Taga_castillo

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FT-726の受信不可を修復

2015-05-22 21:58:19 | Ham(RX,TX,Ant)
0.はじめに

 144MHzでローカル局とQSOに使っているFT-726ですが、受信のみができなくなってしま
いました。
ハンディ機のFT-727Gもあるのですが、以前から送信ができなくなっていたので、これを受
信機とし、FT-726を送信機として運用してみましたが、オペーレーションがかなり面倒なの
で1回で止めてしまいました。
実は、FT-727Gの内を見てみたのですが、かなり込み入っており簡単には修理ができそうも
ないな、とあきらめていました。
それゆえ、FT-726単独で利用することを考え、受信ができるように修理をしようとした訳で
す。

1.故障状況と修復の検討

1)最初にFT-726の電源を入れた時は正常で、受信できる状態となっています。
2)送信をすべくPTTを押して送信状態にし、話しが終わってスタンバイすると受信状態に戻ら
 ず、何も聞こえなくなってしまいます。スケルチを操作しても無音であることから、全く
 受信状態になっていない(受信機として動作していない)ので、受信部に電源の供給がな
 されていない可能性が大きいと考えました。
3)回路図はあるものの詳しく見て行くのは面倒なのでHP等で調べてみたところ、FT-726は
 送信部(基板)から受信部(基板)へ電源が供給されているとのことが分りました。
4)ここで、回路図を見てみると、確かに送信部(基板)から受信部に電源が供給されており、
リレーで切り替えをしている事が分りました。
5)FT-726を開けて、送信基板を見てみるとリレーが2個並んでおり、電源を入れてPTTを押し
 てみると、片方のリレーが動作するのが見えました。ただ、戻り(復旧)が良くないよう
 で、透明のカバーを外してドライバーで少し動かしてみると受信状態に戻ることが分かり
 ました。
6)リレーのカバーを見ると"211SC D009-M"と印字してあり、それに"F"のマークがあるので富
 士通製品と見て調べたところFBR210のうちの1製品であることが分りました。コイル定格
 電圧がDC9V、コイル抵抗が400Ω、接点は1極でmax2A(DC)となっています。
7)すぐ手に入れられる同じ様なリレーを探したところ、TTiのTRBシリーズがありましたが、コ
 イル電圧が9Vのものの在庫がありませんでした。やむなく12V(R:400Ω)のもので、
 接点max3A(DC)を購入しました。
8)コイル電圧が12Vのものを9Vで使えるかどうか試すため、さらに0.5Vの余裕をみて8.5Vで動
 作の確認を行なったところ正常に動作することが分りました(ただし、他の方にお勧めは
 しません)。

2.修理作業

1)不良個所の確認のため、既にFT-726の取扱説明書に沿ってケースを開けており、修理前の
 送信部(基板)の写真は以下の通りです。



2)次はリレー部分を拡大したもので、左側のリレー経由で受信部へ電圧を供給しています(リ
 レーのプラスチックカバーは外してあります)。



3)戻り(復旧)動作が悪い左側のリレーを基板から外そうとしたのですが、リレーのピンか
 ら半田を吸い上げ、リレーを取り外すまでかなり時間がかかりました。
 今までのリレーと新しいリレーは、大きさもピンの配置も同じだったので、リレーを取り
 付けるのは簡単でした。



4)実はリレーの他に、受信音量調整のボリュームがガリオームとなっていたので、取り換え
 ようと考えていたのですが、VRが3連(10k-B, 50k-B, 10k-A)となっており、残念なが
 ら入手できそうにありません。
 ただ、VRはケースを外すことができるものだったので、音量調整用の10K-Aのケースを外
 し綿棒で何度か抵抗面を拭きとってみたところ、少しは良くなったようです。



5)ケースを外したまま電源を入れて送受動作を確認後、開けた時と逆の順でケース等をかぶせて
 修復を完了しました。


トラ技(2014年9月号)特集「フルディジタル無線」を"読む"(その2)

2015-01-06 18:15:17 | Ham(RX,TX,Ant)
§0(イントロダクション) 無線はもうフルディジタルで行ける

P40 <無線技術の今昔 ・・・・ そして未来>

 ここには以下の項目と人の名が図(漫画)入りで掲載されています。
 「のろし」
 「火花送信機とコヒーラ検波」マクスウェル、ヘルツ、マルコーニ
 「3極管~増幅」ド・フォレスト
 「スーパーヘテロダイン」シャノン、アームストロング
 「データ通信~インターネット」フーリエ
 「SDR~I/Q変復調」

