かも知れない。
こんな観方は私だけかも知れないけれど、中心人物の男性陣の外見的魅力の乏しさが、女性客を遠ざけ興行的に失敗を招くことになるのではないかと危惧してしまう作品だ。
吹き替え版しかなかったのでそれで観たが、父親を原田泰造さんが吹き替えていたと後から知った。声優さん並みで、さすがお芝居に定評のある泰造さんだと感心した。鈴木福君も息子役を頑張っていて良かった。
決してストーリーが面白くないわけではなかった。不思議な世界の不思議な生物も、個性的で面白いものがいっぱい出てきたが、もっと登場人物たちと関わりがあれば、より面白かったのではないかと思った。その点では、やはり「クルードさんちの…」方が最高。あくまでも個人的感想ですが。
この作品はアメリカ制作だが、それにしては笑える部分が少なかった様にも感じた。私の希望としては、もう少しユーモアがあったら良かったな。
観る前から、既存のお気に入りの映画作品と比較してしまったばっかりに、ちょっと辛口の感想でした。