宿泊施設に別れを告げ、電車で移動した。
ユニバーサルスタジオジャパンにフォーカスしていた私は、この日は“燃えカス”。ひな鳥よろしく大阪城まで息子のあとに付いて歩くのみ。ピヨピヨ。
最寄り駅から地上へ出て歩き出すと、「大阪城が見えるよ」と家族の声。目を上げると、遠くに大阪城が見えた。金の装飾が陽光にきらめいていた。
大阪城天守閣を目指して歩く。敷地は広大だ。その広さと厳かで美しいお城を眺めていると、当時の農民の気持ちにリンクするようだ。きっと、お城を見上げ、そこに居るであろうお殿様に向かって土下座し、額を地面に擦り付けたのでは無いか。そんな気持ちになるほどの景観だった。
お城の外堀を歩いていると、目ざとく夫がお堀の中にいる亀を発見。近づいてみると、言わずと知れた外来種のアカミミガメ(ミドリガメ)だった。大きく育っている。在来種への影響が心配だ。
その周りに見慣れないトンボらしき昆虫が多数飛んでいた。初めて見る奇妙な黒いトンボに興奮した。北海道にはいないトンボだ。
調べてみたらコシアキトンボというらしい。遠目で良く分からなかったのだが、黒い体のウエストの部分のみ白い。その白い部分が飛んでいると、とても奇妙に見えたのだった。
本州と北海道では見られる生物が違う事を実感した。見たことのない生物を見るのは面白い。
公園内の野鳥もやはり北海道ではあまり見かけない鳥が飛んでおり、思わずあちこちに目が行った。
天守閣前には長い列が出来ていた。外国の観光客の方も多かった。
歴史的建造物の内部は博物館になっていた。貴重な歴史的資料等を見学した。
展望台からは至近距離で屋根部分の装飾が見られた。繊細で美しい模様だ。
金のシャチホコもこんな近くで見ることが出来て感動。
お殿様も高みからこの景色を眺め、楽しんだのだろうなあと思った。現在とは違う当時の景色はどんなだったろう。
お昼はうどんやお好み焼きなど軽目のものをとり、お土産物を見学したり、家族で記念写真を取ったりした。
大阪城を中心に市民の憩いの場になっているこの大阪城公園は、コンビニやスタバ等の店舗が並ぶエリアがあるのだが、お店の持つ独特のカラーは抑えられ、景観に配慮した落ち着いたカラーに統一されていた。
スタバでお茶タイムで一休み。
広大な敷地を歩いたり、天守閣内部を見学しているうちに家族で過ごす時間はまたたく間に過ぎていく。旅の終わりに近づくに従って、何だか寂しさがジワジワ湧き上がった。
午後2時過ぎ、娘は関東圏へ向かい、息子と私達夫婦は北海道を目指す。次にまた4人揃うのはいつだろうか。
関西空港から千歳空港に着いてからは、息子と別れた。
子供たちが離れていくたび、日常の現実が迫ってくる。あぁ、楽しかった二泊三日の旅が終わる。
次の家族旅行はいつになるだろうか。そもそも“次”はあるのだろうか。
一つの旅が終わり、次の旅への夢が湧く。それも生きる原動力となる。そうして人生は回っていくのだなあなどと感慨にふけった。
おわり