九州人には昔からおなじみのカップ麺、
佐賀にある食品加工メーカー、サンポー食品から販売されている、“焼豚ラーメン”。
パッケージもほとんど変わらない。
“SINCE 1978”の表示と、
“変わらぬ美味しさ、いつまでも。”のキャッチフレーズ。
焼豚ラーメンの販売は今から34年前の、昭和53年。
自分と近い年に生まれたこの商品は、子供の頃から慣れ親しんだ味。
九州でずっと人気を保つロングセラー商品。
博多のとんこつラーメンではなく、
佐賀にほど近い、久留米のとんこつラーメンを元に開発されている。
とんこつ風味のカップ麺としては、おそらく元祖ではないかと思う。
以前は商品名が、“元祖 焼豚ラーメン”となっていたはずだが、最近、“元祖”が消されたようだ。
焼豚ラーメンは添付の小袋が多いのが特長。
今では、調味液,粉末スープ,乾燥かやく,調味油,スパイス等、
たくさん小袋が付いているものは珍しくもないが、
ほとんどの商品が粉末スープのみだった昔は、これがたいそう豪華に思えた。
薄っぺらいけれど大きめのチャーシュー、生の紅ショウガ、
そして焼豚ラーメンの風味を決定付ける、調味油(特製ラード)!
この調味油なくして、焼豚ラーメンは語れない。
焼豚ラーメンの旨さの秘密は、この調味油にあるといっても過言ではない。
ラードに、ニンニク(たぶん)等の香辛料を加えて作られた特製のもので、
ほんの小さな小袋なのだが、これを投入することによって、
あのとんこつラーメンの臭みのある独特の風味が加えられる。
スープ自体は意外にあっさりしているため、これを入れないと物足りないのだ。
麺は久留米とんこつがベースらしく、中細麺。
ストレートではなく、ちぢれ麺だがスープがしっかり絡んで美味い。
具は目玉のハート型?チャーシューに、コーン,ネギ、そしてお好みで、紅ショウガ。
このチャーシューの独特の形状、“ハート型”なんだとか・・・。
ついでにとんちんかんの、抜作先生の目玉にしか見えんよ・・・。
九州人に愛され続ける、焼豚ラーメンではあるが、
カップ麺の進化に伴い、いかんせんチープさが拭えない。
以前は再現の難しかった とんこつラーメンも、今は大手各社も販売しており、
有名店とコラボした商品もどんどん販売されており、
その存在がくすんできているように思える。
だが、着実に販路を広げて、その存在感を保ち続けている。
いくらライバル商品が増えようとも、
とんこつラーメンの臭みをうまく再現しているのは、やはりこの焼豚ラーメン。
このとんこつラーメンの独特の臭い、九州以外の人にはどうも嫌われているようで、
東京などへ出店しているような有名店は、軒並み臭みを消してしまっている。
博多の行列ができる有名店なんかも、みんなそう。
あの、とんこつの臭さなくして、とんこつを語るなと言いたい。
店の側を通ると、プ~ンと漂ってくる、あの下品な臭い、あれがたまらないのだ。
以前、東京のひとが、「とんこつラーメンは下水の臭いがする」と言っていた。
否定はしない。
確かに飲食店や給食センターとかの裏の、溝の隙間から漂ってくる臭いに似ている。
今でも、長浜や小倉など、博多の中心部からはずれた場所にある、
小汚いラーメン店では、この臭いを漂わせている、古き良きラーメン店が存在する。
そんな、“いい意味で臭い”においを、うまく再現しているのも、この焼豚ラーメンの特長。
数年前、福岡出身のお笑いトリオ(うち二人が福岡)ロバートが、
こっちのローカル番組の企画で、番組とコラボしたカップ麺を販売した。
そのカップ麺は、この焼豚ラーメンをベースに開発され、
三人が企画した商品を、開発から製造・販売まで、サンポー食品が担った。
焼豚に番組のロゴマークが焼印され、
より“臭く”された、調味油が投入された。
“MAXウーメン”と名付けられたその商品は、なかなか美味かった。
再販してくれないかな?
