K馬日記

映画や美術、小説などの作品鑑賞の感想を徒然なるままに綴っていきます。

奈良美智展

2012年08月05日 | 美術
君や僕にちょっと似ている――

というわけで行って参りました!
横浜美術館で10年ぶりの奈良美智の個展。
Yoshitomo Nara - a bit like you and me...

いやあ、奈良さんの絵は去年あたりからかなり好きになりまして。
今となっては奈良さんの絵がプリントされた手帳を使う始末です。

いや、まあ、感想なんて・・・もう・・・かわいい!!!
しかないんですけど、もう、あの、なんていうかかわいすぎてかわいすぎました。

特に樅の子ってキャラクターがかわいすぎてもう・・・
1000円のキーホルダー買っちゃたよ。

髪型が樅の木の女の子なんだけど。
もう奈良さんの描くキャラクターのかわいさが存分に引き出されてました。

作品は2012年の新作が中心で、2011年もちらほらと、と言った感じで。
かなり新しい内容の展覧会でしたー!
まあ、奈良さんの作品がどわーっと展示されてる展覧会だと思ってくれれば。
古典的な展示とは違って、特に難しいこと考えながら見る必要がないので、すぐに観終わっちゃうし、とても気軽に行ける展覧会です!

注目すべきは、彼のブロンズ像の制作動機と、使用してる材料ですね。

今回ブロンズ像を製作した背景にあったのは、自身を美術史の流れの中に組み込みたかったからだとかなんだとか。
ブロンズ像って、かなり古くからある美術ジャンルで。
古代ギリシアはもちろんのこと、インド美術から日本美術、中国美術に至るまで、ありとあらゆる地域の源流につながっているジャンルです。
美術の源流に立ち戻ろうとすることで、自身を美術史の大きな流れに組み込もうとしたのでしょうか。

スーパーフラットで新しい源流を産み出そうとしている村上さんとは少し対照的な美術史に対する姿勢のように感じますが、どうなんでしょうか。

そして絵画に使用している材料の幅広さ。
ベニヤ板やらダンボールやら絨毯やら机やら木製の家の壁などなど・・・
もう、ありとあらゆる平面に描くつもりなんじゃなかろうか、と思うほどの幅広さよ・・・!
しかも、そこで気付いた面白いことは、机も壁も材料としては「板」と表記されるということ。
描かれている表面だけで材質って決まっちゃうんだな、と思った。
形質は関係ないのですね・・・(※形質よくわかってません笑)

そうした、あらゆる平面を作品化していくところに、日常性を重視しているのかな、という感想も抱いたり。
まあ、卒論の関係で今は日常性と美術の関係に非常に関心を強くしているというのもありますが笑

そこら辺が結構この展覧会を理解する上でのキーワードになってくるのではないでしょうか。


まあ、キーワード云々より、彼の作品の単純な魅力について考察をおろそかにしていましたね笑
で、奈良さんの何が魅力的なのかと考えてみたところ。
ぼくは、色彩感とバランス感覚というものを挙げておこうと思います。

くそ普通わろたwwwって思いますね!ぼくも思います!

でも、本当にそこに集約されると思いま!
彼の絵は非常にシンプルに描かれていて、そのシンプルさを極めた挙句、かわいいキャラクターたちが生まれてきたんだと思ってます。
美術を純粋化していく中で、空間と色彩は2つの大きな支柱となっていますが。
やっぱシンプルを極めるとそこが浮き立ってくるんですよ!

肌色も単純な肌色ではなく、その下地にすごくカラフルな色彩がほどこされていて。
肌色なんだけど肌色じゃないという幻想的な色遣いになっています。
下地なのでカラフルな色はぼんやりとしていて、余計に惹きつけられます。

そして、画面構成。
キャラクターが正面に描かれているだけなのに、何故かとても魅力的。
手の位置とか、顔と体のバランスとか・・・とにかく「ここ!」っていう位置にぴったりきてるかのような構成。
そもそも、ある対象のみを描いて、それを良いと思えるのは構成が優れているからですよね。

写真でも良い「見きれ」と悪い「見切れ」があるのと同じですね。
対象と余白のバランスってかなり大事なんですよ!


美術の純粋化まで持ち出して、結構現代の作家も美術史に絡んでくるなあと感慨ぶかくなってます。
けど、結局アートシーンはほとんどやり尽くされてるので、どこかに当てはめようと思えば、当てはまっちゃうんですけどね・・・

なんて、実際に絵も描けないやつの理論遊びなんですけど。


かなしきかな・・・


hona-☆

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