武田薬品工業が、米のEnvoy Therapeutics社を買収すると発表した。
http://news.mynavi.jp/news/2012/11/07/018/
武田薬品、米の創薬研究企業を買収 - 買収価額約1億4000万ドル
武田薬品工業は11月6日、米のEnvoy Therapeutics(Envoy社)と、武田薬品工業の子会社である武田アメリカ・ホールディングスがEnvoy社を買収することについて合意したと発表した。買収価額は最大で1億4000万ドル。
武田薬品工業によると、Envoy社は、既存の治療薬よりも有効性・安全性に優れる新薬の創製に特化した非上場の創薬研究企業。Envoy社が保有するbacTRAP技術は、最新の遺伝子工学と分子生物学を組み合わせた技術であり、特定の細胞型に発現するタンパク質生成遺伝子の可視化、抽出を可能にするという。
今回の買収により武田薬品工業は、bacTRAP技術や研究材料、データベース、解析技術などを獲得するほか、Envoy社が有するパーキンソン病や統合失調症に伴う認知機能障害を対象とした中枢神経系の前臨床パイプラインも獲得する。
Envoy社は2013年3月まで所在地であるフロリダ州ジュピターで業務を行い、その後、同社の研究者や経営陣の大部分は武田カリフォルニアに移転し、武田薬品工業の医薬研究本部の傘下に入るとしている。
武田薬品工業プレスリリース
http://www.takeda.co.jp/press/article_54065.html
武田薬品によるEnvoy社の買収について
武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)とEnvoy Therapeutics Inc.(本社:ジュピター、米国フロリダ州、以下「Envoy社」)は、このたび、武田アメリカ・ホールディングス Inc.(武田薬品の100%子会社、以下「武田アメリカ・ホールディングス」)がEnvoy社を買収することについて合意しましたのでお知らせします。今後、武田アメリカ・ホールディングスは、必要な手続き等を経て、数日以内に買収を完了し、完全子会社化する見込みです。本買収契約に基づき、武田アメリカ・ホールディングスは、契約一時金および前臨床研究の進捗に応じて将来支払う可能性のあるマイルストンを含め、最大で140百万米ドルをEnvoy社に支払うことになります。
Envoy社は、既存の治療薬よりも有効性・安全性に優れる新薬の創製に特化した、非上場の創薬研究企業です。Envoy社が保有するbacTRAP® 技術は、最新の遺伝子工学と分子生物学を組み合わせた技術であり、特定の細胞型に発現するタンパク質生成遺伝子の可視化、抽出を可能にします。本技術は、多数の細胞型が混在する脳においてその効果を発揮しますが、中枢神経系以外の疾患領域への応用も可能です。武田薬品の連結子会社である武田ベンチャー投資 Inc.では、タケダグループの将来の創薬基盤強化につながる革新的な本技術に着目し、2009年10月に同社に出資しました。
今回の買収により、武田薬品は、疾患に関与する細胞に発現する新規創薬標的の同定を可能にするbacTRAP技術、研究材料やデータベース、解析技術などを獲得します。加えて、Envoy社が有する、パーキンソン病や統合失調症に伴う認知機能障害を対象とした中枢神経系の前臨床パイプラインも獲得します。
武田薬品の医薬研究本部長であるPaul Chapmanは、「2009年のEnvoy社への投資以来、bacTRAP技術を活用してビジョンの実現を目指す同社の卓越した専門性は、種々の治療領域にわたる真に革新的な新規標的の創出と探索に向けて、非常に高い可能性を有しているものと確信してきました。当社はEnvoy社と一緒に、優れた医薬品の創製を通じて、世界中の患者さんの健康に貢献してまいります」と述べています。
Envoy社のCEO兼取締役であるBrad Margusは、「武田薬品が有する多くの疾患に関する高い専門性と新薬創出に向けたイノベーションへの強いコミットメントは、当社独自のbacTRAP技術の幅広い応用を可能にします。武田グループの一員となることにより、bacTRAP技術を、新たな疾患領域に展開できることを大変嬉しく思います」と述べています。
Envoy社は2013年3月まで所在地であるフロリダ州ジュピターで業務を行います。その後、同社の研究者および経営陣の大部分は、武田カリフォルニア Inc.に移転し、武田薬品の医薬研究本部の傘下に入ります。
記
1.取得の方法および日程
- (1) 持分取得の実施者: 武田アメリカ・ホールディングスInc.
