ほぼ“200万人都市”の札幌なのに、こんな注意報が流されるなんて…。どこかの山深い森の田舎にでも住んでいるかの様だ。
近年ヒグマに人が襲われる実害もかなり出ており、2021年の9月には札幌市の住宅街で、男性が背後から熊に襲われるという前代未聞の出来事も発生した。それ以来、“背後から熊”というのがトラウマだ。
私の住む南区も随分前からヒグマの出没がニュースとなっていた。出没したのは山や森に近い、我が家からかなり離れている場所だったので、安心しきっていた。ところがつい数日前には、我が家からさほど離れていない場所でも複数頭の熊の目撃情報があり、いよいよ、いつ何時バッタリ熊に出くわしてもおかしく無い状況になってきた。
そんな訳で、豊平川河川敷での週一のジョギングも、結構“命がけ”(大げさ)なのだ。
大阪旅行でジョギングが出来なかった日が1日あった。更にちょっと風邪気味でジョギングを休んだ日が1日。合計2日休んでしまったジョギングを消化するべく、今週は3回のジョギングをこなしたのだった。
平日のジョギングは、1日目、雨上がりだったこともあり、人が少な目。河川敷に到着した時には数人いたランナーさんたちが、いつの間にか前も後ろも誰もいない状況に。こんな時にもし熊が出たら、標的は私一人。少し怖くなってきた。
熊が出てきたらどこへ逃げようかと、走りながら方法を考える。
土手を駆け上がって鉄柵をヒラリとかわす。いやいや、駆け登っている内に追いつかれて背後から一撃だ。“柵をヒラリ”もこの老いた筋肉じゃ無理。たとえ柵までたどり着いても、越えようとモタモタしている所を、やはり一撃だろう。ああ、助かるすべが無い。
いつも走る河川敷のルートは、現在一部護岸工事が行われている。その付近は川へ近付けないようオレンジのネットで囲われ、工事用のコーンも点在している。
もし熊と遭遇して接近戦になったら、この工事用のコーンを振り回して、攻撃を防御出来ないだろうか等と考えたり…。
周囲を見回したり、背後を振り返ったりと、見えない熊の影に怯えつつの、“恐怖のジョギング”(大げさ)である。
もし実際に“出た”場合は110番通報もしなくっちゃ。そんな時は写真を取った方がいいだろうか。いや動画かな。
そんな事を考えていると、草むらのカラスの頭が子熊に見えたり、犬の散歩をしてる人が、犬も黒色、飼い主さんの服装も黒色なので、まるで立ち上がって威嚇してくる子連れの熊に見えたりと、何でも熊に見えてくる。
今日も藻岩橋の下に見えた黒い影(写真中央上部)が、熊に見えて「まさか、まさか」と近付きながら確認すると、スマホを見ているオジサンだった。
そんなこんなで、走るピッチも不安と恐怖であがるのか、今週ジョギング3回目の今日は、走り終わりがいつもより5分も早かった。いや、待てよ。これは週に3回もトレーニングした、その成果だったのではないだろうか。思いがけず、自分にまだ“伸びしろ”があった事を発見して、ちょっと嬉しかった。
かつて北海道では春に冬眠から目覚めた熊の駆除、「春熊駆除」を行っていたが、絶滅が危惧されるほど数が減ったことから1990年にやめて以来、着々と熊の頭数が増えている。
現在、人里に熊がやって来ないように、下草刈り等をして、熊が潜みやすい場所を作らないよう対策はしているようだが、それでも今回の様な事態が起こる。
最近の南区の目撃情報では、2頭の子熊を連れた母熊と若いオス、計4頭が確認されている。熊の出没が確認された真駒内公園は一部閉鎖中だ。
クマさん達には、何事も起こらない内に、早々に森へお引取りいただきたいものだ。
今日も、こんもりと緑で盛り上がった美しい藻岩山を眺めた。あの森の中には一体何頭のヒグマが生息しているのだろう。市街地に現れたヒグマ達が、まるであの山から溢れ出てきた様に感じられてならない。人の出生率は下がる一方なのに…。