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ホトトギス

2015-11-03 21:19:06 | フラワー・園芸

秋の野山に渋い風合いの可憐な花をたくさん付ける、ホトトギス"Tricyrtis hirta"

泣かぬなら~の三英傑風刺の文句、目に青葉~の松尾芭蕉の俳句、

それらに登場する野鳥と同じ名前を持つユリ科の植物だ。

名前の由来は、まさしくその野鳥のホトトギスから来ている。

花びらの斑模様が、鳥のホトトギスの模様とそっくりだから、

なんのひねりもなく、そのままホトトギスと名付けられたとか。

 

  

ホトトギス

福岡県直方市ふくち山麓はな公園にて。

以下写真すべて同場所にて撮影。

 

ホトトギスは亜種を含め、日本国内に十数種類自生しており、

台湾などにも自生しているものの、原産は日本ではないかと言われている。

一般的なホトトギスは西日本を中心に山林に自生している。

日当たりの良い場所よりも、木の下などを好むようで、

うっそうとした場所にシダにまぎれて茂っていることが多い。

園芸店などで売られているものは、たいてい改良品種。

日本固有のものと異なり、日当たりの良い場所を好み強健で生育も早い。

 

 

 

ホトトギス、なぜかランの仲間だと思っているひとが多い。

園芸店でも、平気で「ランの仲間。」だと説明しているひとが居るほど。

確かに遠巻きにたくさん咲いた花を見ると、その形状や模様、

アランダやオドントグロッサムなどのラン科の花に似ていて、ランの仲間のように見える。

だが、葉っぱを見れば一目瞭然だが、典型的なユリ科の植物。

花も正面から見ると、ユリ科の花の特徴があるのが観察できる。

 

 

風情のある花姿なので、一輪挿しや壁掛けの花挿しに映える。

 

園芸品種は育てやすいため、あまり留意することはないけれど、

自生している品種はかなりデリケートな植物。

高山植物や山野草のように、植える場所や育て方に注意が必要。

夏場の強い日差しには弱くて葉焼けを起こすので、

半日影に植えるか、鉢植えにして直射日光の当たらない場所に移動させる必要がある。

病害虫にも耐性が乏しいため、防虫,殺虫の薬品も必要になる。

そもそも自生品種は在来種の繁殖や盗掘によって個体数が激減している現状で、

そうそう一般に販売されるものではない。

愛好家の間で取引されているようだが、

園芸店でふつうに販売されている園芸品種以外を手に入れるのは好ましくない。

 

夏場に生い茂った葉。

葉の付き方はナルコユリなどに似ている。

 

 

よく見るとユリの花の特徴がしっかり確認できる。

ちょっと角度を変えると、確かにランの花にも見える。

 

福岡では10月上旬頃から、11月上旬頃まで花を見ることができる。

本州では、11月に入る頃には、もう花は終わっているかもしれない。

木枯らしが吹き、紅葉が本格化しだすと、ホトトギスの花期は終わり。

葉も茎もやがて枯れて、地上部はなくなってしまうが、

土のなかでは球根が生きているので、

翌年また咲かせるために、鉢植えの場合は冬場に凍らせたりしないように、

霜避けをしたり、軒下に移動させておく必要がある。

 

今年も、もうじき花が見られなくなる、ホトトギス。

セイタカアワダチソウ,コスモスススキ・・・。

同時に秋の花もほとんどがピークを過ぎ色褪せてきて、

ナンテンやピラカンサスなどの赤い実が目に付きはじめる。

園芸店にも、ポインセチアシクラメンでいっぱいになり、

いよいよ冬がやってくるのだ。

 

 

 



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