K馬日記

映画や美術、小説などの作品鑑賞の感想を徒然なるままに綴っていきます。

【2017年】個人的映画ランキング

2018年02月08日 | 映画
みなさま、遅くなりましたがあけましておめでとうございます。
2018年一発目の投稿ですが、もう一月終わっちゃいましたね。それはつまり、2018年の1/12が終わるということを意味死ています……
今回は年末忙しくて更新できないかった2017年の映画ランキングの発表をしたいと思います。

2017年は少し観る本数減らそうと思っていたのですが、結局新旧合わせて138本の映画鑑賞となりました。Netflixは偉大……
それでは、私の独断と偏見によって選ばれた作品たちをご紹介します。

【第1位】
三島有紀子監督
『幼な子われらに生まれ』



キネマ旬報の邦画ランキングで4位にランクインした作品です。浅野忠信の奥さん役を演じた田中麗奈が助演女優賞も受賞してましたね。
もう、とにかく泣ける!の一言に尽きます。離婚して再婚したチグハグな家族が、一つの家族になっていくヒューマンドラマ。再婚後新しい家族として簡単になじめると考えていた浅野忠信が、演じられた父親ではなく、真の意味での父親になっていく様子が素晴らしい。
特にクライマックス、雨の日の車中でのモノローグは尋常じゃないぐらい涙が出ます!

【第2位】
ドロータ・コビエラ / ヒュー・ウェルチマン監督
『ゴッホ〜最期の手紙〜』



これはもう手法が嘗てない体験でした。何かと言うと、油絵によるアニメーションなのです!実写で撮影した映像を、すべて油絵で描きアニメーションとして構成。しかもその油絵はすべてゴッホのタッチで描かれているという拘りぶり。「動く油画」というのは本当に誇張ではなく「嘗てない」視覚体験でした。
映画の新しい可能性を感じましたね。ゴッホの死の真相を追求するという肝心のドラマも面白く、そのみステリアスな雰囲気に思わず夢中になってしまいます。

【第3位】
ケン・ローチ監督
『わたしは、ダニエル・ブレイク』



カンヌ国際のパルムドール受賞作。社会派的な映画の名手であるケン・ローチ監督が、イギリスの貧困層にスポットライトを当てました。
病に罹患しながらも働き続ける世話好きな老人ダニエル・ブレイクが、身寄りなく流れ着いたケイティ親子と交流していく疑似家族的なヒューマンドラマです。政府から補助を得ようとするも、色々な場所をたらい回しにされ、最終的には体調を崩し命を落としてしまう……最後、ダニエルの葬式で読まれるケイティの手紙に目頭が熱くなります。

【第4位】
グズムンドゥル・アルナル・グズムンドソン監督
『ハートストーン』



友人にこんな映画をベストにチョイスするやつなんて居ねえと罵られましたが、個人的には隠れた名作と信じてやまないのが、アイスランドのBL(Boys Love)を扱った本作品です。
主人公のクリスティアンが親友のソールに恋愛相談を受けるのですが、親友の恋愛を素直に応援できずモヤモヤした感情の中で好意を抱いていることに気づきます。そこから彼の葛藤は始まり、物語は予期せぬ方向へと展開。美しい景色の中で繰り広げる青春群像は、何にも代え難い美しさがありますね。

【第5位】
クリストファー・ノーラン監督
『ダンケルク』



ノーラン監督が初のノンフィクションに挑む、という触れ込みで告知されていたのが本作。
舞台は第二次世界大戦。戦地となったフランス ダンケルクからの撤退劇がリアルに描かれます。今まで観たことのない類の戦争映画。音響やカメラワークへの拘りが強く、あたかも戦地にいるかのような臨場感があります。(なので、苦手な人は苦手かも……?)
息の詰まるような擬似戦場体験で、登場人物の名前も曖昧、何より敵の姿が一切出てこない。実際の戦場では声や銃声などしか聞こえなかったであろう、というリアリズムの追求を感じました。

