“ママノリア日記

ママノリアの独り言

風のじゅうたんⅢ

2006年11月30日 | アリノママノリアの日々
「じたばったするなよ・・・・」
僕は昔聞いたことのあるアイドルの歌を心で口ずさむ。

てんとう虫は僕の上に寝転んだまま、空を見ている。
僕は少し苦しくて、風が吹くのを待っている。
どれぐらい時間がたっただろう。
居眠りをはじめたてんとう虫についに僕は話かけた。
「てんとう虫さん、」
「・・・・・」
「てんとう虫さん、」
「・・・・・」
「少し重くて息苦しいよ」
「・・・・ん?」

てんとう虫は長い触角を少し振り回し、
居眠りの終わりを締めくくろうとしている。そしておもむろに僕をみた。

「落ち葉君、君はどこから来たのかい?最近は見ない顔が増えたよ。」

「僕は、本当は人間なんです、朝会社へ行く途中、風が吹いて。そうしたら
落ち葉になっていたのです。」

「あ~君もかい?さては風のじゅうたんの仕業だね」
「風のじゅうたん?」
「あーそーだ。風のじゅうたん」

てんとう虫はよく見ると、白いあごひげを蓄えている。そして七つの斑点も
少し色褪せていた。

「人間に戻りたいんです・・・」

するとてんとう虫の老人は、僕に投げかけるように語りかけた。


風のじゅうたんⅡ

2006年11月28日 | アリノママノリアの日々

浅間山のてっぺんは、まるではげ頭。

そしてわずかに白い雪をかぶっている。


僕は落ち葉。落ち葉は僕。


自分で動き出すことはできない。
いつでも風を待つのだ。

そういえば、昔『転校生』って映画を見たっけ。
僕は、落ち葉と入れ替わってしまった。

仕事はどうしようか?
車はどこにある?
僕は、落ち葉のまま?

風のじゅうたん・・・・。

道端に転がった僕は、白線上でてんとう虫に出会った。
おっっきな目。七つの斑点。長い触角。

そして僕の上に寝転んだ。






風のじゅうたんⅠ

2006年11月25日 | アリノママノリアの日々

会社へ向かう車の中。

天気がすごい良くて、浅間山は確かに僕を見ている。


木漏れ日が滝のように幾千も流れ出し、僕の心に注入される。

冬の匂いがどこか寂しく、過去の友人を思い出させる。

車は法廷速度を越えて、それでも左足は感情に身を任せる。



そして、風が吹いた。



風のじゅうたんに乗って夢の町まで連れて行ってもらうところさ、

さらりさらりと流されていくのさ・・・。



やがて僕は、ひらひらと泳ぐ落ち葉になったようだ。

そして、どうやら空をずっと歩いているらしい。


車は、見当たらなくて、手も足もない、どうやら本物の落ち葉になってしまったらしい。



続く。

いっそのこと

2006年11月14日 | アリノママノリアの日々
いっそのこと、どこかへ消えてしまおうか。


揺れ動くのは自分の気持ち。

人を信じられません、悲しいくらい。


逃げ出してしまうのも、ひとつの手だ。


みんなが去らないいうちに。


それでも、僕の心にはいつもいつも大きくて頑丈な塀があって、飛び越えられないのだ。

そして自分も飛越えてはいけないいものだと思っているのだ。




その束縛から、解き放たれるのはいつ?


永遠?


だったら僕は、どこかへ消えてしまいたいのだ。


ねぇ、


そして僕はいつも誰かを待っていた。