春の花壇の主役、パンジー“Viola X wittrockiana”。
和名は三色スミレ。
日本の野山に咲くスミレ“Viola mandshurica” と同じく、
スミレ科スミレ属の植物で、交雑などによって改良作出された園芸品種。
細く小さな花びらを付けるスミレとは異なり、大きく丸みを帯びた花弁が独特の形状に咲き、
また、色も紫しかないスミレに対し、
パンジーは、紫をはじめ、黄色,赤,白,ブルー,オレンジ,ピンク,etc,・・・
カラフルで様々な色が作出されている。
年末頃から店頭に苗が販売され始め、春を迎える今がピークを迎える。
ちょうど卒業・入学シーズンに、学校や公園、公共施設などの花壇で、
大がかりな植え替えが行われ、このパンジーが最も多く利用され、
この時期だけで、相当数の株が植え付けられる。
パンジーの実
有名メーカーのブランド品種や新品種を除けば、とても安価で求めやすく、
また強健で育てやすく、花期も長いことから人気があり、
家庭の花壇でも、春定番の花となっている。
こぼれ種で翌年また萌えることがある。
花びらは水に当たるとシミだらけになってしまうため、
水やりはできるだけ花に当たらないように株元に行い、
また雨の日の翌日には、花がら摘みの手入れをきちんとやっておきたい。
暖かくなってくるとアブラムシも付きやすいので、注意が必要。
水に濡れてシミができ、見苦しくなった花びら
葉の裏に付いたアブラムシ。
花びらやつぼみにも付くので注意が必要。
ケムシのように見えるが、実はテントウムシ(ナナホシテントウ)の幼虫。
テントウムシはアブラムシの天敵として有名な愛らしい昆虫。
だが幼虫のときはこんなにもグロテスク。
幼虫でも成虫と変わらず、アブラムシをムシャムシャ食べてくれる頼もしい益虫だ。
寒さには強いが、暑さに弱く、
冷涼地では夏越しも可能だが、ほとんどの場合、夏の暑さに耐えられずに枯死する。
そのため、一年草扱いされる。
福岡ではだいたい、ゴールデンウィーク過ぎくらいに処分される。
梅雨になると、もうほとんど黄ばんで腐って見苦しくなっている状態。
この頃には他の春花も傷んでいるので、一斉に夏花に植え替えられる。
毎年、新品種、新ブランドも作出される。
パンジーは小型で花をたくさん付けるものがあり、
こちらは、“ビオラ”と呼ばれ、園芸店などでは別の花として取り扱われる。
ただし、定義が曖昧でいい加減であり、生産者によって区分がまちまちで、
花の直径が3~4cmくらいの中輪のものは、
パンジーなのかビオラなのか区別することができない。
ビオラなのかパンジーなのか?
区分の難しい中輪の花。
ビオラはパンジーに比べ、花の付きが多く、こぼれ種で増える可能性も高い。
こちらもパンジーと同じく強健で、春の寄せ植えや花壇に重宝される。
花が小さいため、パンジーよりインパクトに欠けるが、
同じ色・柄でまとまった数を植えれば、
花数の多さで、アリッサムやシバザクラのように、びっしりと花で花壇を覆ってくれる。
絶えることなく次々と花を咲かせ、
小輪なため花の傷みも目立たず、花がら摘みも気にしなくていい。
ビオラは、学名の“Viola”そのままで、英名“バイオレット” も、ここから来ている。
パンジーとビオラの大きさの比較。
同じ色のものを一緒に寄せ植えにするのもいい。
サクラソウやアリッサム、わすれな草との相性もいい。
福岡では春一番が吹いた。
東北や北海道はまだまだ先だろうが、もう3月、もう春。
秋から放置された荒れた花壇にパンジーはいかが?
ビオラの種。
この実が割れて、さやが三方に広がった状態、
ビオランテというかグリードというか・・・なんだかモンスターチックでいい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます