初夏にその花姿から、庭木のなかでひときわ異彩を放つ木、
スモークツリー(Cotinus coggygria)
別名・和名、ケムリノキ,ハグマノキ。
スモークツリー(レッド)
文字どおり、煙のようにモクモクした赤い(緑や白も)花を一斉に咲かせ、
大きなものになると、遠くからもよく目立ち、ひときわ目を引く。
だが、このモクモクしたもの、じつは花ではない。
花が終わった後に出てくる、花柄(かへい)という部分が伸びて羽毛のように成長したもの。
これが種ごと枝からもげて、風によって飛ばされ転がり、
遠くまで種を飛ばす働きをする。
実際のスモークツリーの花はとても小さくて地味。
スモークツリーの花
花が終わると種を実らせるのだが、
このスモークツリーは 雌雄異株で、雄株は種を結ばないため、
花が終わった後に花柄が羽毛のように伸びない。
そのため雄株は鑑賞価値がなく、栽培されることはない。
園芸店で販売されているものも、ふつうは全て雌株。
ただ無知な生産者によって、実生で育てた苗木が流通することがあり、
モコモコとしたケムリを付けない、雄株が出回ることもまれにある。
スモークツリー切花
スモークツリーは切花としても流通する。
枝物として人気が高く、けっこうな値段で売られている。
大きな花器へ投げ入れで生け込むと、とても豪勢で華やか。
スモークツリーはウルシ科で、特有のベタ付く樹液を持っている。
枝を切るときは、その樹液が皮膚や衣類に付着しないように注意が必要。
ハサミも使用した後に手入れをしないといけない。
スモークツリー(グリーン)
スモークツリーは葉も美しい。
光沢のない、マットな質感の大ぶりの葉を持ち、秋には美しく紅葉する。
赤花のものは、紅葉していないときもほんのりと赤く、
品種によって濃淡があり、赤黒く見えるものもある。
葉の表と裏では、色が違う(違って見える)。
スモークツリーの葉
スモークツリー(レッド)
これくらいが一番きれいなとき。
このあたりでは、すでに種が実り、
このモコモコ(今風擬音だと、モフモフか?)がもげて、
風で飛ばされ、その辺を転がっている頃。
西部劇で、よく枯れ草のマリモのようなものがコロコロと転がっている※が、
あんな感じで、よくコロコロと転がっている。
スモークツリーの種(先端の豆のような粒)
風で飛ばされ転がって、隅に溜まったモコモコ。
※ カイテングサ(オカヒジキ) 西部劇の決闘シーンなどで、
風と砂埃に混じり、対峙する両者の周囲を効果的に転がる名脇役。
この植物もまた、実が熟すとこのモコモコが茎からもげて、
転がりながら、その辺に種をまき散らす仕組みになっている。
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