よろず戯言

テーマのない冗長ブログです。

ふきげんな過去

2016-09-13 22:49:58 | 映画

先日休みを利用して映画を観に行った。

小泉今日子二階堂ふみ主演のドラマ、"ふきげんな過去"だ。

監督は、劇作家や演出家としてマルチに活躍している若手クリエイター、前田司郎氏。

監督のみならず、本作の原作,脚本も手掛ける。

キャッチコピーは、"たかが夏の冒険"。

 

 

まったくチェックしていなかった作品。

先日、ゴーストバスターズを観に行った際、この作品のチラシが目にとまった。

小泉今日子と二階堂ふみが並んだシンプルなチラシ。

ヘンなタイトルにも、意味深なキャッチコピーにも、なんだか興味を持った。

裏面に映画の内容紹介などが書かれていたのだろうが、

そんなもの読みもせずに、面白そうだなと、なんとなく観ることにした。

公開劇場のスケジュールを調べると、福岡では二ヶ所のみの上映で、

行きつけのこの劇場では、一日一度きりの上映且つ、すぐに公開終了の予定になっていた。

これは、ちょうど一年前に観た、海のふた並のレア映画の予感。

楽しみのなかに不安も混じえつつ鑑賞に臨んだ。

 

 

18歳の高校生、果子(カコ:二階堂ふみ)は退屈な生活を送っていた。

普通の生活がつまらない。

「見えるものなんて見たってしょうがない。」

飲食店を営む祖母と母、そして父、生まれたばかりの妹と一緒に暮らしている。

退屈な夏休み。

今日も川を見つめて、近所の赤ん坊を食べたというワニを探す。

 

 

行きつけの喫茶店で、気になる常連のカウンターの男性を見つめ、

川でワニを探し、

帰宅して店の手伝いをして、

従妹のカナ(山田望叶)の面倒を見て、

そうして一日が過ぎてゆく。

 

 

そんなとき、突然、18年前に死んだと聞かされていた叔母が現れる。

なんでも学生時代に爆弾騒ぎを起こし、少年院に入っていた前科持ち。

その後、幾度となく失踪と帰宅を繰り返したのち、

北海道で自ら作った爆弾で爆死したという。

 

 

その叔母の名前は、来未子(キミコ:小泉今日子)。

死んだはずのキミコが突然帰ってきて、驚く祖母や両親。

キミコは未だに何者かに追われ、警察にも見つかるとまずく、

家族に、「しばらく匿って欲しい」と言い、隠匿生活が始まる。

カコの部屋で寝泊まりすることになったキミコ。

だが、カコはキミコを拒絶する。

キミコに対し、冷たく厳しく応対するカコ。

二人はときに激しく衝突するが、

奔放で浮世離れしたキミコに、だんだんとカコが興味を持ち始め・・・。

 

 

意味不明。

これは自分には難解過ぎた。

シュール過ぎて、どう捉えるべきなのか解らない。

何をうったえんとしているのか、皆目解らない。

ひと夏のかけがえのない出会いの物語とか、そういうの期待してたいが、違った。

ほんわかした、家族ドラマのようなものも期待していが、違った。

真面目なドラマなのか、ファンタジーやコメディ要素を入れた、

ちょっとくだけたドラマなのか、よく解らない。

 

 

とにかくタイトルどおり、不機嫌で面倒なカコに終始イライラさせられる。

何が気に入らないのか、退屈だのつまんないだのばかり。

哲学っぽい屁理屈ばかり述べてて、とにかく面倒くさい。

発する台詞も、やってることもいちいち意味不明。

「赤ちゃんみてようか?」

母親にそう言って子守りを引き受け、

生後間もない自分の妹を脇で突っ立ったまま見下ろす。

「なにしてんの?」

従妹のカナの問いに、「赤ん坊見てる。」と返し、

ずっと立ったまま赤ん坊を見下ろし続ける。

これは笑うところなのだろうか?

 

 

その赤ん坊が、オモチャ。

母親もカコも、店に来た客も、その赤ちゃんを「ぐったりしてる。」と言って、

ピクリとも動かない、泣きもしないオモチャの赤ちゃんをごまかす。

このオモチャ相手に授乳シーンなんかあり、この辺もフザけてんのか真面目なのか解らなくなる。

もし真面目なのなら、子役くらいちゃんと用意しないさいよと。

ウォーターボーイズみたく乱暴に扱われるシーンでオモチャが使用されるのは解る。

舞台なら小道具でも許されようが、映画でそれはないだろう?

 

 

登場人物のだれもが、どこかおかしい。

犯罪者の家族って、ひょっとしたらこうなってしまうのかもしれないが、みんな本当におかしい。

そんな人らが、全員 演技が巧かったから、意味不明なシナリオが残念でならない。

脚本を手掛けた前田氏は、劇作家として色んな賞も受賞されている方なので、

文学や演劇に精通した人が見たら、この映画の おもしろさが理解できるのかもしれない。

自分にはちょっと理解できなかったし、本当につまらなかった。

スティーブン・キングの名作、"スタンド・バイ・ミー"っぽくもあったけれど、

あの作品と比較すると、圧倒的にドラマチックさに欠ける。

 

 

ただ二階堂ふみちゃんの演技の巧さは光っていた。

一昨年の大河ドラマ、軍師官兵衛で、茶々(淀殿)を演じていたときに初めて知った女優さん。

このときは出番もそこまで多くなく、見せ場のシーンでもパッとしなかったんだけど、

今作を観て、"カメレオン女優"と称されるのが納得できた。

それ以外の俳優さんも、皆すごく良かった。

それだけに、このストーリーの意味不明さが残念でならない。

もっと解りやすいドラマだったら楽しめただろう。

 

 

ストーリーは意味不明でつまらなくても、

役者さんの演技や、背景を観るのは面白かった。

豆を剥きながら井戸端会議する、店の女性たち。

蚊帳の外のお父さんは、エアコンの送風パネルかなにかを一所懸命修理する。

虫めがねでアリを観察しては叩き潰す女の子。

銛を持って、川面を睨みつける海苔の本田の嫁。

大きな釜で豆を煮る中東系の外国人シェフ。

ひとつひとつのシーンの、なんでもない光景がやけに面白い。

それなのに、全体ではつまらない・・・不思議な映画だ。

 

 

まあ、つまんなかったけれど、レアな映画を観れたなと。

小泉今日子,二階堂ふみ,山田望叶ちゃんの三人のシーンが良かった。

観終わったあと、やけに豆料理が食べたくなって、

エジプト料理じゃないけれど、この日の晩、ダールカレーを食べたとさ。

あと、いつかシナモンスティックでカプチーノ混ぜて飲んでみたい。

でもって、かじってみよう。

 

 



コメントを投稿