我ながら不思議

医者から「あなたは癌です。」と宣告を受け、保険会社からも「ガン患者」と認定されて、
こんなに落ち着いていられるのはどうしたことか。

明るく楽しい癌宣告、これはどこか不埒で様子がおかしい。

また儲かってしまったのは嬉しいことではあるが、見合いになるようなものではない。

それにしても、妙に清々しい気持ちなのはどうしたことか。

どのような事象も実際は一元ではなく実は多様なのかも知れない。

分かっているようで体験して始めて分かることも多いのだろう。

生物は「今際の際」になると体内から快楽物質と言われている多分酵素の
一種なのだろうが、まだよく分かってない物質が出て、司令塔である
大脳が「生命活動の幕引き」を開始するらしい。

心筋梗塞や心不全で「心臓の非常事態」が生じた場合も、心筋細胞から
特殊な酵素が出て、それが脳だけでなく全身の組織細胞に非常事態情報を
伝えるということだ。

心臓という全身に血液を送り出すポンプが故障した時に、大脳に情報を伝えて
そこからの指令で全身の細胞を制御していたのでは間に合わないから、
心筋細胞が即座に指令物質を血液中に放出して、全身の毛細血管に
収縮を直接指示しているらしい。

人の自律神経と呼ばれる身体機能の中にはこういう多細胞生物ならではの統制機能が
色々と仕組まれているのだろう。

それらの多くが「生存を維持」するための自律機能だとすれば、逆に「終了を受け入れる」
為の機能があってもおかしくはない。
生物は「必ず死ぬ」存在だから、細胞分裂の終焉や生命活動の終了も予めプログラム
されているのではなかろうか。

そう考えると「我ながら不思議」なのも合点がいくが、

そうでなく「「儲かったから嬉しい」それだけのような気も、

少しする。