歌うたいのカナリア。
声を枯らして歌ってる。
だれの為?何の為?
一人で酒をあおって、つまみを見繕う。
寂しい夜をはぐらかすように。
今日だって、明日だって、明後日だって、きっと誰かを思ってて。
歌うたいのカナリアは声を枯らして声がでなくなった。
それでも必死に歌ってる。
何故?何故?
長く連れ添った友人も一人また一人と去って行くのに。
疲れ果てて、立つことさえままならない、歌うたいのカナリア。それでもギターは離さない。
誰の為?何の為?
カナリアは歌う。
涙枯れるまで。
涙枯れるまで。 命尽きるまで。
下手クソギター。
擦り切れた声帯。
血まみれの左手。
翼は朽ち果てた。
それでも歌ってる。それでも歌ってる。
息をするように
歌ってる。