Toshiが行く

日々の出来事や思いをそのままに

アナログ人間のデジタル世界

2024-12-25 06:00:00 | エッセイ

 

このところ『昭和の名曲』と謳ったテレビ番組が多い。

どっぷりと昭和という時代に浸かってきた身にすれば、

特にその歌詞、情を含んだ直接的な思いが心に沁みてくる。

 

倍賞千恵子が営む小さな飲み屋。客は高倉健ただ一人。

側に座った倍賞が高倉にもたれかかり、高倉も倍賞の肩に腕を回す。

テレビから流れているのは八代亜紀の『舟唄』。倍賞が合わせて口ずさむ。

映画「駅」の一シーンである。もう随分前になる。

この『舟唄』も昭和の名曲の一曲であろう。

 

 

日本は何事においても世界のトップクラスにあると思っていた。

それが自負心でもあった。

だが、世界における日本のGDPシェアは下降の一途だ。

2023年の名目GDPは円安も響きドイツに抜かれ4位に転落、

さらに一人当たりGDPもОECD加盟28か国中22位まで転落し、

先進7か国でも最下位だ。

もはや「ジャパン・アズ・ナンバーワン」など遠い過去の話なのである。

やはり「失われた20年」が痛かった。

この期間に先進各国は2倍程度成長したのに対し、

日本は成長を止めGDPシェアを下げてしまったわけだ。

 

特にデジタル化の遅れは、これほどだったのかと驚くばかりだ。

「2024年版世界デジタル競争力ランキング」で日本は63カ国中31位、

それも前年から1つ順位を下げてのことだ。

政府は「デジタル庁」を設置するなどDX(デジタルトランスフォーメーション)促進に

官民挙げて本格的に取り組み始めている。

DXは、要するにビッグデータと、それにIoT、AI、クラウド、5Gなど

進化し続けるテクノロジーを最大限に活用した

新しいビジネスモデルを構築しようというものだ。

これによって、うまくいけば2030年にはGDPを

100兆~200兆円押し上げる可能性があるとも見られている。

そうとあって世の中、デジタル化、デジタル化である。

日本が再度成長するのに不可欠な方策とあれば、

これに異論をはさむ気はさらさらない。

 

「仕事はテレワークだし、会議も飲み会もオンライン。

当然、人と直接お会いし、話をする機会がなくなってきました。

デジタル化が進めば同じような状況が続くかもしれませんね。

情感が流れるあの昭和の世界が、何だか遠のいていくようで

いささか寂しい気もしてきますよ」

DXの必要性を1時間ほどものたまわった昭和世代の知人は、

そう言い残すようにしてオンライン会議のため席を立った。

 

 

 

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