1月ももう下旬に差し掛かっていることがもはや恐ろしいのですが、とりあえず宣言通り去年の個人的ベスト10を紹介いたします。
【第1位】ハニーランド 永遠の谷
リューボ・ステファノフ/タマラ・コテフスカ監督
製作国:北マケドニア
日本公開日:2020年6月26日
北マケドニアに居るヨーロッパ最後の自然養蜂家を追った極上のドキュメンタリー。
こと「映画」に関しては、フィクションが主流ではありますが、「映像」の本質はドキュメンタリーだと考えさせられますね。
「半分はわたしに、半分はあなたに」自然と共生するサステナビリティの精神を養蜂家の生活に垣間見ることができます。
【第2位】パラサイト 半地下の家族
ポン・ジュノ監督
製作国:韓国
日本公開日:2020年1月10日
カンヌ国際映画祭でパルムドール、アカデミー賞で作品賞と監督賞を受賞という快挙を成し遂げた傑作です。
韓国の貧困差という社会問題に焦点を当てつつ、エンタメ映画としてもかなり高い水準で完成している作品です。文句なしに面白い。
【第3位】ウルフウォーカー
トム・ムーア/マイケル・スチュワート監督
製作国:アイルランド
日本公開日:2020年10月30日
私の大大大好きなカートゥーン・サルーンの最新作、かつ『ブレンダンとケルズの秘密』『ソング・オブ・ザ・シー』に続くアイルランド三部作の最終作。アイルランド版狼人間「ウルフウォーカー」の伝承を題材にした作品です。
『ソング・オブ・ザ・シー』が音楽ともに素晴らしかったのでハードルかなり高かったのですが、そのハードルを超えましたね。
【第4位】燃ゆる女の肖像
セリーヌ・シアナ監督
製作国:フランス
日本公開日:2020年12月4日
こちらはカンヌ国際映画祭でクィア・パルム賞を受賞したLGBTQかつフェミニズム作品。絵画のように精緻に構成された映像の美しさだけで観ていられます。
そして監督の同時代への拘りも強く、当時の画風の再現や音楽に対する憧憬など、当時の世界観が丁寧に描写されています。そしてオルフェウス神話とリンクしたシナリオがまた素晴らしい……
【第5位】スペシャルズ!政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話
オリヴィエ・ナカシュ/エリック・トレダノ監督
製作国:フランス
日本公開日:2020年9月11日
邦題のダサさと作品の中身とキービジュアルのギャップが著しかった作品。『最強のふたり』と同じ監督とは思えないほど重厚な社会派の作品でした。
フランス版ケン・ローチとも形容すべき作品の眼差し。最後、主人公の感情が爆発するシーンは圧巻。去年一番泣いた映画です。
【第6位】スパイの妻
黒沢清監督
製作国:日本
日本公開日:2020年10月16日
ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞受賞という快挙を成し遂げた黒沢清監督の最新作。
高橋一生のコスモポリタンとしての演技が想像以上に良かったです。そして蒼井優の原節子をトレースしたかのような演技に脱帽。
【第7位】TENET
クリストファー・ノーラン監督
製作国:アメリカ/イギリス
日本公開日:2020年9月18日
みんな大好きノーランの最新作。時間逆行のギミックを使った未来人と現代人の戦いを描いたSFもの。
カルト映画やシュールレアリスム映画ではないにも関わらず、初見では絶対にわからないという変態作品。最後夕景での別れのシーンは感動もの。
【第8位】レイニーデイ・イン・ニューヨーク
ウディ・アレン監督
製作国:アメリカ
日本公開日:2020年7月3日
皮肉屋ウディ・アレン監督の最新作。最近個人的なヒットがなかったけど、これは久しぶりに良かった!
恋愛には好意の要素の他に適正度という要素がある、という単純明快なメッセージだけど楽しめました。そして、ティモシー・シャラメめちゃ良かった……
【第9位】パピチャ 未来へのランウェイ
ムニア・メドゥール監督
製作国:フランス/アルジェリア/ベルギー/カタール
日本公開日:2020年10月30日
アルジェリアを舞台にイスラームの女性蔑視を描いた作品。肌を見せることを悪しとする厳格なイスラーム教が信奉されているアルジェリアで、ファッションショーを開こうとする勇敢な女性たちの姿。
痛ましいシーンも多いですが、宗教問題にを考えるきっかけになります。監督はソ連出身の女性監督で、日本では本作が初公開。
【第10位】レ・ミゼラブル
ラジ・リ監督
製作国:フランス
日本公開日:2020年2月28日
ミュージカルのレミゼの舞台となったモンフェルメイユの街で起きている本物の悲劇(Miserable)を描いた作品。「『レ・ミゼラブル』が良かった……」というとかなりの高確率で「え?今更?」と聞かれますが、こちらのレミゼもかなりの衝撃作なのでぜひ。
2021年もいい作品に出会えますように!とりあえず、期待を胸に膨らませて観た『スワロー』はイマイチだったので来月の『素晴らしき世界』に期待している今日この頃です。
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