歯根嚢胞手術から一ヶ月が経過した。
術後、痛みもまったくなく、どうやら順調に回復しているようだ。
ただ毎日、いや毎食後、悩まされることがある。
手術痕にできた、歯茎の大きな裂け目。
歯が無いので歯周ポケットならず、歯茎ポケットとでも言うべきか。
歯茎クレバスの方がカッコイイか?
そこにどうしても食べ物が詰まってしまう。
意識して反対側だけで咀嚼するようにしても、やっぱり詰まってしまう。
職場での昼食は仕方がないとして、
朝食と夕飯後は、歯磨きの際、それを取り除く作業に勤しむ。
先月にさかのぼる。
手術から一週間後に抜糸。
糸を一気に引っこ抜くものだと思っていたので、
それが歯茎のなかをスルっと通るときに、痛みや不快感があるだろうと身構えていたものの、
ハサミでチョキチョキと何ヶ所かカットして、ピンセットで糸くずを取り除くだけで済んだ。
後から妹に訊くと、そもそも一本の糸で傷口全体を縫ったりはせず、
抜糸のことを考えて、ちょこちょこ縫うもんなのだと。
さらに一週間後、最後の診察となった。
ピンセットに消毒液か何かをしみ込ませた脱脂綿のようなものを挟んで患部に当てがいながら、
患部を凝視しつつ、「順調ですね、大丈夫そうですね。」 そう言う担当医。
「じゃ、もう今日で終わりです。」
治療の終了を告げる担当医。
「また腫れたり何かありましたら、前かかっていた歯医者さんで診てもらってください、お大事に。」
傷口が完全に塞がるまで、週一くらいで消毒で通院しなきゃならないと思っていたが、意外に早く治療が終了した。
アゴが腫れてから、数ヶ月に及んだ歯根嚢胞のための口腔外科への通院が終了した。
早く手術してりゃ、もっと短期間で終わっていたということだ。
小松菜奈ちゃん似の受付のおネエちゃんとも、これでお別れだ。
「お大事に~。」
退室する際、ニッコリ微笑んで最後にそう声かけてくださった。
終了宣言の出たその日の夜、おそるおそる傷口を舌でなぞってみた。
それまで怖くて、極力傷口に触れることはしないでいた。
!?
なんだか歯茎がパックリ割れてるぞ!
口を開き、鏡で目視でも確認してみる。
切り取った歯茎、その部分がきれいに縦に割れているのだ。
さらにその割れ目、舌を突っ込んでみると、どこまでも深く入り込む。
これ・・・傷塞がってないんじゃないの!?
もしかして完全に歯茎が癒着していないのに抜糸してしまい、傷口がパックリ拡がった?
痛みもなく血の味もしないので、歯茎表面の傷は癒えているようではあるが・・・。
歯茎の割れ目にごはん粒。
鏡を見ながらおそるおそる割れ目にフロスを突っ込んで、ごはん粒をかき出す。
すると、フロスはかなり深く入っていく。
ごはん粒のみならず、さらに奥から食べかすがかき出されてくる。
何も出なくなるまでかき出し口をゆすぐ。
このフロスの毛の付いた先端が見えなくなるくらいまで深く沈む。
この歯茎の割れ目、どこまで深いのだろう?
もう一度フロスを差し込む。
コツ・・・。
え!?
フロスの先端が固いものに触れて止まる。
もう一度差しこんで観る。
コツン・・・。
やっぱり固いものに触れる。
手術した部位は抜歯しているし、その土台の歯槽骨もない部分。
・・・てことは歯肉が表面を覆っていなくってアゴの骨が剥きだしってことか!?
これはイカンやろ!?
よしんば時間の経過でアゴの骨を歯肉が覆い、
やがてパックリ割れている歯茎もきれいに塞がるとして、
なかに食べかすがこれほどに溜まってしまうのなら、
それをマメに取り除いていなきゃ、やばいんじゃないか?
食べかすが残留したまま傷口が塞がったりしたら・・・。
いや、さすがにそんなことはないだろうけれど、とにかくこれは先生に訊いてみねば。
再度治療ってことになると面倒くさいな・・・。
しかし、そうなればまた、あの受付のおネエちゃんに会える!
いや、そんな期待よりも不安の方が勝る。
翌日、昼過ぎ病院へ電話をすることに。
「大丈夫そうですね。」
そういって治療の終了宣言をした先生。
だが、歯茎はパックリと割れていて、
さらにその底にはアゴの骨とおぼしきものが露出している。
さすがにこれは、再度の縫合なり何か対処が必要なのではないか?
