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きみと、波にのれたら

2019-08-28 23:33:13 | 映画

先日の休みに映画を観に行った。

アニメ映画、“きみと、波にのれたら”。

監督、湯浅政明氏のオリジナルストーリー。

脚本は吉田玲子氏。

キャッチコピーは、“守りたい人がいる。会いたい人がいる。”

 

 

そんなアニメ映画が好きというわけではないが、

夏場はアニメ映画が多く上映されるし、興味を惹かれれば鑑賞する。

美しいチラシに惹かれて、“海獣の子供”をチョイスして鑑賞したものの、難解で楽しめなかった。

同時期に公開されたアニメ映画で、海獣の子供同様、海が舞台となっている作品があった。

それがこの、きみと、波にのれたら。

 

予告編も観ていたが、どうやらお涙ちょうだいのラブストーリー。

キャラクターデザインも、自分のあまり好まない少女漫画チックなタッチ。

しかもチャラい印象しかない、サーフィンがフィーチャーされている。

到底チョイスするような作品ではなかったのだが、

海獣の子供があまりに楽しめなかったため、「もしかしてこっちが正解だったか・・・?」

そう思い、鑑賞することに。

 

大学生になった向水ひな子(川栄李奈)は、実家を離れ、海辺の街で独り暮らしを始めた。

実は幼少期はこの街に住んでいたが、家庭の事情で山間部へと越していた。

引越の片付けもそっちのけで、サーフボードを持ち、ひな子は海へと向かう。

幼い頃からサーフィンをやっていたひな子。

大好きなサーフィンをやるため、海の近くで暮らす夢が叶った。

 

 

ある日、ひな子の住むマンションが火災に遭う。

逃げ遅れてしまったひな子は屋上に取り残されてしまうが、

はしご車で現れた消防士に救助される。

ひな子は自分を助けてくれた、若い消防士に一目惚れしてしまう。

消防士の名前は、雛罌粟港(ひなげしみなと:片寄涼太)。

この出会いがきっかけで、二人の交際がはじまる。

 

 

サーフィンは得意だけど料理はできない ひな子。

かたや、サーフィンはまったくの素人だけど、料理が得意な港。

そんな二人はお互いなくてはならない存在になり、

冬が来る頃にはすっかり色濃い恋人同士になっていた。

 

だが突然の悲劇が二人を襲う。

海で港が命を落としてしまう。

悲しみにくれるひな子。

あれほど好きだったサーフィンもやらなくなり、大好きだった海を見るのも嫌になり、

海の見えない場所へと引っ越してしまう。

 

 

ふさぎ込んでいたひな子だったが、ふと二人の思い出の歌を口ずさむ。

すると・・・!

水の中から港が現れた!!

 

ずっと会いたかった港。

死んだはずの港と会話できる。

心躍るひな子だったが、水の中でしか港は存在できず、また触れることもできない。

さらに、ひな子以外の人物には港はまったく見えない。

 

 

死んだはずの港がどうして、ひな子の前にだけ姿を見せるのか?

「ひな子のことを助けるって約束したろ?」

そう言い微笑む港。

だが港自身も、死んだはずの自分が、

どうしてひな子の前に現れるのか、解っていなかった。

 

大学に進学したものの、将来のことが見えず、自分に自信が持てないでいた ひな子。

さらに港を失い、絶望の淵に居た。

そんなひな子が再び波に乗れるよう、港は見守る。

 

 

面白かった。

海獣の子供じゃなく、こっちだった。

やっぱり解りやすい方が面白いに決まってる。

すごく解りやすい悲恋物語。

死が覆るわけではなく、主人公が救われたかというと、

そういうわけでもなく、ハッピーエンドとは言い難いけれど面白かった。

泣くほどじゃあなかったが、なんともいたたまれない悲しい話だった。

 

 

登場人物が驚くほど少ない。

主人公のひな子、恋人の港。

そして港の後輩、山葵と、港の妹の洋子。

主要キャラクターはこの4人くらいで、後はモブキャラと言ってもいいくらい。

この4人だけで、ほぼストーリーが成立していて、そのあっさり具合も解りやすくていい。

 

ひな子を演じた川栄李奈はすごいな。

元AKBでしょ?

しかも握手会のとき、ノコギリか何かでファンに襲われたのがこの子じゃなかったっけ?

あのグループ出身者のなかじゃ、もっとも役者の才能がある子じゃなかろうか?

