(神代植物公園・つばき園にて 2023年12月7日撮影)
仏教思想概要8《中国浄土》の第1回目のご紹介です。
仏教思想概要も中国編に入り、「天台」「華厳」「禅」とみてきましたが、本日より中国編としては最後の「浄土」です。
先にもご紹介したように、中国仏教においては、「天台」「華厳」が理論仏教、「禅」と「浄土」が実践仏教に分類されます。
禅とともに実践仏教を担った中国浄土教がどのようなものであったのかを、本日より5回程度に分けてご紹介していきます。
第1回目の今回は「第1章 中国浄土教の系譜」を取り上げます。
第1章 中国浄土教の系譜
1.はじめに
『仏教の思想』中国編の最後は、中国浄土を取り上げています。中国天台(法華)、中国華厳、中国禅、そして最後が中国浄土となっています。これまでの中でも述べてきたように、前2者が理論仏教、後の2者が実践仏教となっています。
理論に基づいての実践という点では、中国禅は先に成立した中国華厳の影響を強く受けています。一方、中国浄土はどうかとみると、中国天台の実践法「常行三昧」の念仏行の影響がないとも言えませんが、思想的には大きな違いがあります。その成立には中国における般若経学中心の仏教の成立、さらには本家インドにおける大乗仏教・浄土教関連仏典の成立まで遡ってみてみる必要がありそうです。
詳細は後述しますが、本論において対象としている「中国浄土教」の定義についてここで簡単にお話しておきます。
日本浄土宗開祖の法然は中国浄土教には次の3つの流派があると彼の著書『選択本願念仏集』で述べています。慧遠の「廬山慧遠流」、慧日の「慈愍三蔵流」、曇鸞・道綽・善導の「道綽・善導流」の3流派です。また、広説仏教語大辞典によれば、「古来から中国の浄土教には慧遠流(廬山流)・善導流・慈愍流の三流があるといわれており」、としています。善導流は日本浄土教の基礎となった流派です。
以上は、ウキペディアなどの記述をもととしたものですが、本文では、「慈愍流」関連の記述は全くありません。慧遠については、中国浄土教の基礎を作った人物としての記述がありますが、本流は、曇鸞から始まる善導流として展開されています。
また、本文では、「浄土宗」ではなく、「浄土教」という言葉が使われています。法然の浄土宗と区分する意味合いもあるのかもしれませんが、宗派としてではなく、教え=思想として記述が進められていると思われます。思想の本流が必ずしも宗派の勢力図とは一致しないというのは、先の中国禅宗でもみられたことです。
2.中国浄土教の系譜
さて、前置きが長くなりましたが、本論に入る前にまずは、中国浄土教の全体像をつかんでいただく意味で、その成立・発展に関与した主な人物と組織を系譜で示します。(下図1)
今日は短めですがここまでとします。
次回は「第2章 中国浄土教成立の背景」を取り上げます。
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