先日、仕事から帰宅すると食卓の上に大きめの紙袋を見つけた。
デカデカと描かれたドラえもん。
なにこれ?
中身はベビーカステラならぬ、ドラカステラ。
まあ、人形焼みたく、ドラえもんの形に焼かれたベビーカステラだ。
春休み中だった甥姪たちを連れて、
うちのお母んが、桜の有名な近所の公園に行ったらしい。
そこの露店で売られていたのだという。
袋が閉まらないくらいたっぷり入れてくれたそうだが、このひとふくろで千円!
高っ・・・!
いや、露店の商品と考えれば安いのか。
お母んがニヤニヤしながら言う。
「それ食べてみてん、すごいき。」
?
どういうこった?
「一匹もまともなドラえもんがおらんき。」
ちょうど腹ぺこ。
食べていいのなら少しもらおうじゃないか。
袋からは、卵と砂糖のいい匂い。
数個出してみた。
!
なんじゃこりゃ!?
型が古いのか?
原料の生地が悪いのか?
やたらボッロボロのカステラ。
表面のディテールがつぶれていて、顔が認識できない。
その姿からドラえもんだと判る程度。
お母んの言うとおり、一匹としてまともなドラえもんが見当たらない。
いや、それよりドラえもんは一匹二匹と数えるのか?
さすがにヒトじゃないので、一人二人ではなかろうが、
ロボットだから、一体二体が正解なのか?
バリ(成形はみ出し)がひどい。
昔のガンプラでもここまでない。
継ぎ目もひどい。
昔のガシャポン戦士でもここまでない。
そんなことを考えながら、とりあえず一個 食べてみる。
「固っ!」
ふんわり柔らかなカステラを想像していたのに、モサモサしたやたら密で重たい生地。
粉の配分、間違ってるんじゃないの?ってくらいに固い。
味は決して悪くない。
甘すぎず、卵の風味もしっかりとした美味しいカステラだ。
だが、このモサモサと固い食感はいただけない。
モサモサ固い生地。
口の水分がなくなる。
これで一番まともなほう。
袋をあらためて見る。
!
これ、ドラえもんじゃねえな・・・。
このタッチ、藤子不二雄のそれとは明らかに違う。
よく見ると、ドラちゃんと書かれてある。
はは~ん、これは非ライセンスのバッタもんだ。
露店にありがちなやつだな。
ドラちゃんだと?
カステラじゃなく、カステーラとなっているところもポイント。
あと、この雲のタッチは斬新過ぎた。
ラッションペンで描いた?
商品そのものの質もさることながら、この紙袋のイラストの質もなかなかのもの。
露天商、的屋にあまりいいイメージを持っていないが、
こういうとこひとつとっても、やっぱりアウトローというか、
営業にヤクザというか、反社会的な組織が関わっているのだと思わざるをえない。
それにしても お母んは、なぜ明らかにバッタモンだと判る、こういうあやしいのを買うかね?
甥っ子らに強くねだられたか?
悲しいかな、このカステラ、甥っ子たちには見向きもされていなかった。
ベロをペロリと出しているのではなく、
ベロの一部が口からもれているような描かれ方。
絵心のないひとが描いたようだ。
10年近く前に露店の駄菓子屋で買った飴。
間違いなくこれも非ライセンス商品だろう。
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