- (2) 持分取得の対象者: 5AM Ventures、Roche Venture Fund、武田ベンチャー投資 Inc.、創業者 (Nathaniel Heintz, Ph.D.、Paul Greengard, Ph.D.、Brad Margus、Jeffrey Friedman, M.D., Ph.D.)
- (3) 持分の取得方法: 現金
- (4) 買収価額: Envoy社の持分取得価額: 一時金とマイルストンを含め最大で140百万米ドル
- (5) 取得完了予定日: 数日中(2012年11月初旬まで)
- (6) ファイナンシャルアドバイザー: (武田薬品)Ernst & Young
- (7) リーガルアドバイザー: (武田薬品)Cooley, LLC
- (8) ファイナンシャルアドバイザー: (Envoy社)Grant Thornton, LLP
- (9) リーガルアドバイザー: (Envoy社)Latham and Watkins, LLP
2.Envoy社の概要
- (1) 名称: Envoy Therapeutics Inc.
- (2) 所在地: 米国 フロリダ州 ジュピター
- (3) 代表者の役職・氏名: CEO兼取締役 Brad Margus
- (4) 設立年: 2009年
- (5) 資本金: 8百万米ドル
- (6) 従業員数: 21名
- (7) 武田薬品との関係:
- i. 2009年10月のシリーズA投資ラウンドにおいて、武田ベンチャー投資Inc.が出資し、12.5%の持分を保有。
- ii. 2010年10月、共同研究契約を締結。同年11月、統合失調症に関する共同研究活動を開始。
本買収が当社の2013年3月期の連結業績に与える影響は軽微であり、現時点では当該期の連結業績予想の変更はありません。
以上
<Envoy社について>
Envoy社のミッションは、既存の治療薬よりも有効性・安全性に優れた新薬を創製することです。Envoy社のbacTRAP®技術によって、生体内の特定の細胞型において作られたタンパク質を同定することが可能となります。本技術は、何百という細胞型が混在している脳の組織で、特に効果を発揮します。これまで、特定の細胞型の活動を調節することは難しいとされてきましたが、Envoy社の持つ基盤技術によりこれが可能となります。Envoy社の詳細については、www.envoytherapeutics.comをご覧下さい。
<武田薬品について>
武田薬品は、研究開発型の世界的製薬企業を目指して、自社研究開発を強化するとともに、ライフサイクルマネジメントの推進、導入・アライアンスの積極展開を通じて研究開発パイプラインの充実を図り、経営理念である『優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する』の実現に努めています。詳細についてはhttp://www.takeda.co.jp/をご覧ください。
http://www.envoytherapeutics.com/images/stories/pdf/Envoy-in-Japanese.pdf
はじめに
創薬のプロセスは、通常、標的の同定、疾患とその症状に関係するタンパク質を同定することから始めます。新規標的タンパク質の発見は、第一段階にすぎないものの、極めて重要なステップです。標的タンパク質が見い出されると、そのタンパク質のみに作用する分子の合成に着手します。
たとえ研究者が標的タンパク質のみに作用する薬の開発に成功したとしても、そのタンパク質が、疾患に関係のある細胞群中だけでなく、多数の組織や細胞群にも存在することが多々あります。結果、わずかな薬のみが高い効果かつ最小限の副作用で正確に作用するのです。
標的タンパク質がどこで発現しているのかを正確に知ることは非常に重要となります。標的タンパク質の発現が、疾患に関与する特定の細胞型に特有であるほど、そのタンパク質に作用する薬が患者さんにとって効果的で安全である可能性が高いのです。
エンボイのミッションは、疾患に関わる細胞群において特有に発現する標的タンパク質に作用する新薬を開発することによって、創薬を変えることです。エンボイは、何百万人もの患者さんに、より副作用の少ない薬を提供できることを望んでいます。
エンボイでは、このミッションを達成できると確信しています。なぜなら、エンボイは、ニューヨークにあるロックフェラー大学においてエンボイの科学創始者によって開発された、強力な新技術への独占的アクセスがあるからです。詳しく後で説明しますが、その技術とは、bacTRAPという技術です。簡単に言うと、bacTRAPによって、あらゆる細胞型中の各タンパク質の発現を in vivo で測定できるのです。
エンボイは、神経と精神疾患の新規治療開発にフォーカスしています。なぜなら、エンボイの技術は、何百もの細胞型が交錯した脳に適用した場合に、特に強力なものになるからです。異なる型の神経細胞が混合されているので、個々の細胞型のタンパク質の発現を分析する際に、細胞を分離しなければならない従来の技術を利用することは非実用的です。さらに、脳の相互接続性のために、たとえ個々の細胞型が分離されたとしても、周りの組織からの細胞の抽出は、発現したタンパク質を変化させてしまうストレスを生む可能性があります。対照的に、エンボイのbacTRAP法は細胞を分離する必要がないために、特定の細胞型のタンパク質発現の非常に繊細で再現可能なプロファイリングを可能にします。
一流ベンチャー企業やグローバル製薬会社2社を含む投資家グループに支えられて、bacTRAPを重要な疾患に適用し、新薬発見を可能にするために、非常に優れた創始者からなるチームが2009年後半にエンボイを興しました。それ以来、エンボイでは、優れた科学者とビジネスマンからなるチームを採用し、製薬会社2社と提携し、スクリプス研究所と重要な関係を築き上げることにより、新薬発見の進展を促進しています。2
リーダーシップと資金
エンボイは2009 年に創業しました。創始者はノーベル賞受賞学者のPaul Greengard 博士、国立科学アカデミーの会員で、アルバート・ラスカー医学研究賞の受賞者であるJeffrey Friedman 医学博士、ハワード・ヒューズ医療研究所の研究者であるNathaniel Heintz 博士、そしてCEO のBrad Margus です。
エンボイの科学創始者は、ミッション達成に不可欠な脳細胞と神経伝達物質受容体の生化学的制御、細菌人工染色体(BACs)の相同的組み換え及びトランスジェニック技術によるエンジニアリングという分野に関する専門知識があります。Nat Heintz は、エンボイのbacTRAP 技術の開発だけでなく、GENSAT を開発しました。GENSAT は、公的資金による1 万2 千以上にのぼるトランスジェニックマウス株のリソースで、それぞれが脳全体にわたる特定の遺伝子の発現を明らかにします。4 人目の創始者であるBrad Margus は、かつてPerlegen Sciences の共同創始者兼CEO を務め、数々の施設内倫理委員会、NIH の諮問委員会、そして、企業や非営利団体の取締役会の役員でもあります。
エンボイの創薬活動を監督するStephen Hitchcock 博士は、困難な脳関連の標的の薬剤候補発見に成功した科学者チームを17 年間指揮してきた業績があります。Hitchcock 博士は、一流の生物医薬品会社であるEli Lilly やAmgen でシニアリーダーシップポジションに就き、マネージメントと外部委託に幅広い経験があります。また、血液脳関門透過性および脳内に入る小分子の領域の第一人者として、臨床前創薬の受容体占有および翻訳バイオマーカーの利用、そして薬力学-薬物動態関係の開発によって、スクリーニングのヒットを臨床上有効な化合物へと最適化する豊富な経験を有しています。
取締役会には、Brad Margus の他、前米国上院議員のBill Bradley、ハーバード大学のMason Freeman 医学博士、5AM Venture のJohn Diekman 博士がいます。科学諮問委員会には、Clifford Woolf 医学博士、Patrick Griffin 博士、Mark Gallop 博士、Philip LoGrasso 博士、Eugene Johnson 博士、Myriam Heiman 博士、そして、最近までNovartis においてグローバル・ディスカバリー・ケミストリーを指揮していたScott Biller 博士がいます。
2009 年10 月に行われた最初の資金調達では、武田薬品やRoche の製薬会社の投資部門と5AM Ventures からUS800 万ドルの資本を集めました。さらに、最初の1 年間で、エンボイのユニークな能力を活かすために、Merck(糖尿病と肥満)、および、武田薬品(統合失調症)といった製薬会社との共同研究を始めました。これら2 社からの多額の前金支払額に加えて、この共同研究の同意書では、多額のマイルストーン支払いやロイヤリティと共に、非希薄化且つ黒字キャッシュフローの研究資金が約束されています。
2010 年後半には、米保健社会福祉省から3 件の治療発見プロジェクト助成金がエンボイに与えられました。エンボイは、これら製薬会社パートナーとさらなる共同研究を行い、共同研究や内部ディスカバリープログラムを促進させるためのさらなる助成金の機会を追求して行きます。
ビジネスモデル
今日、エンボイのビジネスモデルは、第一に医学的に重要な細胞型のプロファイルにbacTRAP 技術を利用し、特異的に発現した薬剤標的を同定すること、第二に選ばれたこれらの標的に作3 用する新薬を発見すること、第三に一握りのグローバル製薬会社と、標的発見にフォーカスした黒字キャッシュフローの外部共同研究を行うことの3つの柱からなっています。
さらに、エンボイの創薬プログラムによって開発され、動物モデルにおいて臨床前の概念実証に成功した化合物のポーとフォリオの一部を、グローバル製薬会社にライセンスアウトすることで更なる開発と商品化を目指すことが、ビジネスモデルの4本目の柱になると期待しています。
著しい進展
エンボイでは、これまでニューロンの細胞群を多数プロファイルしてきました。また、不安、統合失調症、アルツハイマー、鬱病、痛み、パーキンソン、中毒、睡眠障害など広範囲におよぶ疾患領域の高選択的標的も発見してきました。これら標的から、エンボイでは、新しく、化学的に扱いやすいタンパク質ファミリーに属し、脳外部の末梢組織中での発現が限られており、さらにマウスと人間との間に高い相同性を有している標的の一部を選択しました。
エンボイでは現在、スクリーニング検定を開発し、超ハイスループット化合物スクリーンを実施し、「当たり」化合物を確認し、これら標的に対して化合物を最適化する医薬品化学、および、生物学的試みを始めました。次回の資金調達の前に、少なくとも1つのリード化合物を使った動物モデルで臨床前の概念実証を成功できると見込んでいます。
エンボイでは、初めから固定費へのコミットメントを制限することによって、戦略や運営上のフレキシビリティーを維持することに重点を置いています。この戦略は、創薬と開発に使われる投下資本の割合を最大限に高めます。フロリダ州ジュピターにあるエンボイの施設で働く優秀な生物学者と医化学者からなる主要メンバーを採用しましたが、正社員の数は最小限に絞り、外部共同研究者や顧問に大幅に依存しています。さらに、主力でない活動の多くは、外部研究サービスを活用しています。
bacTRAP技術
エンボイの技術は、細胞がタンパク質を作る方法をうまく利用しています。細胞内で遺伝子のメッセンジャーRNAコピーが産生されるとすぐに、そのmRNAは核から細胞質中のタンパク質組立リボソームに移動します。そしてリボソームはmRNAの遺伝子配列を読み取り、アミノ酸を組み立てタンパク質を合成します。エンボイの技術は、ある細胞型のリボソームによって読み取られたmRNAにうまくタグを付けます。そうすることで、他の細胞型のmRNAから切り離してそのmRNAを定量的に分析することができます。
エンボイが特許を持つアプローチは、いくつかの注目すべき技術を利用しています。まず特別にタグされたDNAの大きな構図を細胞内に挿入するために、細菌人工染色体、通称BACsを利用しています。次に、細胞内にこれら構図を有するトランスジェニックマウスを作成する技術を利用しています。そうすることで、親和性精製を使って、特定の細胞型からmRNAを捉えることができるからです。各コロニーのマウスは、研究対象の細胞型のリボソーム中だけに存在する、操作され、タグされたタンパク質を持っています。このタグによって、他の細胞型は全て避けながら、一つの細胞型のリボソームによって読み取られた全てのmRNAを分離することが可能になります。4 最後に、シーケンサーやマイクロアレイなどの遺伝分析プラットフォームを利用することで、mRNAの解析を行い、一つの特定の細胞型で発現されている全ての遺伝子を同定し、また、その細胞型において特定の遺伝子からどの程度のmRNAがタンパク質に翻訳されたのかを定量的に測定することが可能になりました。特にパワフルなのは、何百という異なる細胞型をプロファイルした上で比較分析することにより、特定の細胞型で特異的に発現されるタンパク質を同定できることです。
