地方の銘菓紹介。
今回は福岡県直方市(のおがたし)の“成金饅頭”。
クラシックな包装紙にくるまれた、成金饅頭。
饅頭というより、デカい“どら焼き”。
ねじれ梅の焼印が特長。
直方なのに“博多屋”とはこれいかに?
明治時代、日露戦争のさなか、戦争の影響で物資の価格が高騰し続けていた。
それに便乗し、ひと山当てようとして、
ひとりの青年が全財産をはたいて、大量の豆(手亡豆)を購入する。
ところが、すぐに終戦を迎え、物価は下落。
青年の元には、価格の暴落した大量の豆だけが残った・・・。
青年は処分に困り、持て余した豆で餡を作り、
それを生地に挟んで饅頭として売り出したところ、
甘い菓子を欲する炭鉱労働者を中心に、「美味い!」と評判になり、
たちまち人気商品となり、饅頭は飛ぶように売れた――。
後に当時の炭坑王など成金の者にあやかって、“成金饅頭”と名付けられ、
以後、直方市の銘菓として、今なお人気のお菓子となっている――。
商品に添付されていた、しおりにはこう書かれてあった。
直径10cmはあろうかという大きな、どら焼き。
(実際はもっと巨大なものもある。進物用か?)
通常のどら焼きのそれよりも、なめらかでしっとりとした生地。
餡は手亡豆をふんだんに使った白餡。
こしあんがメインだが、粒もまばらに入れられている。
餡もなめらかで美味く、生地との相性もいい。
そんな成金饅頭、直方銘菓として認知していたのだが、
先日、嘉麻市(かまし)の道の駅で、この成金饅頭によく似たものを発見した。
パッケージには堂々と“成金”と書かれている。
え?!
これ成金饅頭?
思わず手にとって見る。
製造元を確認してみると、飯塚市の業者。
しかも商品名が、“炭坑なりきん”と書かれてある。
違うやん・・・もしや類似品?
これはネタになる。
そう思って、迷わずこの成金饅頭の類似品らしき商品を購入した。
そして併せて直方で売られている、本家本元の成金饅頭も購入。
ふたつを同時に食べ比べてみることにした。
右:直方市で購入した、“成金饅頭”。
左:嘉麻市で購入した類似品?らしきもの。
見た目には色と質感がまったく違う。
が、表面のねじれ梅の焼印は、ぴったりと一致。
切り開くと、餡の量と質の違いが雲泥の差。
生地の質も見た目だけでもまるっきり異なる。
そして実際に食べてみる・・・。
全然違う。
生地、しっとりしている本家に対し、類似品らしき方はパッサパサ。
餡、しっとりしてなめらかで、たっぷりと詰められている本家に対し、
ボッソボソで砂糖の粒が感じられるほど荒く、量も少ない。
とはいえ、価格差が3倍ほどあるので、この質の差は仕方がないといえる。
いや~、トンでもない類似品を発見したぜ!
そんなふうに思って、さっそくこのブログネタへ―。
その前に予備知識をば・・・と、成金饅頭のことを検索して調べてみることに。
!
本家本元だと思っていたのが・・・。
類似品だと思っていたのが・・・。
成金饅頭が明治時代後期に、
直方市で誕生したお菓子だということは間違いないようだが、
元祖の店という概念なく、のれん分けで多数の店で作られ販売されていた。
で、元祖だと思っていた製造元は、現存しているうちのひとつに過ぎなかった。
類似品だと思っていた製造元は、見つけることができなかったが、
カタチや焼印など、本家に忠実に製作しているのを見るかぎり、
この製造元も、単にレシピを順守して“成金饅頭”を作っていただけだろう。
商標登録をしておらず、ずっと以前には、直方市周辺で、
今以上に多くの菓子店が製造販売していたのかもしれない。
類似品呼ばわりしてしまい申し訳なかった・・・。
成金饅頭に類似品などない!
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