不安いっぱいで病院に電話してみると、
歯科助手になるのかな?
いつも先生の脇で補助をしていた、パーマのおばはんが応対してくれた。
「歯茎がパックリ割れてるんですが・・・。」
「きれいに塞がるまで、半年くらいかかりますよ。」
そうなん!?
「フロスやつまようじ突っ込んだら、なんか固いものに当たるんですが・・・。」
「アゴの骨ですね。」
やっぱりか!!
続けるパーマのおばはん。
「骨に傷つけてしまいますから、物を突っ込んで乱暴に動かしたりしないでください。」
「食べかすがすごく詰まるんですけど・・・。」
「ぶくぶくうがいできれいに取り除くようにしてください。」
そんな器用なこと・・・。
「食べかすやら きれいに取り除けなくて、そこが化膿したりとかしないんですか?」
「また痛みや腫れがあったりしたら、以前の歯医者さんで診てもらってください。」
紹介状で来たから、やたら前にかかっていた歯科医の名前を出してくる。
総合病院の口腔外科、患者が詰まって、しょうもないのを診たくはないのだろうが、
あくまでも もううちには来るな!・・・そんな印象を受けてしまう。
「傷が塞がるまで、気になるのなら、その歯医者さんで、洗ってもらったり消毒したりしてもらってください。」
・・・・・。
木なんだからこっちの方が金属製のフロスよりも安全なんだろうけど、
先端が尖っているのと、まっすぐで食べかすをかき出しづらいのとで、
なんとなくフロスよりも抵抗があるつまようじ。
とりあえず、術後の傷口がこういうものなんだと判って安心する。
だが、それ診察終了時に、ちゃんと説明してくれよと。
いちおう最後に、「なにか質問はございますか?」と先生から訊ねられてはいたけれど、
あの時点で、傷口がどんな状態なのか自分は知らなかった。
術後、完治するまでの注意事項やらなんやらを、
口頭でなくてもいいから、文書なりなんなりで、
きちんと知らせてくれればこんな不安を抱くこともなかった。
以前、母が同病院で手術で何度かお世話になったけれど、
退院時にその都度、詳しい術後のなんたらを書いた冊子のようなものをもらっていたけどなあ。
歯茎の簡単な手術だと、特にそんなものないのかもしれないな。
まあ、そんなことがあって、一ヶ月が経過した。
今日もまた、フロスを突っ込み食べかすを取り除く。
うがいでやれって言われたが、大型鑑賞魚の強力なエアレーションや、
廃水処理の曝気設備でもなきゃ、あんなものきれいに取り除けやしない。
骨に当てないよう、おそるおそるかき出す。
ごはん粒や麺なども詰まるが、パンが一番詰まるということが判った。
咀嚼してペースト状になったものがどうしても蓄積されていく。
さっきもまた、昨晩食べた大福の小豆の細かな皮が発掘された。
やっぱり完全には取り除けない。
前日の食べかすが、一日経ってコンニチハってことが多々ある。
食後、すぐに歯磨きできないときも、
お茶や水を飲むときに、意識して患部でぶくぶくさせる。
舌でまさぐりつつぶくぶくやる。
浅い位置に詰まったものや、大まかなものは対処できないことはない。
早いとこ、きれいに割れ目が塞がってくれるのを待つだけ。
歯茎の割れ目を掃除しながら、
これ、密輸とかスパイ活動に活用できるかもしれないなあ。
1㎤くらいのマイクロチップとかカプセルなら、ここに隠すことができるぜ!
