子供の頃街へ出かけると、父はよく饅頭屋へ寄った。父は饅頭が好きだったのだなと、今更ながら思う。
お店に置いてあるのは白と黒糖の2種類だけだったと思う。
自分はどっちを選んだのだったか、もう記憶がない。
父は、店内に備え付けてある電気ポットから番茶を湯呑みに汲んで、テーブルに置き注文の饅頭を待った。私もお茶をすすりながら待っていた。
簡素なテーブルと椅子が並んだ、だだっ広い店内の風景を何となく覚えている。
父と二人で過ごす、私の好きなひと時だった。
饅頭屋はいつしか無くなっていた。あのお店は、すすきの辺りにあったのだろうか。父に手を引かれて街を歩いていた頃だから、場所もよく覚えていない。
夫がおはぎを食べたいと最近言っていたのを思い出し、こし餡を作っておはぎを8個作った。
あまり良い出来では無かった。そのせいか、置いておいても夫は中々手を付けず、最後の一つになった。
もう夫は食べないだろうと思い、「これは今日中に処理しなくちゃ」と思って、買い物に出かけて帰ってくると、最後のおはぎは無くなっていた。義理堅く、食べてくれたらしい。
出来上がってから3日目の、中のご飯が固くなったおはぎ。どうせなら、出来立てを食べてほしかったな。
そのこし餡がまだ余っていた。
饅頭を作りたいが、こし餡は少し柔らかめだった。
饅頭の皮に餡を包むのは、なかなか至難の業だ。
皮に上手く包めずに、はみ出た餡が生地に付いたりすると、上手く閉じることが出来なくなったり、蒸すと餡がはみ出て来たりする。
それで考えたのは、餡を35グラムずつ小分けにし、凍らせてしまう事だった。
凍った餡はビニール袋に入れて冷凍庫に保管しておけば、いつでも饅頭が作れるし、包むのも簡単だ。
そんなわけで饅頭の皮を作ったあとは、凍った餡を包むだけ。あんこもはみ出ずに、とても簡単だった。
蒸し器で10分蒸せば出来上がり。
全部で6個作ったが、ついつい写真に取る前に2個も食べてしまった。
今回の反省点は、皮が厚く大きくなってしまったことだ。次回は薄皮饅頭を目指そう。
作りたいと思ったら、ネットで検索すれば、直ぐにレシピが出てくるからうれしい。動画もあるから、より分かりやすい。
レシピには、「1日置いた方が味が馴染んで美味しい」と書いてあった。確かに翌日の方が、ふかしたてより美味しかった。
残りはあと2個。4個を食べたのは、全て私。美味しく出来たのにな。
昨日珍しく「明日食べるから」と宣言していた夫だったが、食べなかった。
明日で作ってから3日目。そろそろ皮がぱさつき始める頃だ。明日中に全て食べてしまわなければ…。
果たして夫は1個でも食べてくれるだろうか。