主演は、HeySayJUMPの中島裕翔君。最近では漫画家よしながふみさん原作のNHKドラマ「大奥」第1回に出演していた。
監督は北海道帯広市出身の熊切和嘉監督。「海炭市叙景」や「私の男」などで有名な監督だ。
物語は、中島君演じる主人公川村は、翌日に結婚式を控え、社内のサプライズパーティーに参加。その帰りにマンホールに落ちてしまう。スマートフォンを駆使しながら脱出を試みるが、意外な展開が次々に起こっていく。
怪我をして身動きが取れない上に、マンホールのハシゴも壊れているという最悪の状況。
ここから脱出すべく駆使されるのがスマートフォン。
山岳における十徳ナイフのごとく、いやそれ以上に、何と様々なことが出来るのか。優れたツールとしてのスマートフォン。その用途を見ているだけでも面白かった。あれぐらい使いこなせたらなあと思いながら、スクリーンを見ていた。
主人公は、SNSで「#マンホール女」として助けを呼びかけるが、多くの無責任な発言や他人事としてふざけたツイートが上がってくる。
私はツイッターは利用しないので良く知らないが、100人100様の発言は、映画として見た場合には、面白おかしく感じられたが、現実には、中に一つでも酷い発言があれば、もう私には耐えられない世界だとも感じた。
映画では、そんな様々な言い分の中にも良識ある人の価値ある発信があり、主人公はそのをヒントに助かる道を模索していくのだが…。
狭いマンホールという空間で、身動きが取れない状況。そんな中で、さらなる困難にも見舞われ、身近なものを使って乗り越えて行く様は、サバイバル劇でもあり、面白かった。
とにかくテンポが早く、意外な展開で飽きる事がなかった。ただ物語の終盤では、速さに追いついて行けず、観終わってから疑問が色々残った。
ストーリーをどこで見失ったか考え、年を取ったせいかなあ等と思っていたが、エンドロールが終わり場内が明るくなった時、私の4列ほど前の20代位の若い女の子達が「あれって、どういう事?」「もう一回観ないと分かんない」と話している声が聞こえた。
若くてもそうだったんだ。年のせいでなかったことが少し嬉しかった。
映画はサスペンス的要素やホラー的な部分もあり、面白かったのだが、説明不足の部分も多々あり、説得力にかける部分がある。
主人公が様々な表情を見せ、人間性が明らかになっていく中島君の演技がなかなか良かっただけにちょっと残念。
これから観てみようと思われる人は、クライマックスに差し掛かるあたりから、集中して観てください。そうしないと肝心なところを私のように見失ってしまう可能性があるので、ご注意を。
元カノを声のみで演じた奈緒が素晴らしかった。方言で話すのがまた良かったなー。