そんなしょうもないことを考えながら、クラッカーの破片を取り除く。
歯、大変でしたね…
医学に疎いので適当な事は言えませんが、
私も昔、親知らずかなんかを抜いたとき血が止まらなくなり、
「どうにかして〜」と貧血になりながら歯科医に訴えたら患部を縫ってもらえましたよ。
かなりぶっとい糸で、縫うのはかなりしんどかったですが、
一応血は止まりました。
始めから縫ってよ!って思いました…
私も被せ歯と歯茎の間に隙間が出来て、それ以来食後の爪楊枝が必須になりましたよ…
前にも言ったような気もしますが、
歯…大事にしとけば良かったと本当後悔してます…
コメントありがとうございます。
歯も髪も失ってから、その大切さに気付きますね。
あ、勘違いなさらず、髪の方はフサフサですよ。
顔のパーツ位置そのままで、ロン毛から短髪に変えたら、
ハゲに見えてしまうMiiのせいで、
ひそかに自分のことを、実は頭がさみしい、
中年のおっさんみたく思われている方が居るようですが・・・。
親知らずの抜歯後の処置も個人差があるけれど大変らしいですね。
聞く話によると自分よりも重傷になる人もおられるとか。
傷が塞がるまであと五ヶ月・・・
なるべく詰まりやすいものは控えようと思います。
カールとか。
歯にちょっと物が挟まっただけでも、気になるのに、
ぽっかり空いた穴に、食べカスが詰まるなんて、
大変ですね…
アゴの骨に触るとか、ひぇ〜って感じです。
治るまでもう少しですね、お大事にして下さい(´-`)
説明が不十分。
私もこれが一番トラブルや不信感の元となる問題点だと感じます。
例えば高血圧一つにしてもそう。
薬出されて、正常値になって、「治った」と思って飲むのをやめてしまう人の何と多いことか。
降圧薬というのは高血圧を「治す」薬ではない。
あくまでも低く「調節」するだけのものであり、根本的に解決するものではない。
近視に対するメガネみたいなものです。
かければよく見える様になるけど、外せばまた元の視力に戻りますよね。
たったそれだけの事なのに、
それを説明しないで処方する医師が多すぎる。
多分、そんな当たり前のこと言わずもがなとでも思っているのでしょうけど、
現実に、解ってなくて説明したら目から鱗だと言う人がほとんどです。
私は主治医を持ったらいつも自分でイラスト書いて、この病気はどういう原因で発生して、どういう自覚症状を引き起こし、どこをどうすれば治るのか、それによりどういう副作用が出るのか、どうなれば完全治癒なのか、などの手書き冊子みたいなものを作って渡して説明しています。
病院からの命令でも何でもなく勝手にやっている事ですが、喋りたがり書きたがりの自分にはそういうのが向いてるかなと。
学生時代からいつもそういうもの(講義の内容を日常の物などに喩えて解りやすく噛み砕いた資料)を作ってみんなに配っていました。
実際自分が患者側だったら、医師に説明を受けている時になかなか瞬時に質問とか出てくる事はなく、大抵帰ってから色々と聞きたい事とか言いたかった事とか湧いて出てきますからね。
手術数など腕前とか最新設備とか料金とかも大事かもしれませんが、医療で一番大切な事は?と訊かれたら、「親身になって話す」という事だと思っています。
あと、縦割りというか今回みたいに「急性期」と「慢性期」で担当が分かれるという現代の仕組みもトラブルの元になりやすい気がします。
確かに効率を考えると良い事ではあるのですが、たらい回しになったり、責任をそれぞれが持とうとしない欠点が有りますね。
これら医療に限らず全ての分野で言える事だと思いますが。
でも最終的にはシステムうんぬんよりもやっぱり現場に居る「人」でしょう。
いくらシステムやルールを細かく作り上げても「人」かクソだったら何の意味もない。
そう思います。青臭い考えですが。
こんばんは、コメントとお気遣いありがとうございます。
骨に直接触れるなんて、考えただけでもゾッとしますよね。
怖いのでそこまで深く食べかすをかき出すことはしないでいますが、
完全に取り除けているのか不安だったりします。
あと五ヶ月、なるべく傷口に負担がかかりそうな食べ物は避けようと思っています。
とんがりコーンとか。
コメントありがとうございます。
塩対応されたってほど不満には思ってはいないのですが、
「大丈夫そうですね。これで終了です。」
それだけで傷の今後の回復状況やら、ケアの仕方やら、
一切の説明がなかったです・・・。
それで帰宅してから傷口の現状を知ってから不安でなりませんでしたね。
パックリ開いているわ、骨が露出しているわ。
え!?こんなんで本当に大丈夫なん?って。
総合病院の医者ってのは細やかな説明やケアは看護師や薬剤師に任せ、
診療と大まかな説明しかやらないような印象を受けてしまいますね。
個人病院とは異なり、いくら患者を捌こうが、
いくら親身になってケアして患者からの信頼を得ようが、
出世やら給与に影響しないのでしょう。
そう考えると、れいなさんのやっておられることは、
患者からすれば非常にありがたくて心強くて、
安心して診てもらえる医者、
こうあって欲しい医者の理想像のような気がします。
忙しくなると、それを継続するのは厳しくなるかもしれませんが、
是非続けていってほしいものです。
患者って医者が思っている以上に無知です。
自身の体のことなのに、しっかりとやった説明も頭に入ってなかったりします。
薬にしても薬剤師から詳しい説明書をもらっているにも関わらず、
服用の仕方を誤ったり効能を把握していなかったりするものです。
逆に言うと、医者を信用していて任せっきりにしているからこそ、
自身は深く考えなかったりするものなのかもしれませんね。