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東北歴史博物館館長講座(第6回)

2013-08-13 22:14:43 | 歴史
東北歴博の第6回館長講座が8月10日(土)に開催されました。
以下にその概要を記してみます。

第6回(2013-08-10)
第4章 Ⅱ期官衙と宮都
 Ⅱ期官衙は、701年の大宝律令施行以前の藤原宮をモデルに設計された。

1.Ⅱ期官衙と藤原宮
 藤原宮:694-710年、最初の律令制宮都であり、条坊制都城である。
 Ⅱ期官衙は次の3点で藤原宮と共通する。
 (1)官衙域・宮城域と中枢部
  2つは、平面形がほぼ正方形であり、それぞれの中枢部である政庁と大極殿・朝堂が、
  官衙域・宮城域の南北中軸線上の中央部から南部に位置する。
  宮都の歴史において、正方形の宮城域とその南北中軸線上の中枢部の位置は、藤原宮
  に始まる。
 (2)外郭の構造
  藤原宮とⅡ期官衙の外郭は、塀の外に二重に溝と空閑帯を巡らす。
 (3)Ⅱ期官衙は藤原宮の1/4の規模
  最外の溝で囲まれた区画が、Ⅱ期官衙=1500令大尺=1里、藤原宮=3000令大尺=2
  里で、一辺の長さで1/2、面積で1/4。
   1令大尺=1.2令小尺=0.356m、 1令小尺=0.297m、
   1里=300歩=1500令大尺=534m
 (4)Ⅱ期官衙は藤原宮モデル
  以上の3点で関係が深いので両者は同一の考え方で作られ、新型の宮城モデルである
  藤原宮をモデルにⅡ期官衙が設計された。
2.Ⅱ期官衙と飛鳥の京
 Ⅱ期官衙正殿北の石組池は地方官衙では珍しい遺構だが、飛鳥の石神遺跡に同類の池が
 あり、共通点が指摘できる。
 (1)Ⅱ期官衙政庁の後庭
  政庁の正殿の北=後庭:石敷き・石組み池・南北棟建物によって構成され、1つの儀
  礼的空閑。
 (2)飛鳥の宮
  藤原宮の東南に隣接した京、「日本書紀」では「倭京」という。
  飛鳥石神神社:飛鳥寺の西北部に隣接、7C半ば~8C前半の間に4期の遺構が重複。
  7C半ば(A-3期)に斉明朝の須弥山の園池。石組み池あり。
 (3)飛鳥の服属儀礼
  ①7C半ばから、蝦夷は毎年都および国府・城柵などの地方官衙に朝貢して、天皇に
   服属することを誓約する服属儀礼を行なう。
   701年の大宝律令の施行を境にして、7Cと8Cで行なう日時・場所、性格が変
   化した。
    7C型=日時を決めずに、神聖な場所。神聖なものに誓約する呪術的性格。
    8C型=元旦の朝賀。大極殿・朝堂。天皇に直接誓約する儀礼的な性格。
  ②須彌山の園池
   「日本書紀」斉明3・5・6年(657・59・60)に粛愼、陸奥・越の蝦夷などの夷
   狄が服属儀礼を行なう。
   須彌山:仏教の世界観において世界の中心にある聖山、帝釈天を中心に三十三天・
    四天王・衆天などの天部が住む。
   石組み池:儀礼の前に心身を清める禊をするためのもの。