K馬日記

映画や美術、小説などの作品鑑賞の感想を徒然なるままに綴っていきます。

『Dressing up』

2015年09月16日 | 映画
涼しくなってきましたね。もう秋なのかと思うと一年の早さに改めて驚きます。気づいたらおじさんになってるんでしょうねぇ…(絶望)

もう上映は終わっておりますが、今回は安川有果監督の『Dressing up』の感想をば。

監督の初作品になるようですが、非常に構成が練られていて面白かったです。祷キララ演じる主人公が自分の内側に潜む「怪物」と向き合っていく話。内的「怪物」のビジュアル描写(特撮並みに凝ってました!)と最後のシーン(と、それが意味する結末)がとても印象深かったです。

主人公は自身の心の内側に魔物が潜んでいることを自覚しており、傷害事件を起こして転校してきた中学生になります。



いわゆる問題児としての扱いを受けていくわけですが、その中で対等に接してくれる委員長と出会い、少しですが人間らしさみたようなものを回復します。しかし、亡き母親のルーツを探っていく内に自身の魔物を抑えられなくなり、学校での破壊行動、果ては委員長ちゃんを傷つけることになるわけですが、そうした内在する化物に対して主人公がどのように行動したのか。そこが、本作の見所になるかと思います。



果たして化物と決別できるのか、それとも呑まれてしまうのか。"Dressing up"というタイトルは何を意味しているのか。



人間の本質は変わりません。ただ、処世術や社交性は後天的に獲得できるものです。パーソナリティーの普遍さという皮肉な側面もありながら、それでも精神的成長を通じて個性(目の前の現状とも言い替えられるかもしれない)と向き合わなければならない現代人の心を描写しているように感じられました。

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