 名前等は聞いたことがない人もいるようです。

 また、P40には数式や図がありますが、このブログではどのように書くか悩むところです。
 例えば、説明的に書くと以下の数式が書いてあります。

  自然対数の底(e)の(iθ)乗=cosθ+isinθ

 右辺は一般的な書き方ができますが、左辺の乗数のところの表し方が問題です。
 また、波動方程式として分数表示になっているものもあるので、これをどう表示すかも考えておかなければなら
ないようです。

P42 <今どきは電波直結でフルディジタル処理!>
「電波と言う目に見えない電気信号は(従来は)職人だけが作ることができる巧みなアナログ回路でこれらの
電波をとらえ、音声や映像などを再生していました。この技術は非常に難易度が高く、経験の浅いエンジニアに
はなかなか手が出ませんでした。」と、あります。
 アマチュア的に考えみると、ローパワーであれば7MHzでCWの送信機と受信機を作るのはそれ程難しいこと
ではないと思います。もっともプロ(メーカー)として、製品を作るのであれば、そうかも知れません。

 「フルディジタル無線機はすでにある」と言うことで、PERSEUS製のSDR(Software Defined Radio)が紹介
されていて、A-D変換された信号はUSBインターフェースを通して、ディジタル化した信号をパソコンに取り込
み、パソコンのソフトウェアで信号処理してアナログと同様の音声や映像を復調します。」また、「§1 で
紹介されているAR6000のようなディジタル受信機が出力するI/Q信号は、USBを使ってパソコンに送り込まれま
す。受信機のUSBに対応するドライバは、アイソクロナスで送り込まれる受信機のI/QのデータをDMA(Direct
Memory Access)でリアルタイムにパソコンに取り込みます。このデータをパソコンのソフトウェアで信号処理
して、スペクトル表示や信号の復調を行ないます。」とあります。
 まず、「I/Q信号」と「アイソクロナス」とは何かと言うことになります。
 「I/Q信号」を調べてみると、I:In-phase、Q:Quadrature-phaseと言うことで、信号の位相が90度異なるる信
号のことのようです。また、「アイソクロナス」は、特定の通信に対して必ず一定の転送量を確保する方式で、
USB等で実装されている、とのことです。

P44 <フルディジタルは素晴らしい>
 「TRX-305MBのようなSDRは、ハードウェアだけあっても何の役にも立ちません。その中に、FPGAやDSPにソ
フトウェアを入れることで、初めて無線機として機能します。」とあります。
 さっそく調べてみると、FPGA:Field Programmable Gate Arrayは、現場(Field)で、書き換え可能(programmable
プログラマブル=プログラム可能な)、LSI(論理ゲート(Gate)が格子(Array)状に並んでいるセミカスタム
LSI)という意味で、またDSP:Digital Signal Processorは、デジタル信号を専門に処理するマイクロプロセッ
サーで、積和演算を高速に処理できて画像や音声の処理に向いている、とのことです。

 「SDRの狙いの一つは、同じハードウェアの内部のソフトウェアを書き換えることで、いろんな受信機に
変身させられる点です。」そして「性能はアルゴリズムを作るエンジニアの技量に大きく依存します」、また
「応用は無限に広がり、はんだごてを使ってハードウェアを作り変える必要もほとんどありません」とありま
す。うーん、アナログ人間としては、ハードを作りあげて行くことが面白いと思っているのですが・・・。

P45 <どうして無線機のフルディジタル化が可能になったんでしょうか>
 「半導体の進歩はすばらしいものです。スーパーヘテロダインに頼らなくても、30MHz以下の電波なら、十分
な低ひずみとダイナミック・レンジを確保してアンテナからの信号をストレートにA-D変換できるようになった
のです。」とあり、さらに「ディジタル信号の基本、サンプリング定理は皆さんご存知でしょう。サンプリン
グ・クロックの半分以下の周波数の信号しか取り込めません。0~30MHzといった広範囲の信号を一挙に取り込
むためには、サンプリング周波数は65M~80MHzといったA-Dコンバータが必要です。特に無線100dBといった広
いダイナミック・レンジが必要です。」とあります。