【第6位】
アレハンドロ・ホドロフスキー監督
『エンドレス・ポエトリー』



チリ出身のアレハンドロ・ホドロフスキー監督の自伝的作品。『リアリティのダンス』に続く第2弾です。前作を観ずの鑑賞でしたが、それでも文句なしに面白い!
南米と言えば『魔術的リアリズム』の聖地ですが、とにかくそのマジカルな画に視線が釘付けになります。比喩的な表現も心地よく、とにかく画に対する拘りが尋常でない。エンドレスを象徴する火の鳥のイメージは鮮烈で、BGMで使用されるのはストラヴィンスキーの「火の鳥」。
芸術は滅びないという熱い主張を感じるとともに、自分の可能性を狭めていたと今まで避けてきた父親への謝罪も内容に含んでおり、とにかく心が震える作品でした。

【第7位】
バリー・ジェンキンス監督
『ムーンライト』



これは、前回のアカデミー賞作品賞を受賞して話題になりましたね。
嘗て友人同士だったシャロンとケヴィン、二人の黒人を巡る物語。年代を少年期、青年期、成人期と三章に渡って分割し、緻密に構成された作品です。愛し合っていた二人が夜の浜辺で語り合うシーンの静謐な美しさと言ったら……!
黒人であり、ゲイでもあるという二重のマイノリティに属しながら、映画のテーマが全くそこにはないというのが味噌。昨年後半に話題になった『ゲットアウト』との大きな違いな気がします。

【第8位】
デイミアン・チャゼル監督
『ラ・ラ・ランド』



これもお馴染み。デイミアン・チャゼル監督がアカデミー賞監督賞を受賞した作品。賛否両論ありますが、私は大好きな作品です!ミーハーらしくサウンドトラック買っちゃいましたし!
ウディ・アレン監督の『マジック・イン・ムーンライト』以降エマ・ストーンにぞっこんですが、本作でもとても素敵な歌とダンスを披露してくれました。『Audition』名曲です。

【第9位】
パク・チャヌク監督
『お嬢さん』



韓国の百合ドラマとでも良いのか、とにかくエロい。韓流スターたちがカタコトの日本語を駆使しながら繰り広げられるドラマは、それそのものが何かしらの批判性を帯びているようにすら感じます。
キム・テリとキム・ミニの二人の主演女優による絡みがエロ過ぎて鮮烈。エロくありながら、何もかもから解放されて草原を駆け抜ける二人の姿は少女的でもあり、なんというかオタク的に言うと尊い……です。

【第10位】
パブロ・ラライン監督
『ジャッキー ファーストレディ 最後の使命』



ジャクリーン・ケネディの伝記的映画。夫を暗殺され、将来的には子供も喪ってしまう悲劇の女性。その心象風景が映像と音楽を通じて巧みに表現されていました。子供の葬儀前、神父とのダイアローグが要所要所に挿入されて、物語に深みを与えています。
喪服姿のナタリーポートマンが行進する姿は、静謐でありながら美しく圧倒されてしまいます。

【特別篇】
テレンス・マリック監督
『ボヤージュ・オブ・タイム』



特別篇ということで挙げたのはテレンス・マリック!『ツリー・オブ・ライフ』でパルムドール受賞しましたが、これも好き嫌いがはっきり分かれる監督ですね。
地球の誕生から現在までを辿る奇跡の映像体験。中谷美紀のナレーションも心地よく、もう、とにかく癒されます。そして、泣けます!自然が支配していた過去と人が登場してからの現在が和合し、未来へと向かうシーンは圧巻でしたね。
「葉が枝にあるように 枝が木にあるように 私たちは愛でつながる」という台詞が印象深いです。

とまぁ、駆け足でしたがベスト10+αの紹介でした。なお、2017年に一般公開された『サーミの血』は2016年の2位にランクインしてますので、良かったら観てみてくださいね。

2018年も既に期待できる作品が多いので、楽しみですね。今年期待しているのは『ゆれる人魚』と『聖なる鹿殺し』です。よろしければ、ぜひ。


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