先日休みを利用して映画を観に行った。
小泉今日子,二階堂ふみ主演のドラマ、"ふきげんな過去"だ。
監督は、劇作家や演出家としてマルチに活躍している若手クリエイター、前田司郎氏。
監督のみならず、本作の原作,脚本も手掛ける。
キャッチコピーは、"たかが夏の冒険"。
まったくチェックしていなかった作品。
先日、ゴーストバスターズを観に行った際、この作品のチラシが目にとまった。
小泉今日子と二階堂ふみが並んだシンプルなチラシ。
ヘンなタイトルにも、意味深なキャッチコピーにも、なんだか興味を持った。
裏面に映画の内容紹介などが書かれていたのだろうが、
そんなもの読みもせずに、面白そうだなと、なんとなく観ることにした。
公開劇場のスケジュールを調べると、福岡では二ヶ所のみの上映で、
行きつけのこの劇場では、一日一度きりの上映且つ、すぐに公開終了の予定になっていた。
これは、ちょうど一年前に観た、海のふた並のレア映画の予感。
楽しみのなかに不安も混じえつつ鑑賞に臨んだ。
18歳の高校生、果子(カコ:二階堂ふみ)は退屈な生活を送っていた。
普通の生活がつまらない。
「見えるものなんて見たってしょうがない。」
飲食店を営む祖母と母、そして父、生まれたばかりの妹と一緒に暮らしている。
退屈な夏休み。
今日も川を見つめて、近所の赤ん坊を食べたというワニを探す。
行きつけの喫茶店で、気になる常連のカウンターの男性を見つめ、
川でワニを探し、
帰宅して店の手伝いをして、
従妹のカナ(山田望叶)の面倒を見て、
そうして一日が過ぎてゆく。
そんなとき、突然、18年前に死んだと聞かされていた叔母が現れる。
なんでも学生時代に爆弾騒ぎを起こし、少年院に入っていた前科持ち。
その後、幾度となく失踪と帰宅を繰り返したのち、
北海道で自ら作った爆弾で爆死したという。
その叔母の名前は、来未子(キミコ:小泉今日子)。
死んだはずのキミコが突然帰ってきて、驚く祖母や両親。
キミコは未だに何者かに追われ、警察にも見つかるとまずく、
家族に、「しばらく匿って欲しい」と言い、隠匿生活が始まる。
カコの部屋で寝泊まりすることになったキミコ。
だが、カコはキミコを拒絶する。
キミコに対し、冷たく厳しく応対するカコ。
二人はときに激しく衝突するが、
奔放で浮世離れしたキミコに、だんだんとカコが興味を持ち始め・・・。
意味不明。
これは自分には難解過ぎた。
シュール過ぎて、どう捉えるべきなのか解らない。
何をうったえんとしているのか、皆目解らない。
ひと夏のかけがえのない出会いの物語とか、そういうの期待してたいが、違った。
ほんわかした、家族ドラマのようなものも期待していが、違った。
真面目なドラマなのか、ファンタジーやコメディ要素を入れた、
ちょっとくだけたドラマなのか、よく解らない。
とにかくタイトルどおり、不機嫌で面倒なカコに終始イライラさせられる。
何が気に入らないのか、退屈だのつまんないだのばかり。
哲学っぽい屁理屈ばかり述べてて、とにかく面倒くさい。
発する台詞も、やってることもいちいち意味不明。
「赤ちゃんみてようか?」
母親にそう言って子守りを引き受け、
生後間もない自分の妹を脇で突っ立ったまま見下ろす。
「なにしてんの?」
従妹のカナの問いに、「赤ん坊見てる。」と返し、
ずっと立ったまま赤ん坊を見下ろし続ける。
これは笑うところなのだろうか?
その赤ん坊が、オモチャ。
母親もカコも、店に来た客も、その赤ちゃんを「ぐったりしてる。」と言って、
ピクリとも動かない、泣きもしないオモチャの赤ちゃんをごまかす。
このオモチャ相手に授乳シーンなんかあり、この辺もフザけてんのか真面目なのか解らなくなる。
もし真面目なのなら、子役くらいちゃんと用意しないさいよと。
ウォーターボーイズみたく乱暴に扱われるシーンでオモチャが使用されるのは解る。
舞台なら小道具でも許されようが、映画でそれはないだろう?
登場人物のだれもが、どこかおかしい。
犯罪者の家族って、ひょっとしたらこうなってしまうのかもしれないが、みんな本当におかしい。
そんな人らが、全員 演技が巧かったから、意味不明なシナリオが残念でならない。
脚本を手掛けた前田氏は、劇作家として色んな賞も受賞されている方なので、
文学や演劇に精通した人が見たら、この映画の おもしろさが理解できるのかもしれない。
自分にはちょっと理解できなかったし、本当につまらなかった。
スティーブン・キングの名作、"スタンド・バイ・ミー"っぽくもあったけれど、
あの作品と比較すると、圧倒的にドラマチックさに欠ける。
ただ二階堂ふみちゃんの演技の巧さは光っていた。
一昨年の大河ドラマ、軍師官兵衛で、茶々(淀殿)を演じていたときに初めて知った女優さん。
このときは出番もそこまで多くなく、見せ場のシーンでもパッとしなかったんだけど、
今作を観て、"カメレオン女優"と称されるのが納得できた。
それ以外の俳優さんも、皆すごく良かった。
それだけに、このストーリーの意味不明さが残念でならない。
もっと解りやすいドラマだったら楽しめただろう。
ストーリーは意味不明でつまらなくても、
役者さんの演技や、背景を観るのは面白かった。
豆を剥きながら井戸端会議する、店の女性たち。
蚊帳の外のお父さんは、エアコンの送風パネルかなにかを一所懸命修理する。
虫めがねでアリを観察しては叩き潰す女の子。
銛を持って、川面を睨みつける海苔の本田の嫁。
大きな釜で豆を煮る中東系の外国人シェフ。
ひとつひとつのシーンの、なんでもない光景がやけに面白い。
それなのに、全体ではつまらない・・・不思議な映画だ。
まあ、つまんなかったけれど、レアな映画を観れたなと。
小泉今日子,二階堂ふみ,山田望叶ちゃんの三人のシーンが良かった。
観終わったあと、やけに豆料理が食べたくなって、
エジプト料理じゃないけれど、この日の晩、ダールカレーを食べたとさ。
あと、いつかシナモンスティックでカプチーノ混ぜて飲んでみたい。
でもって、かじってみよう。
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