エンボイの技術的アプローチは、エンボイの創始者であるノーベル賞受賞学者のPaul Greengard博士とNathaniel Heintz博士の共著で2008年11月に刊行されたジャーナル誌Cellに掲載されています。
脳外への適用
エンボイでは、現在、脳に影響する疾患にフォーカスしながらも、このbacTRAP技術が、体内の他の組織にさらに広範に適用できることが証明されていることを言及しておかなくてはなりません。さらに、ベースライン遺伝子発現レベルのプロファイリングに加えて、bacTRAPは、薬へのエクスポージャー、行動学的研究、環境条件、あるいは、何らかの遺伝子操作により引き起こされた遺伝子発現の変化を同定する上で効果を発揮します。
bacTRAPの適用例
薬剤標的が特異的に発現されないことによって生じる不都合は、パーキンソン病と統合失調症という特定のドーパミン作動性経路の機能障害を伴う二つの疾患に示されています。
パーキンソン病では、脳の線条体領域のドーパミンD2受容体発現ニューロンの一部を活性化することによって、Levodopaという薬剤が優れた効果をもたらします。しかしながら、多くの他の脳領域同様、線条体の他のドーパミン受容体ファミリーが活性化されることによって、異常な動作、幻覚という有害な副作用がLevodopaの効用を制限しています。
エンボイのbacTRAP技術により、他の細胞型内でなくD2受容体発現ニューロンで特異的に発現する標的タンパク質の同定を行うことができました。これまでに62万件以上の化合物をスクリーニングし、この標的タンパク質に作用する特定の化学構造を同定しました。そして、エンボイの化学者は、候補化合物のいくつかの効力を向上させようとしています。それら化合物の安定性と、化合物が脳内に入ることを確認するために、動物を使ったテストを開始する予定です。これら化合物のうち少なくとも一つは、副作用なしにLevodopaと同じ効力を示すであろうと考えています。
統合失調症では、現在流通している抗精神病薬は複雑な薬理作用を有するものの、抗D2受容体作用という共通の特徴を示します。D2受容体は複数の経路のニューロンで発現されるので、(高プラクチン血症が原因の)不妊や勃起障害、反復、不随意運動(遅発性ジスキネジー)といった副作用がこれらの薬に共通しています。エンボイでは、bacTRAP技術を採用することで、より特異的な薬剤標的を同定し、またそれらに作用する薬剤を発見することによって、広く発現されたタンパク質を標的とする従来の薬剤の改良を目指します。 5 スクリプス研究所との重要な関係
エンボイは、世界中から採用された何百人という科学者や教授陣が生物医学研究を行っているスクリプス研究所が新設したフロリダキャンパスに隣接しています。エンボイは、スクリプスと戦略的関係を築きました。スクリプスの科学者は、スクリプスのハイスループット、ロボットシステム、化合物ライブラリーを利用し、エンボイの科学者によって同定された生化学的標的を活性化または抑制する化合物を何十万もの化合物の中からスクリーンしています。
スクリプスからは、3人のシニア研究者がエンボイの有給顧問となっています。また、エンボイのSteve Hitchcockは、スクリプスで非常勤教員を務めています。エンボイは、この関係によって、同等のインフラを構築するのに必要とされる膨大な資本支出と建設期間を回避しつつ、スクリプスの研究者の専門知識を利用し、潜在的な治療化合物を同定することができるのです。
概要
エンボイのbacTRAP技術は、体内にある、あらゆる個々の細胞型におけるタンパク質発現プロファイルに対する前例にない視点を作り出しました。この強力なツール、神経科学の専門知識、そして熱心な経営陣を所有することで、エンボイは特異性の高い薬剤標的のポートフォリオを開発しました。最初の標的群のハイスループットスクリーニングが完了し、他にもいくつかの標的が予定されています。エンボイでは、これら標的を選択的且つ効率的に調節する化合物のパイプラインを築くために、これらプログラムのいくつかに対して医化学活動を開始しました。
エンボイのユニークな能力に対する強い関心は、最初の一年間のオペレーションで、グローバル製薬会社との2件の意義ある共同研究を始めたこと、そして、秀でたベンチャー投資会社と製薬会社2社からの財政的支援を受けたことで証明されています。
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