子どもの頃から大好きな寿司、バッテラ。
大阪で生まれたというシメサバの押し寿司。
小さい頃この食べ物を、アニメ、じゃりン子チエで知る。
主人公の少女、チエちゃんの好物として描かれ、
チエちゃんの祖母や母親が、時折バッテラの折詰を持ってくるのだ。
この頃はまだ九州には馴染みがなかったのか?
バッテラなんて、聞いたことも食べたこともなかった。
もともと貧乏子沢山家庭で育ったため、寿司なんてそうそう食べられなかった。
年に一度、回転寿司へ連れて行ってもらえることが、あるかないか。
今でこそ、一皿90円100円という、安い回転寿司店がたくさんあるけれど、
自分が子どもの頃は、そんな良心的な回転寿司店はなかった。
100円で食べられるのは、せいぜいかっぱ巻きや納豆巻き、あとはいなりくらい。
イカやタコ,エビやタイ,ハマチにサーモン、ウニやイクラ。
それぞれ価格が異なり、皿の模様あるいは色によって値段分けが判る仕組みになっていた。
なのでバッテラなんて寿司に出会うこともなかった。
小学校高学年くらいだったと思う、バッテラという寿司にとうとう出会う。
近所のデパートの中にできた、持ち帰り専門のお寿司のお店。
現在はほとんど見かけなくなってしまった、小僧寿司(sushi花館)だ。
安いのでよく母が利用した。
ある時、買い物について行ったとき、ショーウインドゥでそれを見つけた。
それまで見たこともない、銀色に輝く長方形の寿司、それがバッテラだった。
しかも安い!
ひとパック5~6貫入りで、当時180円くらいだったと記憶している。
お小遣いでも買えてしまう値段だ。
元々青魚,光りモノが好きだった。
このときから自分の小遣いで買い、バッテラを好んで食べるようになる。
高校へ進学し、通う高校がそのデパートがすぐ近所だったもんだから、
放課後はその寿司店へ行き、バッテラを買って部活へ戻るということも。
社会人になってもバッテラ愛は変わらない。
近年は物価の上昇とサバ自体の高騰もあり、バッテラ自体の価格は上がったものの、
それでも変わらずバッテラを買って食べる。
最近はスーパー内の鮮魚店も、かなり美味しい寿司を販売するようになった。
仕事帰りにバッテラを見つけては、その銀色の輝きに負けて買ってしまうこともしばしば。
安かろうおいしくなかろうな回転寿司店が跋扈する昨今、
スーパーとはいえ、そこのスタッフは元より鮮魚を扱っている魚のプロなのだから、
その方々の作った寿司は、教育不十分で技術のないアルバイトが、
粗悪なネタで寿司を作っているような、安い回転寿司店よりも美味しいに決まっている。
どの寿司も違いがはっきりと表れるけれど、バッテラは その違いが一目瞭然。
シメサバの押し寿司。
足の早いサバを、少しでも持たせるために酢でしめたものがシメサバ。
そのシメサバを使って寿司にしたのがバッテラ。
バッテラとはポルトガル語で“小舟”という意味らしく、
“舟”と呼ばれる木枠に酢飯とシメサバを入れ、押し寿司を作ったらしい。
バッテラ、元祖はサバでなくコノシロだったとか。
コノシロもまた、足が早いため酢でしめて食べられることが多い魚だ。
すぐに生臭くなるので、酢漬けで食べられるのが主流。
若魚のコハダも酢じめで供される。
「旨いコハダを出せる寿司店はいい寿司屋」と、
魚に詳しく美食家の梅宮辰夫氏もテレビで言っていた。
色の悪いものは鮮度が落ちている。
肉厚で新鮮なサバを使ったものは本当に美味しい。
逆に、色が褪せ明らかに鮮度が悪いようなものは、やっぱり生臭くなっていて美味しくない。
わさびと醤油で食べるのが普通だけど、ショウガが添えられていることも。
また、ネタとシャリとの間に、ネギが入っていることも多く、
色々な面で、サバの生臭さを緩和しようとしている点が見られる。
ネギやショウガが仕込まれていることが多い。
バッテラの特徴として、ネタの表面に被せられた薄い半透明の膜が上げられる。
白板昆布と呼ばれるもので、とろろ昆布(おぼろ昆布)で作られているらしい。
昆布の風味を付けるのはもちろん、ネタの表面の乾燥を防ぐ役割らしく、バッテラには欠かせない素材。
初めてバッテラを食べたとき、この物体が何なのか判らず、
引っぺがしてみて、食べられるものなのか取り除くべきものなのか観察した覚えがある。
結果、食べたけどね。
バッテラ表面の膜、白板昆布。
青魚,光りモノが苦手なひとや、そもそも酢が苦手なひとにとっては、
敬遠されてしまうであろう、バッテラ。
だが自分は、バッテラをこよなく愛して食べ続ける。
押し寿司なんでシャリもたっぷりで、少量でおなかいっぱいになる。
安くて旨くて、腹持ちもいい!
こんな三拍子そろった寿司、そうそうないだろう。
焼きサバのバッテラ。
炙りシメサバで作られたバッテラ。
香ばしさがプラス。
昆布〆のバッテラ。
薄い白板昆布ではなく、ふつうの昆布でくるまれたバッテラ。
食べ応えバツグン。
高菜でくるまれたバッテラ。
バッテラにも色々とバリエーションがある。
サバ!
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