明るくあっけらかんとした、ひな子の性格がよくマッチしていてよかった。

港の死後、一転、沈んだひな子の演技も良かった。

最後、ラジオで港からのメッセージを聞き、突っ伏して大泣きするシーンはもらい泣きしそうになった。

 

 

港はヤサ男。

職業消防士で、イケメンで料理できてスポーツできて、

こんなカンペキな男、居るんかいな?

声は片寄涼太という人がやっていたが、知らないひとだ。

どうやらエグザイルか何かに所属しているらしい。

エイベックスで固めてやがんな。

 

 

港の後輩、山葵。

山葵と書いて、“わさび”と読む。

名前にわさびって・・・。

静岡生まれなのかな?

優秀な港と代わって、ちょっと気の弱い失敗続きの新米消防士。

訓練中にドジやってるときにひな子に会い、一目惚れしてしまう。

だが、ひな子は尊敬する先輩に惚れて交際してしまい・・・。

好きな人に告白するとき、そのひとが作った花束をプレゼントするかね?

そこらへんも含め、ドジ過ぎるキャラ。

女子はこういうキャラが好きなんだろうな。

 

 

声は伊藤健太郎というひと。

これまた知らないひとだ。

モデル上がりの若手俳優さんらしい。

山葵の気弱な喋り方が巧かったので、プロの声優だと思っていたが、

そうでなかった・・・この伊藤健太郎くん、なかなかデキるひとなのかも。

 

 

港の妹、洋子。

港と異なり、ぶっきらぼうな女子高校生。

最近まで学校にあまり行かず、引きこもりだったそう。

兄の死後、いつまでも無気力なひな子に檄を飛ばす。

典型的なツンデレキャラ。

 

声は松本穂香ちゃん。

イメージぴったりだったかもしれない。

早口で怒り口調のセリフが多かったので、けっこう難しかったんじゃなかろうか?

兄が死んで、本当は自分自身もつらいのに、気丈に振舞って ひな子にハッパかける。

そして、自身も恋する相手に、不器用だけど思いのたけを叫ぶ。

そんなシーンひとつひとつが印象的だった。

 

 

明瞭でとてもいいストーリーだった。

サーフィンだから、チャラい若者のストーリーだと思ったら違ってた。

愛する恋人が幽霊?になって会いに来てくれ、

心残りがなくなって安心すると、光に包まれて成仏し去っていく。

どこかで観たことのあるシチュエーションだけど、

あっちとは異なるのは、水がないとダメだということ。

触れられないので、手もつなげなきゃキスもできない、ろくろも回せない。

 

R指定はないけれど、キスやハグ以外に、

交際の進展を表すシーンで、ちょびっとだけ性描写もあるので、

子どもに観せるときは保護者の判断で。

おおかみこどもの雨と雪よりは弱いので、そんな気にするほどのものじゃあない。

 

名字が雛罌粟(ひなげし)とか難読なのに、名前は港とか洋子とか、すごいシンプルというギャップ。

火災も港の死亡事故も、悲劇を引き起こすのが、現代社会でも問題になっている、

モラルなく迷惑行為を行う輩ってのがまた、社会の構図を表しているようで救われない。

昔の勧善懲悪の物語ならば、そういうキャラに相応の罰が下されるような結末が待ち構えているのだろうが、

そうはならないのが、最近の映画だな・・・と感じた。

なので余計に、主人公のひな子が救われない。

 

ひな子と港の思い出の曲。

港の死後、ひな子がこの曲を口ずさむと、水の中に港が現れる。

曲聴いて、誰の曲だろう・・・?

雰囲気からして、杉山清貴とオメガドライブ?

いや、そんな古い曲ではないはず・・・誰だろう・・・?

・・・と思っていたら、エグザイルだと。

そっか、今20前後の子にとっちゃ、

子どもの頃の思い出の曲は、もうエグザイルとかになっちゃうんだな。

 

冒頭でひな子が作る、ぐちゃぐちゃのオムライス。

料理が得意な港が手際よく作る、ふわっふわのオムライス。

観終わった後、無性にオムライスが食べたくなり、

洋食屋に入って、オムライスとペペロンチーノを食べましたとさ。

一週間前に観た映画、今日も嫌がらせ弁当でも、

劇中オムライスが登場していたので、余計食べたくなっていた。

 

サーファーって、どうしてもチャラいイメージ。

スケボーも

スノボーも。

いわゆる3Sってやつね。

 

 



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