 昔、音声のA-D変換の時に学んだのは数十kHzのサンプリング周波数でしたがそれが1000倍の数十MHzとは、
ICが高速動作するようになったのには驚かされます。なお、アナログ信号をデジタル信号に変換する際、ア
ナログ信号に含まれる最大周波数の2倍以上の周波数で信号を標本化(サンプリング)すると、もとのアナログ
信号の連続波形を再現でき、これがナイキスト・シャノンの定理(標本化定理)と呼ばれています。

P47 <Appendix>
 "TRX-305"の紹介ですが、ここでは省略します。もし、「§8 1GHzダイレクト変調! フルディジタル無線
機実験キットTRX-305誕生」まで進むことができた時に"読む"ことができるのではないかと思います。

トラ技(2014年9月号)特集「フルディジタル無線」を"読む"(その1)

2015-01-03 15:12:15 | Ham(RX,TX,Ant)
§0-1 はじめに
 2006年12月号のCQ誌に「ソフトウェア・ラジオ実験基板」が付録として付いたものの、部品を集め始めて
組み立てが終わったのは2年程後だったような気がします。コイルとバリコンの同調回路がないソフトウェア
・ラジオ(SDR)からの出力を、ソフトを入れたパソコン(PC)のマイク端子に接続して、7MHzが受信
できた時には驚きました。音声に加えてバンドスコープ的にトン・ツーが表示されることにも感心しました。
 その後、6年程が経過してしまいましたが、2014年9月号のトラ技に「全開!フルディジタル無線」が特集
され、西村芳一さんによる詳しい解説がなされていたので、一読してみましたが全く歯が立ちません。分から
ないことだらけです。
 さてどうしようかと考えましたが、トラ技を読んでいる方全員が理解できるレベルではないのではないかと
(勝手に)考え、ゆっくりと時間をかけて"読む"ことにしようと思ったしだいです。
 私の技術レベルで読み進めるのはかなり難しいと思っていますので、どの位の時間(月日)がかかるのか分
かりませんが、分かる範囲で読み進めて行きたいと思っています。なお、途中でギブアップの可能性は大です
ので、その時はご容赦頂きたいと思います。

 まず、トラ技9月号の特集の目次を以下に記します。

P42 イントロダクション 無線はもうフルディジタルで行ける
P58 §1 高性能がほしいなら! ディジタル信号の処理のススメ
P66 §2 無線の基礎信号処理1、2 「A-D変換とI/Q変換」
P77 §3 無線の基礎信号処理3 「ディジタル・フィルタ」
P88 §4 無線の基礎信号処理4 「正弦波生成」
P92 §5 無線の基礎信号処理5 計算が大得意!「CORDIC」
P97 §6 無線の基礎信号処理6 「サンプリング・レート変換」
P108 §7 無線の基礎信号処理7 「変調と復調」
P117 §8 1GHzダイレクト変調! フルディジタル無線機実験キットTRX-305誕生

3.5MHz受信機の製作(13)

2013-03-27 18:50:53 | Ham(RX,TX,Ant)
4.使用感と修正個所
数日程ですが、3.5MHzを聴いてみた感じと手直しをしたところを書きたいと思います。

まず、修正個所ですが半田付けの間違いが2ヵ所ありました。
1.DETののところで、+6VからR(820Ω)とLPFを経由してドレイン(D)に電圧が供給されますが、RからLPFを通さずDに繋いでいました。サーと言うノイズが多くDETのところを調べていて気が付きました。手直しをしたところ、若干ですがノイズが少なくなったような気がします。
2.S-MeterのところでTr(2SC1959)のコレクタ(C)にR(1.5kΩ)を通して電圧が供給されますが、Rを+6Vでなくアースに繋いでいました。これではS-Meterが動くわけがありません。もっとも、手直しをした後も、強い信号であれば針は振れますが、弱い信号では振れてくれません。やはりバッファを入れた方が良さそうです。

次に使用感ですが、私のメインのトランシーバ(JST-245)で受信できる信号はなんとか受信できるようです。ただ、若干サーと言うノイズが気になるので調べていますが、どうも基板Bで発生しているようで、Mute(Key)をショートすると止まります。LPFを入れているのですが、ちょっと気になりますので、いつか詳細に調べてみようと思っています。
また、L-OSCのVXOですが、X-talの周波数より100kHz程下げて発振させているので、長く聴いているとほんの少しですがドリフトがあるようです。これは、X-talの周波数をもう少し低い9,950kHzあたりにすれば改善できると思います。

それから、OP-Ampについてです。LT1364とNJM2137Dを差し替えてみましたが、まず消費電力に大きな違いがあります。データシートにも書かれていますが、LT1364は約12mAで、NJM2137Dは約1.2mAとほぼ1/10です。6.4MHzのIF-Ampなので、GB値(積)が気になりましたがLT1364でも大丈夫なようで、ゲインも消費電力が大きい分LT1364が若干大きいようです。ただ、消費電力も含めて比較すれば、断然NJM2137Dの方に軍配があがります。

以上、2月上旬から回路図等の検討を始め、基板毎にテストをやりながら3.5MHzの(CW)受信機を作ってきました。若干の問題は残るものの実用になりそうです。QRP送信機、そして移動可能な短縮アンテナを持って外に出て運用してみたいと思っています。

3.5MHz受信機の製作(12)

2013-03-24 17:27:43 | Ham(RX,TX,Ant)
(3.製作(組立))
「製作(10)」に書きましたが、3.5MHzのSSBがMixerを経て逆サイド(USB)となっているので、BFOの周波数をX-talフィルタの(通過)周波数より下げる必要があります。X-talにFCZ5(6.75μH)を直列に入れているものの足りないようなので、L(22μH)を追加してみてトリマCを調整したところSSBを受信することができました。BFOの発振周波数を測定してみると約6,396.4kHzでした。
これで、一通りの確認が終わり受信機として動作するはずなので、ケース(YM-180)に穴を開け基板等を組み込むことにしました。フロントパネルとリアパネルは"SS-40"の時とほぼ同じにしましたが、基板は3枚に分割しているのでこの大きさであれば4枚まで収まるようです。(いつになるか分かりませんが)あとで別の周波数帯の基板を追加できるように1枚分を開けておくこととし、アンテナ用のBNCコネクタだけは付け加えておくことにしました。

実際に配置した様子は以下の通りです。



フロントパネルが、左からS-Meter、パイロットランプ、同調ダイアル、イアフォンジャック、音量VR、電源SWで、リアパネルが3.5MHz用BNC、追加用BNC、Mute、電源となります。
基板は、左手前(フロント側)が基板A、右奥が基板B(後述しますが、基板B'を追加しています)、そして右手前が基板Cです。基板AとBの間は1.7C2Vで、基板BとCの間は音声なのでシールド線で結んでいます。

実は、一度組み込んだ後に以下のような問題点があって回路の追加等をしています。
1.ゲインが不足している。
2.S-Meterが動作しない。

まず「1.ゲイン不足」ですが、"SS-40"と比較しても構成はあまり違いがないような気がしていたものの、聞いてみるとわずかに聞こえる程度です。AF-Amp(LM386)の端子1-8間に直列に入っている1kΩと22μFを10μFだけにすればゲインが上がりますが、基板の取り外しが面倒なので取り付けたまま1kΩの両端に22μFを追加しました。これは1kΩと22μFを外して11μFを付けたものと同等です。
だいぶ音量は上がったものの、まだ不足ぎみなので、さてどうしようかと考えました。基板の内部に回路を追加するのは大幅な変更となるので、追加するとすれば基板AとBの間、あるいは基板BとCの間になります。基板BとCの間は音声だけでなくMute用に直流電圧がかかっていて少し面倒なので、基板AとBの間にFET(3SK63)を使ったAmpを入れることにしました。X-talフィルタ側のインピーダンスが100Ωで、FETの出力(動作点)インピーダンスは2kΩ前後と考えられるので、12pF(Xc≒2kΩ)でカップリングしインピーダンス整合をとってみました。この部分が「基板B'」となります。

次に「2.S-Meterが動作しない」についてです。AGC回路は"SS-40"の回路を借用したのでこのまま動くと思っていたのですが、動いてくれません。当初、ゲイン不足なので音声を整流しても電圧不足だろうと思っていたのですが、上記のようにゲイン不足が解消した(と思っている)ものの、動く気配がありません。Tr(2SC1815)のCやE電圧を測定してみるとどうもTrが動作していないことが分かりました。つまり音声を整流してもB電圧が0.6V以上になっていないようです。
現時点ではS-Meter回路はこのままにしておきたいと思います。後で"SS-40"との違い等を探してみることにしますが、あるいは勘違いがあるのかも知れません。

基板AとBの間にFET-Ampを加えた、(現時点での)全回路図は以下の通りです。



しばらくの間これで3.5MHzを聴いてみて、その後改善しなければならない所を直して行くことにしたいと思います。