迷路のようなトンネル。
僕は、一人うつぶせになっていた。
雨音が聞こえる、そして沢山の悲しみたちが残酷な歌を歌っている。
首が痛い。
どうやら振り向いた瞬間ブラックホールに吸い込まれたようだ。
光がない。
ここは闇の部屋だ。
人が大人になると落としていくものとは何だろう・・・・。
僕は過去を振り返った。
泣かなくなったな・・・・
何故?
心が締め付けられる程の感動がなくなったな・・・・・
何故?
傷つかなくなってきたな・・・・・
何故?
・・・・・・
一つ一つ問いかけてみる。
すると、心に海が広がった。
限りない海が・・・・。
もっと問い詰めてみる。
僕は、何がしたい?
僕は、何故生きている?
僕は、恋人を愛しているか?
僕は、あいつを信じているのか?
そして、一つ一つその問いに答えていく。
何の汚れもない、素直な、生まれたままの感情で。
海は果てしなく広がっていった。どんどんどんどん。
まぶしい・・・・・。
さざなみが押し寄せるたび、心が憂いに染められて、心地よい。
何の苦しみもない、何の悲しみもない、満ち溢れた幸せがただ頬を伝う。
生きているんだ・・・・・・
僕は生きているんだ。
それでいいんだ・・・・。
限りない海、限りない心・・・・
終わりがない。
「終わらねーさ、ははは・・・はははは・・・」
笑いがこみ上げてくる。
力の限り、思いっきり笑っていた。
おもいっきり笑っていた・・・・。