初めて食べたのは、ほんの数年前だったと思う。
一昨年の正月に食べたカップ麺に、ぼんじりペーストなるものが含まれていた。
ぼんじりが鶏肉の部位名だということは知ってはいたものの、
ふだん焼鳥店や居酒屋に行くことがないため、実際に食べたことはなく、
そのカップ麺がやたら美味しくって、ぼんじりに興味を持ち、
その直後、近所の唐揚店でぼんじりの唐揚げを見つけ、そこで初めて食べた記憶がある。
なので、二年ほど前になろうか。
丸みを帯びた小さな部位だった。
肉質はほとんどなく、脂身の塊のような部位。
脂っこいといえば脂っこい。
だが、あのときカップ麺に濃厚でコクのある旨味をプラスしていたように、
その脂身のなかに、凝縮された旨味がある。
その後も、露店の焼鳥屋などで見つけては食べている。
最近では、スーパーの総菜売場なんかでも、ぼんじりの焼鳥を見かけるようになった。
希少部位にも関わらず、けっこう安価で売られている。
脂っこくてクセがあるため、あまり一般的ではないようで、割と売れ残っていることが多い。
こんな美味しいのに、なんでみんな食べないんだ?
そんなふうに思っていた。
コンビニで売られていた、ぼんじりの照り焼き。
とにかく味付けが濃くって、あまりぼんじりらしさは味わえなかった。
ぼんじり、ニワトリの尾の付根にあたる部位。
限られた部位であるため、一羽の鶏からピンポン玉くらいの大きさの肉が取れる程度。
そのため、ほとんどが焼鳥店などに流通してしまうのか?
スーパーや精肉店で、これが売られているのを見たことがなかった。
ネットで調べても、やはりスーパーなどでは売られていないとのことだった。
だが、最寄りのスーパーで売られているのを発見!
灯台もと暗しとはこのことだ。
しかも安い!
これは買いだ!!
なんの迷いもなくカゴに入れた。
ただでさえ希少で見かけることのないぼんじり。
それが普通に売られていて こんな安いのに、なぜみんな買わないんだ?
帰宅して、さばき方を調べる。
・・・。
・・・・・。
安い理由が判ったのと同時に、買ったことを少し後悔した。
下処理がめんどくせえ・・・!
売られていたぼんじり、ふだん食べているものの倍くらいの大きさ。
つまり、いつも食べているぼんじりは、半分にさばかれているものだった。
人間でいえば尾骶骨(びていこつ)に当たるのかな?
尻尾の付根の骨がそのまま付いている。
まずはそれを取り除かねばならない。
他の部位ならば、骨を取り除くくらい、なんともないのだが、
ぼんじりはとにかく脂ぎっている。
包丁がうまく入らず、なかなか厄介。
取り除かないといけない、尻尾の骨と一対の黄色い玉、油壺。
さらに肉の中ほどに、黄色い脂の塊が一対ある。
これは油壺という部位。
トリは羽を水分から守るため、脂質でコーティングする。
その脂を分泌する器官だとか。
油壺、食べられなくもないが、クセがあってとにかく臭い。
よく言えば ぼんじりの旨味、コクが凝縮された塊であろうが、
ただでさえ脂っこいぼんじり。
余分なものは取り除いておきたい。
これを取り除くのも包丁がすべってやりにくく、仕方なく指でつまんではぎ取る。
骨を取り除き、脂壺を取り除き、ようやっと下処理終わり。
ぼんじりが希少部位なのに、あまり流通していない理由。
簡単とはいえ下処理が面倒。
そのうえ取れる量はわずか。
大した高値で販売されない。
結果、鶏ガラと一緒くたに販売されてしまう。
もう下処理されていないぼんじりは買わないぞ・・・。
そう思いつつ、ようやっと さばいたぼんじりを調理する。
どう調理しようか迷ったが、旨味を堪能すべく、
余計なものは入れず、シンプルにソテーすることに。
付け合わせは厚めにスライスしたニンニクのみ。
コショウと豆板醤と甜麺醤、仕上げにオイスターソースとネギ油。
アツアツのソテーは最高だった。
だが、冷えてくると脂がキツくなるので、急いで食べる。
焼鳥みたく、脂を落としながら炙るのが一番なのかもしれない。
ホルモンなんかも、焼肉店で脂を落としながら食べるのと、
家庭でホットプレートやフライパンで焼いたのとでは、雲泥の差があるからね。
一度ぼんじりに出会って自分で調理して食べると、
スーパーで売られている、ちっちゃな焼鳥のぼんじりでは物足りなくなってしまった。
やっぱり新鮮なものを手に入れて、面倒だけど下処理をして、出来たてを食べるのが旨い。
あるいは、ちゃんとした居酒屋や焼鳥の専門店で、
炭火でじっくりと炙られたものだと、また唸る美味しさかもしれない。
飲み友達(自分も飲まないが・・・)が居ないから、行く機会がないんだよなあ・・・。
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