焼豚ラーメンは、バリエーションも豊富。
“久留米とんこつラーメン”。
焼豚ラーメン自体、もともと久留米のとんこつラーメンがベースだが、
この商品は、スープをよりマイルドに白濁したものに仕上げ、
さらに、紅ショウガの代わりに、にんにくチップが入れられている。
あっさりして且つコクのある、食べ応えのある商品。
そういえば、“男性専用”とかいう、ニンニクを効かせた、
ちょっと豪華な商品も販売していたと思うのだが、
いつの間にか廃版になっているようだ。
“高菜ラーメン”。
ベースは、焼豚ラーメン。
具のチャーシューと紅ショウガを廃し、
代わりにどっさりとピリ辛の高菜漬が加えられた一品。
高菜漬はレトルトパウチで生のままなので、
歯ごたえもきちんとしていて美味しい。
あっさりスープに、ピリ辛の高菜の味が染みて絶妙。
“博多とんこつラーメン”。
見た目は、焼豚ラーメンとあまり変わりない。
コーンが消え、チャーシューがまん丸になっただけのように見える。
だが、スープがよりコクがあってこってりした感じになっており、
さらに、麺が細麺になっているのが特長。
細麺になったせいか、出来上がりの時間が1分短縮されている。
“熊本とんこつラーメン”。
久留米とんこつから派生した、熊本とんこつ。
焦がしにんにくと、黒マー油で、その独特のこってり味を再現。
熊本ラーメンには、きくらげも欠かせない。
磯の香りがたまらない、有明産の焼き海苔が嬉しい。
食べた後に、一番残るのがこの熊本ラーメン。
にんにくとマー油のコンボ、恐るべし。
この他にも、長崎ちゃんぽんとか、博多ごぼ天うどんとかあるが、
ラーメンではないので紹介は割愛。
サンポー食品は佐賀県三養基町に本社を置く、即席めんの中堅メーカーで、
同じ九州で、福岡市に本社を置くマルタイ食品、熊本市に本社を置く五木食品とともに、
九州の三大即席めんメーカーであり、とくにマルタイ食品とはシェア争いや、
商品開発競争も熾烈で、明らかにライバル社の人気商品を意識したものもみられる。
右:サンポー焼豚ラーメン
左:マルタイ博多焼豚ラーメン
・・・これはイカンやろ!
マルタイ・・・類似にもほどがある。
商品そのものはもとより、パッケージまでこうも似せるか?
しかもそっくりそのままでなく、微妙に変えてあるところが確信犯。
焼豚ラーメンの“SINCE 1978”の欄と同じ場所へ、
“焼豚2枚入”と、同じ金ぴかの囲みで、どでかく表示されている。
チャーシュー二枚を強調されても・・・。
これでオリジナルに勝っているとでも?
サンポーとマルタイは、この焼豚ラーメン以外にも、
高菜ラーメンや長崎ちゃんぽんも類似しており、熾烈な商品争いをしている。
九州人はどっちも好きなんだけどね。
サンポー食品マスコットキャラクター、“やかんちゃん”。
このキャラクターが登場した当時、
ちまたでは日清のUFO仮面ヤキソバン(マイケル富岡)が、CM等で流行っており、
黄色とオレンジのカラーリングに、マントに長靴の格好から、
間違いなくその流行に乗って誕生したキャラクターだと思われる。
紅ショウガの小袋には、ナゾのキャラクターが描かれている。
タヌキかクマか? ・・・いや、このいびつな頭の形は、ショウガなのかもしれない!?
これは一体何なのか、子供の頃からずっと謎である。
焼豚ラーメンを食べたことのある方なのか、
まだ食べたことのない方なのか判りませんが、
よく食べている自分も、頻繁に食べたくなるカップ麺です。
やっぱりこれを超える、“いい意味で臭い”とんこつラーメンはないです。
九州在住の際、このカップ麺の味を覚えました。
2~3年前までは名古屋で入手可能でしたが、今は売っていません。
それ以前は久留米も入手可能でしたが、至極残念。
どこかで売ってくれんかなあ、ああ、くそ、食べたい・・・
>名古屋人さん
こんばんは、コメントありがとうございます。
焼豚ラーメン、やっぱり東日本ではあまり売られていなようですね。
逆にキリンラーメンはこっちでもちらほらと見かけるようになりました。
ポンポコラーメンの方はまったく見ないですが・・・。
箱買いになってしまいますが、
焼豚ラーメンも久留米ラーメンも、アマゾンや楽天で買えます。
送料考えると一個200円程度と割高ではありますが、
どうしてもって時は利用してみてはいかがでしょうか?